過敏症の方の住まい選びの原則と対策について仲介会社の立場からお話します

1. 大原則:不動産は「買わない」方が良い理由

過敏症をお持ちの方が住まいを選ぶにあたって、まずお伝えしたいのが過敏症の方は「原則として不動産は購入しない方が良い」という考えです。

症状や原因物質・音源は予測が難しく、万が一住環境に問題が発生した場合、賃貸であればすぐに引っ越して環境を変えることができます。しかし、一度不動産を購入してしまうと、売却や住み替えが容易でなくなり、身動きが取れなくなるリスクがあります。高額な費用と対策の成功リスクを伴うため、まずは「移動しやすい体制を整える」という選択肢を推奨しています。

2. 化学物質過敏症(CS)の住まい対策

化学物質過敏症は、血液検査などで専門医による診断が比較的つきやすいと言われています。しかし、専門医以外では統合失調症などと誤診されるケースもあるため、専門の知識を持った医師の診察を受けることが重要です。

誤解されがちな「原因」

  • ホルムアルデヒドだけではない:建材のホルムアルデヒド対策(F☆☆☆☆など)が万全であっても、それ以外の多くの化学物質に反応する可能性があります。
  • 自然素材も原因になる:化学物質という名前から人工物だけが原因と思われがちですが、無垢のヒノキ材から出る成分や、畳のイ草の匂いなど、天然の建材や自然物に対しても反応するケースは多くあります。

実践的な予防と対策

  1. 新品は外干し/隔離する:新しく購入した家具、家電、カーテン、カーペットなどの布類は、すぐに室内に持ち込まず、数日間ベランダなどで外気に晒し、匂いが抜けるのを待ってから導入しましょう。
  2. 不可逆な導入は避ける:一度導入すると匂いが壁や床に染みつき、元に戻せなくなる(不可逆な)ものを避けることが極めて重要です。
    • 匂いの強い洗剤や柔軟剤の使用は控える。
    • 「効果がある」と謳われていても、強い匂いのあるエアコンフィルターなどは、試す前に十分注意してください。
  3. 非科学的な対策に注意:「スピリチュアル系」の対策や、効果の持続性が確認できない製品(24時間データしかない建材など)には、安易に頼らない方が良いでしょう。

3. 電磁波過敏症(ES/EHS)の住まい対策

電磁波過敏症は、専門医でも診断が難しいとされており、自力での対策が求められることが多いです。また、この分野はインチキ商品が最も多いため、注意が必要です。

対策の基本は「距離」と「アース」

① 低周波の磁場(磁界)

  • 対策は「距離」のみ:磁場を遮断する製品はほとんどありません。高圧線や家電製品といった発生源から、できるだけ距離を取ることが唯一かつ最善の対策です。
  • 家電の近くに長時間いない:家電からの磁場は近接すると強くなります。長時間過ごす場所(寝室など)から、家電(冷蔵庫、テレビなど)の距離を離しましょう。

② 高周波の電磁波(携帯・Wi-Fi)

  • 安易な遮断は避ける:携帯やWi-Fiの電波は現代社会のどこにでもあるため、グッズなどで無理に電波を遮断しようとすると、かえって症状が悪化するケースがあります。極端な対策は避け、体調管理に集中する方が良い場合があります。

③ 低周波の電場(電界)

  • コンセントを抜く:使わない家電はコンセントを抜くだけで、周囲の電場が大きく低下します。
  • アース(接地)をとる:アース線がある家電は適切に接続することで、電場を大きく減らせます。
  • 壁から離れる:電場の強い壁や床から、ベッドなどを数センチ離すだけでも、体への影響は大幅に軽減されます。

専門の電磁波測定士に一度計測してもらい、電場が高い場所を特定した上で対策を取ることをおすすめします。

4. 低周波音過敏症の住まい対策

低周波音過敏症は、最も診断が難しく、対策も難しい厄介な過敏症です。

最も厄介な音源

  • 音源も「距離」が基本:音源から距離を取ることが、症状を和らげる唯一にして最大の対策です。
  • エコキュート・エネファームのヒートポンプ:低周波音過敏症の原因となりやすい代表的な音源です。エアコンの室外機(20Hz帯)とは異なり、これらは12.5Hzや16Hzといった、より低い周波数帯の音が卓越周波数になることがあります。

対策の現実

  • 近隣の音源は止められない:隣家の設備が音源の場合、法的な措置で停止させることは非常に困難です。現実的な対応策は「引っ越し」以外にほとんどありません。
  • 有効な引っ越し先:音源が少ない環境を選ぶことが重要です。経験上、古い公団などのマンションの、4階や5階といった上層階は対策として有効な場合があります。これは、古い建物には音源となりやすい24時間換気システムや、エレベーターがないことが多いためです。

このガイドが、過敏症対策における基礎知識と実践的なアドバイスを学ぶ一歩となれば幸いです。ご自身に合った対策を検討するきっかけになるかと思います。

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