この記事の所要時間: 1027

昨日は風力発電の推奨本を読んで感じた話を書きましたが、今回は太陽光発電本を読んで思うことについて書きます。

このような推奨本を読んで毎回思うのは、デメリットについては過少に評価し、メリットを大々的に説明することです。本の性質上仕方がないとは思いますが、あまりにも偏った話をされると、さすがにどうかと思います。

今回は紹介する本の内容についてと言うより、本に書かれていない話で注意しなければならないことについて、お話しします。

太陽光発電のメリットのみが一方的に語られている内容の本です

今回読みました本はこちらです。

太陽光発電は本当にトクなのかの表紙

出典:毎日コミュニケーションズ

この本はタイトル自体はトクなのか、と投げかける内容になっていますが、中身は完全にお勧め本です。太陽光発電を入れると補助金が出る、電気の買取制度がある、エコポイントが使える、光熱費が安くなる、エコ意識が高くなる、など太陽光発電を絶賛する内容が続きます。

ただその内容はメーカーからの受け売りと思わる内容が多く、デメリットについてはあまり触れられていません。この本の内容自体を否定するものではありませんが、ここで書かれていないデメリットや、不足分について述べてみたいと思います。

オール電化住宅はハウスメーカー中心に普及している印象です

本の中では新築の注文住宅ではオール電化の比率が63.7%と書かれていました。私のイメージよりもずいぶんと採用率が高いように感じます。この本の発行は少し古いので、分かる範囲で新しいデータを見てみました。それがこちらです。

住宅産業協議会のデータによりますと、新築の注文住宅の64%はオール電化住宅を導入しているとなっています。ただ、実際の新築物件でこれだけオール電化住宅が建てられているかと聞かれますと、こんなに比率は高くないのでは、と感じます。

これはおそらくデータを集計した住宅産業協議会が、ハウスメーカーが中心に集まった団体ですので、ハウスメーカーの新築住宅の場合はこの比率、と考えるのが良さそうな気がします。

(株)富士経済の調査報告を見ますと、同じ平成25年度では新築物件のオール電化の普及率は25%と書かれていました(https://www.fuji-keizai.co.jp/market/14080.html 参照)。おそらくこちらの方が住宅全体では近い数値ではないかと思います。

これは決してハウスメーカー批判ではありませんが、ハウスメーカーは高価格の住宅販売を維持するために、設備を充実させた住宅を売ろうする傾向があります。そのため、ハウスメーカー中心で考えるとオール電化住宅の比率が高いのではないかと思います。

実際データ元となる住宅の概要を見ますと、一般的な住宅と思われるフラット35利用の住宅と比べて2割弱高い建物群が対象となっています。

住まいをオール電化住宅にするかどうかは施主の判断です。ですので普及率を見て良い悪いの判断を行うことはできません。ただ、高い建物を売りたいがためにオール電化住宅を勧められている、ということが無いように気を付けて欲しいとは思います。

オール電化住宅だから太陽光やエコキュートが必ず入る訳では無さそうです

同じ住宅産業協議会の資料を見て驚くのは、オール電化住宅の採用率が64%あるのに、太陽光発電やエコキュートの比率がそれよりも低い事です。

太陽光発電が少し少ないのは、エネファームを採用している住戸があるからかもしれません。ただエコキュートの比率が予想以上に少なく感じます。電気温水器の採用が9%もありますので、騒音の問題などでエコキュートを避ける方も意外と多いのかもしれないと思いました。

満足度では太陽光発電が他の設備と比べるとずいぶん満足度が高いことに気が付きます。月々の電気代が安いという結果が目に見えて表れるために、満足度が高いのではないかと思います。

太陽光発電の費用についてはランニングコストが考えられていません

維持費のイメージ

経済性を考える場合は設置費用だけでなく、維持費も考えましょう。

この本の内容では太陽光発電はトク、という主張は一貫しています。ただ、その費用の説明の中に、ランニングコストと廃棄のための費用が考えられていません

これは不動産の経済性を判断する際にも同じ考え方なのですが、どんなものでも経済性を考える時には、イニシャルコスト、ランニングコスト、最後の売却や廃棄の時の価格やコスト、の3つを考えないと最終的な経済性は分かりません。(「第2章.その住まいは経済的ですか」のページでは不動産の経済性について同じ話をしています)

この本の中では、太陽光発電設備の設置費用は10年で回収するのが目安、と書かれています。これはこの本が書かれた当時はその通りでしたでしょうし、現在でも回収は8~9年と言われていますので、10年以内に設置費用が回収されると考えて間違いないでしょう。

ちなみに設置費用についても金額だけ考えますと10年以内で回収できるでしょうが、新築の場合は太陽光発電システム自体もローンが組まれます。ローン金利などを考えますと、実際にはもう少し回収まで時間がかかると思われます。

しかし、これはあくまでも「設置費用」についてのみで、システム全体について10年で元が取れるのかどうかは分かりません。

ランニングコストを考えてみましょう。太陽光パネル自体はそれなりに耐久性があると思われますが、取付金具やそのための防水処理などに同じ耐久性があるかどうかは分かりません

