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中古住宅を購入した際に、最初に行う事として玄関の鍵の交換を当社ではお勧めしています(「中古住宅を買ったときリフォームは何から考えるべきでしょうか」参照)。その際にお客様から、どの鍵を選ぶのが良いでしょうかと聞かれる事もあります。これは一概には言えないのですが、通常の住宅でドア自体に問題が無ければ、CP認証が取れているディンプルキーであれば、問題ないのではないか、とお話ししています。

この鍵について、当社の考え方を少しお話ししたいと思います。最初にお断りしなければならないのは、あくまでも考え方ですので、最終的には皆さんご自身で判断して頂く前提で読んでもらえればと思います。

カギもバランスを考えて選ぶべきだと考えます

新築住宅を建てる方や、中古住宅を購入されて鍵を交換したい方は、鍵についても色々と調べる事でしょう。そして鍵もセキュリティ性の高い鍵を選ぼうと考えますと、金額がその分高くなります。

鍵をかける

カギにどの位費用をかけるかもバランスで考えるべきです。

安全に関わる問題ですから、高くてもよりセキュリティ性の高い鍵を使いたいという考え方は確かにありだと思います。一方で、鍵部分だけセキュリティが高くてもあまり意味が無い事もありますし、使い勝手が悪いという事もあります。当社では住まい選びはバランスが重要と、どのページでもお話ししていますが、鍵選びについても同様でバランスで決めるべきだと思っています。

鍵のバランスとは、使い勝手と鍵の費用と安全性とのバランスです。使い勝手は鍵の導入当初はあまり考えませんが、利用した後に意外と使いにくい鍵というものも確かにあります。

例えば指紋認証システムのカギはどうでしょうか。セキュリティ性は高いと思われますが、価格は通常のシリンダー錠の何倍もします。また使い勝手が良いかどうかは微妙であるという意見も多くあります。使い勝手に問題が出ている例として、システムが指紋をうまく認証しない、指が入れ難い、冬場では手袋を外す手間が面倒、ネイルの形状によっては指が入らない、子どもが使いにくい、等々様々な使い勝手の問題が予想されます。

今ではスマートフォンで指紋認証が一般的になってきていますので、今後は変わってくるかもしれないのですが、玄関ドアの指紋認証システムでは反応しないとか反応が鈍いという話をよく聞きます。雨の寒い日に、システムが反応しなくてドアが開かず、イライラすることが日常になるようでは、使い勝手が良いとは言えません。

指紋認証

出入り口の指紋認証システムは、まだ発展途上なのかもしれません。

電気錠では暗証番号を打ち込む形式のものもありますが、住宅ではあまり一般的な商品が出ていません。カード式は最近普及してきていますので、好みによってはこちらを考えても良いかもしれません。

ただ、カード式(ICカード系)のセキュリティ性がどの位高いのかが私には判断できません。この記事を書いています2017年5月時点ではセキュリティ性の大きな問題点は出ていない様子ですが、今後も問題が出ないかどうかは分かりません。また、カード式の施錠システムでは自動ロックがかかるものもあり、状況によっては中に入れなくなる危険性も考えられます。

個人的な意見としては、まだこれら電気系の鍵のシステムは完成されていないと思っていますので、敢えてお金を余分にかけてまで導入する必要は無いと思っています。もっともカードキーは今のところ特に大きな問題は出て無さそうですので、どうしてもという事であれば好みで入れても問題にはならないでしょう。

ディンプルキーのセキュリティ性は必要十分だと思います

セキュリティ性、という切り口で考えた場合は鍵はシリンダー錠で問題ないと私は考えています。しかし、最低レベルとしてCP認定が取れているカギを使うという事をお勧めします。CP認定を取得している鍵も種類がたくさんあるのですが、一般的な鍵はディンプルキーと呼ばれる小さな穴がたくさん開いているタイプの鍵です。

ディンプルキー

小さな穴がたくさん開いているタイプの鍵がディンプルキーです。住宅用でCP認定が取れているカギは、もう少し形が複雑です。

ディンプルキーだからといって、すべてのディンプルキーのセキュリティ性が高い訳ではありません。ですが、CP認定を取得しているディンプルキーであれば、最低限の機能は備えていると思われます。

そして、現実的にセキュリティ度合いを考えた場合、この最低限レベルであってもとりあえずは十分だと私は思っています。このタイプの鍵であれば、ピッキングやドリリングには一定以上の時間がかかるため、空き巣がこのカギを空けて室内に侵入する可能性が大幅に低くなるからです。

実際に今の日本の住宅では、新しい建物であれば、これらのセキュリティ性の高い鍵が取り付けられていますが、未だに昔ながらの鍵を使っている住宅もたくさんあります。

ピンシリンダーキー

種類にもよりますが、ピンシリンダーキーやディスクシリンダーは、セキュリティ性の低いものが多くあります。

空き巣も玄関からの侵入を考えるのであれば、当然昔のセキュリティ性が低い鍵を使っている家を狙うでしょう。もちろんディンプルキーよりもさらにセキュリティ性が高い鍵を使えばさらに良いかもしれませんが、オーバースペックではないかという気もします。

