中古住宅を買ったときリフォームは何から考えるべきでしょうか

中古住宅を購入した際に、リフォームをセットで考える方は多いと思います。新築住宅とは異なり、老朽化している部分は取り替えたいと思いますし、また皆さんの好みに応じて変えたいと思うところも多いでしょう。

ですが当然リフォームの予算は限られます。そこで今回は、リフォームを行う場合には何から予算をかけていくのが良いのか、私の考えについてお話ししたいと思います。

リフォームで1番優先度が高いのはカギの交換です

カギのイメージ

中古住宅を購入した場合には、カギは必ず取り替えましょう。

これをリフォームと言ってよいかどうかは分かりませんが、中古住宅を買った場合、必ず行ってほしいのがカギの交換です。古いカギはセキュリティ性が低いものが多いので、その点から見ても新しいカギに交換したほうがセキュリティは良くなります。

ただ、最初から付いていたカギが新しいものでセキュリティ性が高いものであっても、私は交換をお勧めしています。中古住宅の場合は以前のカギがどのように使われていたかが分からないからです。

前の所有者に悪意があれば、以前使っていたカギの予備を持っていて、それを何かに使わないとも限りません。また、以前の所有者自身に悪意がなくても、その知人がカギを持っていて、何か悪いことに使うという可能性もあります。以前のカギが合鍵なども含めて実際に何本あり、それが誰の手に渡っているかは以前の所有者自身が把握していないこともあります。

もちろんこのようなケースはめったにないことでしょうが、このくらいの安全意識は持つべきだと思います。幸いカギの交換は費用はそれほど高くなく、数万円単位でセキュリティ性が高いカギに交換が可能です。これは最低限行うべきものだと思ってください。

カギは防犯については「3-02-12.カギと防犯の基礎知識を得ておきましょう」のページも参考にしてみてください。

建物が古い場合には浴室のリフォームも高い優先度で考えましょう

浴室のイメージ

浴室はリフォームの中の優先順位を高くしましょう。

次にリフォームとして考えたいのは浴室です。中古住宅を購入した場合には、水周りのリフォームを検討されることが多いと思います。この水周りとは、お風呂、トイレ、キッチン、洗面台などがあります。

特にキッチンは良いものに変えたいという希望も多いと思いますが、水周りで1番優先順位が高いのは浴室、お風呂だと思います。

なぜかといえば、古い住宅、特に戸建て住宅の場合は、浴室周りの木の部分が腐朽しているケースが多いからです。この腐朽が柱や土台にまで進んでいると、建物の構造上大きな問題になります。古い戸建て住宅でお風呂がユニットバスでない建物は、割と高い率で土台などが朽ちています。ですので、見栄えの問題というよりも、建物の安全上の問題チェックも兼ねて、お風呂はリフォームする、というように考えておいたほうが良いと思います。

浴室のリフォームは、そのユニットバスのグレードにもよりますが、リフォーム用であれば120万円くらいから見ておきたいところです。

耐震改修は必要ですが、大規模工事が必要であればその中古住宅は買わないという選択肢を考えましょう

耐震工事のイメージ

耐震工事は確かに必要なものですが…

カギと浴室以外で優先度が高いのは、耐震補強工事だと思います。しかし、これはどこまで行うべきかの判断が正直難しい工事です。住んでいる人の安全性を考えると、もちろん必要な工事だと思いますが、元の建物の耐震性があまりにも低い場合には、この耐震工事には多額の費用がかかります。

中古住宅の1番大きなメリットは価格が安いということです。しかしこの耐震工事に多額の金額がかかるのであれば、このメリットはその分小さくなります。

耐震工事と聞くと、どちらにしても多額の金額がかかるのでは、とお考えかもしれませんが、実際に耐震工事を行った人の3分の1は100万円以内の工事です。さらに耐震工事を行った人の半分以上は150万円以下の工事費で済んでいます。

もともとの建物の基本的な性能がしっかりしているのであれば、耐震工事費用はそれほど高額というものではありません。ですので、多額の耐震工事費が必要な建物というのは、もともとの建物の耐震性、基本性能に問題がある建物だとも言えます。

私の個人的な意見としては、耐震工事費は多くても200万円以内と考え、それ以上かかりそうと思われる中古住宅は最初から買わない、という判断が良いと思っています。

実際に耐震工事が必要になるのか、必要になった場合にはいくらかかるのかの判断は建物購入前には難しいかもしれません。ですが、事前に建物検査を受けるなり、検査を受けないまでも基本的な知識があれば、ある程度問題がありそうな建物かどうかは判断ができます。

問題がある建物かどうかは、瑕疵担保保険に入ることができるかどうかでもある程度判断ができます。瑕疵担保保険に加入できるかどうかの目安については「2-04-10.中古住宅購入時に瑕疵担保保険に入れるかどうかの目安をお教えします」の記事を参考にしてください。