特に初期の太陽光パネルでは屋根取付の際の雨漏り防止はコーキングに頼っています。このコーキングは10年近い耐久性しかないものですので、設置から10年後にメンテナンスが必要になります。このメンテナンス費用はばかになりません

またそのメンテナンスを怠ることで、屋根の雨漏りが進み、屋根の取り換え工事などが発生するようですと、もっと費用がかさみます。

他の設備の費用も考えなければなりません。例えばパワーコンディショナーはどうでしょうか。このパワコンの寿命は10~13年程度と言われます。1台20~30万円するパワコンを定期的に交換する必要があります。

売電メーターもそうです。これは電力会社のものではなく、個人所有のものです。売電メーターが問題ないかどうかの確認のため、10年に1度は検定を受けなければなりません。実際には交換となります。その費用はさほど高くありませんが、それでも3~5万円位はかかります。

このように、太陽光発電システム自体のランニングコストと、太陽光パネルを載せることによって生じる建物のランニングコストが設置費用とは別に発生します。

これらの費用がはっきりするのは設置10年後以降でしょう。建物のランニングコストについては15年目以降かもしれません。この本ではこのようなランニングコストについては触れられず、設置費用の回収についてのみ語られているのが不満です。

太陽光発電の廃棄費用については費用とエコの問題があります

産業廃棄物のイメージ

太陽光パネルは廃棄の問題を考えると本当にエコなのかは分かりません。

さらに太陽光発電システムの廃棄費用についても考えなければなりません。先程お話しましたように、最終的に売却するか廃棄するかの処分が終了した時点で、経済性が確定します。太陽光発電の経済性についての話に、この処分の話がほとんど出てこないのは問題です。

この廃棄には、コストの問題とエコの問題の2つがあります。まずはコストの問題を考えましょう。

単にパネルを外す工事だけであれば、10~30万円程度で撤去できると思われます。ただ、その後の屋根の補修工事は問題ないのか、そのための費用がどのくらいかかるのかは、取付方法などによっても大きく異なります。

費用とともにエコについても考えなければなりません。不要となった太陽光パネルはリサイクルできる部分もありますが、できない部分については産業廃棄物として処理されます。ただ、このリサイクルできない部分には、ヒ素や鉛、カドミウムなどが含まれています。こういった危険な物質の処理方法などは現時点で決まっていません。

また、これらがきちんと産業廃棄物として処理されれば良いのですが、万一不法投棄されることになると、環境汚染となり兼ねません。

このこと自体は太陽光パネルのせいではないかもしれませんが、地球環境に良い、と思って導入した太陽光発電システムが、廃棄時には環境を悪化させる可能性があることは、知っておいた方が良いと思います。

太陽光発電のデメリットは自分で調べないと誰も教えてくれません

太陽光発電はメリットも色々とありますが、このようなデメリットもあります。他の太陽光発電の注意点については「4-02-02.太陽光発電システムにはデメリットも多くあります」のページでも書きましたので、よろしければご覧ください。

自分で調べるイメージ

デメリットは自分で積極的に調べないと気が付きません。

ただ、このような太陽光発電のデメリットは、自分で調べないと分からないことが多いと思います。本を出したり、サイト上で情報を発信している人の大半は太陽光発電の利害関係者だったりします。それはメーカーだったり、設置業者だったり、建設会社だったりとタイプは異なりますが、太陽光発電が普及することでメリットを受けることが多い人たちです。

だからといって、それらの意見を無視したり聞かない方が良いという事ではありません。自分で調べたデメリットと、聞かされるメリットを比較したうえで、最終的に決めれば良いと思っています。

ただ、単に利害関係者の意見だけ聞いて決めると、後で後悔することにもなり兼ねません。両方の考えを照らし合わせた上で、最終的に判断してもらえればと思います。

ふくろう不動産は太陽光発電との利害関係がありません

ふくろうのイメージ

ここまで太陽光発電について意見を述べてきました。ただ、当社はただの不動産会社で、お客様が太陽光発電を導入されてもされなくても、当社には何も影響がありません。

ですので、太陽光を入れましょうとか辞めましょうというつもりはありません。ただ、本やサイトなどを見ていますと、あまりにも良い事ばかりが羅列されていますので、一応反対意見も入れたいと思い、この記事を書きました。

私個人の意見としては、太陽光発電の設置やオール電化住宅はあまりお勧めしておりません。太陽光パネルを設置することによる建物の性能低下、エコキュートなどによる騒音・低周波音問題、電化住宅による電磁波問題、パネルの処理方法やなども含めたエコ問題などを考えると、まだまだ解決されていない問題が多すぎると思うからです。

太陽光発電を導入した建物が本当にエコなのか、人の健康に問題が無いのか、本当に経済的なのかは、もう少し時間が経ってみないと分からないと思っています。

この記事は私個人の意見を述べたもので、内容に何か間違いがあるかもしれません。内容の間違いやご意見などがある方は、お手数ですが当社:ふくろう不動産までご連絡ください。ご連絡は「お問い合わせフォーム」のご利用が便利です。