現実的にはディンプルキーでなくても、CP認定を取っている鍵であれば問題は無いと思います。ただある程度数が出ていて実績もあるディンプルキーの方がトラブルも少ないのではないかと思います。またリバーシブルタイプとなっている事も多く、使い勝手が良い点もメリットです。

人によってはディンプルキーは壊れやすいとか耐久性が無いと主張されていますが、この主張がどこまで正しいのか、私には分かりません。CP認定を取る際には、10万回以上利用しても問題にならないという耐久性が要求されているはずですので、その指定を満たしているのであれば、耐久性が無いとは考え難い気はします。

ですので、鍵の選択についての個人的な結論としては、CP認定が取れているディンプルキーをツーロックとして使えば、それで十分であると考えています。

ドアに問題がある場合には、ドア交換も含めた別対策を考えましょう

鍵以外の他の部分のセキュリティ性が甘いと、鍵だけに多額の費用をかけても意味が無いという事もあります。鍵だけに多額の費用をかけるのであれば、むしろバランスよく他のセキュリティが弱い部分を強化する方が価値が高いと私は思っています。

例えばドア自体に問題がある場合には、鍵そのものが優れていても、ドア全体のセキュリティ性は高くなりません。今では少ないと思いますが、握り玉の中に鍵があるタイプの場合、鍵自体が優れていても、セキュリティ性は高くなりません。握り玉自体を壊されてドアを空けられる可能性があるからです。

握り玉

握り玉の中に鍵があるタイプはセキュリティ的にはお勧めできません。

正面玄関ではあまりありませんが、勝手口などで握り玉タイプのドアを使っている家も時々見かけます。この場合には、ドアの別の場所にもう1つシリンダー錠を取り付けるなどの対策が必要になります。

握り玉とシリンダー部分が別

握り玉と別の部分に鍵が付いているのであれば、問題はありません。

また、玄関用のU字ロックやチェーンロックがあるから、それで十分と考えている方も多いかもしれません。ですが、これら2つはセキュリティ性はあまり高くないと言われています。

玄関用のU字ロック

種類にもよりますが、U字ロックやドアチェーンは外から簡単に外すことができます。

実際にU字ロックやチェーンロックを外す方法については、Youtube等で検索してみれば簡単に動画を見つけることができます。衝撃的な内容ですので、興味がある方は1度検索してみてください。

もっともチェーンロックやU字ロックを外すのにも少し時間がかかりますし、強盗など別のタイプの侵入を防げる事もありますので、全く意味がないというものではありません。ただ、空き巣に対しては効果が低いという点は知っておいた方が良いと思います。

またドアスコープがあるドアの場合、そのドアスコープを外し、金属の棒などを入れる事でサムターン回しを行える事もあります。郵便受けが付いているタイプのドアも同様で、そこから手や棒を入れてサムターンを回されてしまう可能性があります。こういったドアを使っている場合は、ドア自体を交換することも考えましょう。

ドアスコープ

ドアスコープが付いているドアは、ドア自体を交換するか、サムターン回し対策を施しましょう。

マンション等のように、ドアの交換が難しい場合には、サムターン回し対策商品を入れるなど、別途の対策が必要です。

戸建住宅では玄関ドア以外の対策の方が重要です

このように鍵1つについて考えるだけでも色々な事を考えなければなりません。しかし、セキュリティ対策は鍵だけ考えれば良いというものではありません。戸建住宅であれば、空き巣の侵入ルートは玄関よりも窓の方が多い傾向にあります(「3-02-12.カギと防犯の基礎知識を得ておきましょう」参照)。

鍵だけに多額の費用をかけ、窓対策が不充分という事であれば、費用のかけ方がうまいとは思われません。窓周りについても、防犯シャッターを入れる方が良いのか、防犯フィルムを張る方が良いのかなど、費用と効果のバランスを考えながら防犯対策を行う必要があります。

窓対策も

玄関の鍵だけでなく、窓対策など他のセキュリティ対策とのバランスを考えましょう。

こういった全体のバランスを考えたうえで、セキュリティ性が高い鍵を入れるのであれば構わないのですが、他の部分は対策が無く、鍵だけに力を掛け過ぎるのでは意味が無いという事は理解しましょう。

今の鍵はとてもよく出来ていますので、物理的にこれらの鍵を空ける事は難しいでしょう。むしろ人為的なミスによる影響の方が大きいのではないかと思います。

人為的なミスとは、鍵のかけ忘れや、予備カギを玄関周りに隠しておく等の事です。かけ忘れは論外としても、鍵を玄関周りに隠しておく方法も、あまりお勧めできません。人がカギを隠す場合にはパターンがあるようで、空き巣はそのパターンを熟知しているという話もあります。

また例は少ないとは思いますが、鍵の交換を依頼した業者が合いカギを作って犯罪に使うという例もあるようです。ここまで気にするのであれば、メーカーが鍵の本数を指定していて、かつ合鍵が使えないタイプの鍵を選ぶという方法があります。

そこまでは必要ないけれども、安心できる業者を選びたいと考える場合には、鍵メーカーの指定店とか業者の団体(日本ロックセキュリティ協会など)の指定店を使うという方法もあります。

鍵を交換したいという方の参考になればと思います。この記事についてのご意見やご質問などがある方は「お問い合わせフォーム」をご利用の上、ご連絡ください。