保険に加入できるような建物であれば、耐震工事に多額の費用が掛かる可能性は少ないと思います。

外壁や屋根リフォームは定番ですが、必要かどうかはじっくりと考えましょう

外壁のイメージ

雨漏りよりも見映えの問題で外壁リフォームするかどうかを判断しましょう。

また、リフォームでは外壁や屋根については定期的に塗り替えをしましょう、という意見が多く出ています。ただこれは建物の見映えと防水性との兼ね合いで考えるべきであって、必ず行わなければならないというものではありません。

外壁の防水性は、基本的に壁の内側にある防水シートが受け持っています。ですので、外壁自体の防水性が落ちてきたからといって、必ず外壁塗り直し工事を行わなければならないということではありません。

屋根についても同様で、屋根の防水性は屋根の下にある防水シートが受け持っています。これも屋根が変色しているから防水性がないとは限りません。

当社:ふくろう不動産ではお客様が購入予定の中古住宅については、サーモグラフィカメラを使って雨漏りなどの有無をチェックしていますが、その経験からお話ししますと、外壁が新しいかどうかと雨漏りをしているかどうかが直接関係しているとは思えません。新しい建物でも壁の中に水があることもよくありますし、逆に中古住宅の外壁であっても、壁の中に全く水を見つけられないこともあります。

また、本当に雨漏りしているのであれば、外壁を塗りなおした程度では雨漏りが治らないこともあります。雨の侵入個所を確認して、コーキングや、板金工事などを行わないと修理できないケースも多いでしょう。そう考えると、雨漏り対策のために外壁を塗りなおすというのは、あまり効果がないように感じます。

外壁の塗り直し工事は、足場代なども考えると80万円以上かかる工事です。屋根も塗り直しですと60~70万円、葺き替えをしますと100万円以上かかる工事です。金額が大きなものですので、本当に必要なのかどうかを考えた上で、これらのリフォーム工事を行うかどうかを決めるべきだと思います。

もちろん見た目の問題できれいにしたいので塗りなおすという選択肢はあります。ただ、何が何でも工事をしなければ、という話ではないということを知っておいたほうが良いと思います。

リフォーム代が500万円を超える分は快適性アップのためで、資産性にはならないと考えましょう

リフォームのイメージ

内装工事はきれいになりますが、資産価値とは関係がないものだと考えましょう。

ここまでリフォームの中で優先順位が高いと思われる工事についてお話ししました。この中には、リフォーム工事の定番である、キッチン、トイレ、洗面台の交換や、壁や天井のクロス張替え、床の張替えなどは入っていません。

これらの工事は、建物のきれいさ度合いや、皆さんの好みで決めてもらえば良いと思っています。

ただ、あまり金額をかけすぎるのはどうかという気もしています。リフォーム雑誌の事例を見てみますと、リフォーム代が2,000万円、3,000万円という事例が普通に出てきます。ですが今では2,000万円あれば、普通の一戸建て住宅を新築で建てることが可能です。今の建物に思い入れがある場合を除けば、新築と同じ費用をかけてリフォームするというのは経済的ではありません。

2,000万円をかけてリフォームした建物と、2,000万円で建てた新築住宅では、数年後の資産価値に大きな差が付きます。もちろん新築の方が、高い値段が付きます。そして今では2,000万円あれば長期優良住宅の性能を満たした建物を建てることも可能です。

私は、新築住宅と中古住宅では経済性の高さから中古住宅をお勧めすることが多いのですが、それは中古住宅の方が明らかに安いからです。そして安い割にはその後の資産価値の落ち具合も少ないことが多いからです。

ですが多額の費用をかけてリフォームした建物であっても、数年後には築年数なりの価格に戻ってしまうことがよくあります。少なくとも、かけた費用分の資産を維持できることはまずありません。

もちろん、生活の快適性アップのために、費用をかけるという考え方はありますので、それを承知の上であれば問題ありません。ですが、もし快適性アップのためだけということを知らず、資産価値も新築と同様であると思っているのであれば、考え直した方が良いのではないかと思います。

実際に中古住宅であっても、構造も含めた性能に問題がない建物はたくさんあります。最初から問題が少ない中古住宅を選べば、リフォーム費用は500万円以内で十分に質の高い不動産を手に入れることが可能です。皆さんにはぜひ、そのような不動産を手に入れてもらえればと思います。

このページの話を動画で説明してみました

このページで説明したことを、動画でも解説してみました。その動画がこちらです。

よろしければ、動画もご確認ください。

ふくろう不動産では質の高い中古住宅を提案できる体制を整えています

当社:ふくろう不動産は、買い手のためのサービスを強化した、売買仲介専門の不動産会社です。質の高い中古住宅を選ぶために、さまざま検査機器を用意して、問題がある土地や建物を選ばないようにする体制をとっています。当社の体制や考え方については「ふくろう不動産は買い手の味方として活動する仲介会社です」のページをご覧ください。

また、不動産の選び方については、多くのページを割いて説明しています。詳しくは「失敗しない不動産購入」とその子ページをご覧ください。ページ数が多いので、検索窓から関連する言葉を入れて頂き、必要と思われるページを見てもらえればと思います。

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