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この記事を書いています2017年11月時点での話にはなりますが、現在頭金がゼロ円でも住宅の購入が可能になっていますし、当社のお客様でも頭金ゼロで戸建住宅を購入される方がいらっしゃいます。

だからと言って、頭金が全くない状態での購入をお勧めしているという事ではありません。頭金ゼロ円での不動産購入は可能ではありますが、通常以上に注意しなければならない点が増えます。今回はこの話をテーマに、少しお話ししたいと思います。

ゼロ円

頭金なしでも住宅を買う事は可能ではあります。

住宅ローンを組む金融機関が限定されます

頭金を全く入れずに不動産を買うという事は、売買代金の全てを住宅ローンでまかなうという事になります。売買代金の全額を借りる事をフルローンと呼んだりする事もあります。

何時でも誰でもどの金融機関でも、このフルローンの借り入れができるかと言えば、そうではありません。今でも金融機関によってはフルローンの貸し出しを行っていませんし、フルローンの設定がある金融機関であっても、借りる人の条件によっては、フルローンが不可という事もあります。

また、今はフルローンが可能の銀行であっても、時期によってはその制度を取りやめるという事もありますし、貸し出しは可能でも、フルローンの場合には他の条件が厳しくなるという事もあります。

100%

売買代金の100%を融資してくれる銀行もあります。

条件が厳しくなる例として、フラット35があります。フラット35でもフルローンの設定はあるのですが、借入金額が売買代金の9割以下の場合と9割以上の場合では金利が異なります。もちろん9割以上のような、借入金額比率が高い方が、貸出金利が高く設定されています。

他のフルローンでも保証金が高くなったり、他の細かな条件が付く可能性が高くなったり等の可能性がありますので、細かな条件を調べた上で、借り入れするかどうかを決めなければなりません。

都銀ではみずほ銀行でフルローンが可能です

2017年11月時点での話ですが、都銀ではみずほ銀行がフルローンが可能となっています。また、みずほ銀行は返済期間が35年であっても全期間固定金利が使えるローン商品を持っており、当社で仲介を受けるお客様は、このみずほ銀行を利用されるケースが多くなっています。

もっとも全期間固定プランは期間限定のローンとなっていますので、皆さん自身が本当に使えるかどうかは、各自で確認しなければなりません。

銀行

都銀でも100%融資の銀行があります。

また、とても紛らわしいのですが、みずほ銀行は実店舗で借り入れする場合と、みずほネットというネット銀行で借り入れする場合とで、同じみずほ銀行であっても金利や手続きが異なっています。

ネット銀行の方は金利を安く設定したり、金消契約を締結する場合に電子契約とすれば、印紙代がかからない等のメリットがあります(代わりに手数料がかかるようですが、印紙税よりは安いようです)。

その反面手続きで時間が掛かったり、決済時に会議室が使えなかったり、司法書士を指定されたりというデメリットも出てきます。司法書士の指定はあまりデメリットと感じられないかもしれませんが、購入物件によっては費用的なデメリットになる事もあります。

例えば新築住宅や任意売却物件等では、売り主さん側から司法書士の指定がされます。その場合、売り主さん側の指定と金融機関側の指定というように、2人の司法書士が指定される事になります。実際私はこのケースの経験がありませんので、最終的にどうなるのかが分からないのですが、最悪の場合、決済時に司法書士さんが2人同席し、各々に経費や報酬を支払わなければなりませんので、通常以上の費用がかかる可能性が出てきます。

こういったメリットデメリットを把握した上で、実店舗を使うかネット銀行を使うかを決めていく事になります。

イオン銀行では諸費用分まで融資をしてくれます

実際に不動産を購入する場合には、売買代金以外に多額の諸費用が掛かります。諸費用は売買代金の6~10%位かかるケースが多くなります。諸費用については「不動産購入時の諸費用は結局いくらかかりますか?」の記事でも説明していますので、こちらのページも参考にしてみてください。

先に挙げましたページのシミュレーションでは、諸費用は190万円近くかかっています。実際には引っ越しや照明、カーテン代等を入れますと200万円以上にはなるでしょう。

フルローンでは売買代金は貸してくれますが、諸費用分は含まれていませんので、この分のお金は購入者が用意しなければなりません。

ただ、例外的に諸費用まで貸し出しをしている金融機関もあります。代表的なものとしてイオン銀行があります。こちらの住宅ローンでは、売買代金を100%とした場合、105%までの借り入れが可能となっています。

イオンのイメージ

イオンでは買い物だけでなく、住宅ローンも扱っています。

上記の例では、2,500万円の不動産に対して、売買代金プラス125万円の借入ができる計算になります。この金額で諸費用の全てをまかなうのは難しいのですが、半分以上金額が出るのであれば、手持ち金が少ない方には助けとなるでしょう。

更に言いますと、様々なテクニックで諸費用を減らすことも可能であるため、限りなく当初の持ち出し金額を減らすことも可能ではあります。

具体的には、保証料を金利上乗せタイプにする事で当初の支払いを無くすとか、瑕疵保険には入らずに、これらの費用を浮かすとか、火災保険は最低限のタイプに入り、費用を浮かす等のテクニックです。

もっともこれらの手法で最終的に得をするかどうかは微妙な部分があるため、お勧めしている訳ではありませんが、テクニックとしては、知っておいても良いとは思います。上記のテクニックをすべて使った場合、左記の例では諸費用は190万円から139万円位にまで下がります。このケースであれば、持ち出しは14万円あれば足りる事になります。

この後お話ししますリスク等について全く考えなければ、お金がほとんど無くても、不動産の購入は可能という事になります。

実際には諸費用相当の現金が一時的には必要になります

では、本当にお金が全くない状況でも不動産の購入が可能かと言われますと、全く手持ちのお金が無い、という事では少し難しいと思われます。

まず前述のイオン銀行さんでは諸費用分も貸し出してくれるとお話ししましたが、通常住宅ローンの実行時期、つまりはお金が出る時期ですが、これは引き渡しの日に出る事になります。ですが、諸費用の何割かは契約時に出ますし、瑕疵保険の検査費用等は、その前に出る事もあります。

最終的には引き渡し時のローンで支払う事にしたとしても、契約から引き渡しまでは、何らかの形でお金を用意していないと契約を進める事ができません。

現金

それでも一定の現金は必要になります。

まれに、そのお金をキャッシング等で用意すれば良いと考える方がいるようですが、銀行ローンの審査前や金消契約前にキャッシング等を行いますと、ローン審査自体が大変厳しいものになります。と言いますか、恐らく本審査に通らないでしょう。

また、諸費用分だけでなく、売買契約の形式によっては、手付金を入れなければならないケースもあります。手付金については売主さんとの交渉次第ですが、ゼロで済ませられず、50万円なり100万円といった金額を用意しなければならない事もあります。

中古住宅の売買の場合、手付金は10%程度の設定とするケースが多く、この条件を満たせないとなりますと、その分交渉が必要ですし、場合によっては他の条件で譲歩しなければならない事も出てくるかもしれません。

これはケースバイケースですので、絶対的にこうだという話ではありませんし、実際に頭金・手付金なしの契約を行う事もあります。ですが頭金プラス諸費用分を持っている方が、契約等の条件交渉で有利に進められる事が多くなりますので、フルローンの場合には不利になる可能性もある事は知っておきましょう。

資産価値下落のリスクを通常以上に注意しましょう

もう1つ注意をしなければならないのは、万一売らなければならなくなった時のリスクです。住宅ローンでは破綻される方というのは、ローンの返済が厳しくなるという条件はもちろんあるのですが、それ以上に、いざという時の資産価値がローンの残債以上に高いかどうか、という点が重要になります。

万一ローンの返済が苦しくなり、払えなくなった場合であっても、不動産を売却することができ、かつその売却代金でローンの残債を返済することが出来れば、購入前の状態に戻るだけですので、破産するといった状況にならなくても済みます。この辺りの話は「2-01.将来破綻しないために知っておきたいことがあります」のページでも述べていますので、よろしければこちらの記事も参考にしてみてください。

資産価値下落

資産価値が下がった時のリスクを、通常以上に考えなければなりません。

さて、フルローンで不動産を購入した場合に、この考えがどう影響するかです。不動産には購入したとたん、資産価値、売れる価格が急激に下がるというタイプのものがあります。例えば新築マンションや新築の戸建住宅は例外はあるものの、購入した後すぐに売ろうとしても、1割や2割近く価格が下がっている事がよくあります。

中古住宅であっても、例えばリフォームした金額が、そのまま売れる価格に反映されるかと言えば、そうでないケースもよくあります。

こういったケースの場合、資産価値、つまりは中古物件として売れる価格よりも、ローンの残債の方が高いという形になり易くなります。売れる価格が残債よりも低く、更にはその差額を現金で用意できないとなりますと、その物件を売る事が出来ません。金融機関がその不動産に付けた抵当権を外す事が出来ないからです。

これが頭金を入れている場合では、当初から残債の金額が低いため、その分のリスクを下げる事ができます。例えば頭金10%であれば、残債は売買代金の90%からスタートする訳ですので、資産価値の下落が10%以内であれば、何とか売り切る事ができます。

もちろん任意売却を使って売るという方法もあるにはありますが、通常の取引よりも不利になる可能性もあります。この場合で不動産をうまく売る事が出来なければ、破産してしまう可能性が十分以上あります。

ちなみに、当社を通してフルローンで不動産を購入される方は、私が色々とこのような話をしているせいか、大半の方は古い中古住宅を、それも建物代金があまり乗っていないと思われる住宅を購入されます。売らなければならなくなった場合でも資産下落の率が低いと思われるため、こういった点でリスクを小さくしています。

また、現金を十分に持っている方でも計算上フルローンを組むという方もいらっしゃいます。これは住宅ローン減税などを考え、今の低金利であれば購入する方が得であると計算できる方は、手持ちの現金を使わずにローンを全額組むという方々の事です。

このように十分計算しているですとか、リスクに対して方法を考えている場合であれば、フルローンをうまく使うというやり方もアリだとは思いますが、そうでないのであれば、あまり積極的にこの方式はお勧めできないというのが私の考えになります。

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