相続対策は相続税だけ減らせば良いというものではありません

ふくろう不動産は不動産を買いたいという人の代理を専門にする不動産仲介会社ですが、時々売却についての相談があります。その売却理由が相続がらみのケースも多いのですが、この相続の考え方が少しおかしい、と言いますか、何か論点がずれているように感じる事があります。

このページでは、この相続について、良く感じる事についてお話ししたいと思います。

税理士さんは計算は得意ですが、資産価値について詳しいかどうかは不明です

相続についての相談事となりますと、最初に思い付くのは税理士さんではないでしょうか?もし相続の際に、相続税が発生しそうなのであれば、税理士さんに計算やら手続きやらを行ってもらう事になりますので、税理士さんに相談するのは不思議でも何でもありません。

税金対策のイメージ

税理士さんと相談することは悪い事ではありませんが、資産価値については自分で考える必要があります。

税理士さんに相談する事自体に問題は無いのですが、予め知っておかなければならない事があります。それは税理さんは税金の計算は得意ですし、相続税対策についても詳しいとは思いますが、不動産の資産価値については詳しいかどうかは分からないという点です。

典型的な問題として挙げられるのは、相続税を低くするために借金をしてアパート経営に乗り出すというパターンです。借金をしたり、更地に建物を建てる等の手法で相続税を下げる、あるいはゼロにする事も可能でしょう。しかし、これで安心という訳にはいかないのが難しいところです。

相続税は確かに下げる事はできるでしょうが、長期に渡って得をしたかどうかの判断はこの時点では出来ません。アパート経営がうまくいかず、将来破産するという事例もよく聞きます。これは「相続で破産するということは理論的にはあり得ないはずなのですが」のページでもお話ししていますが、相続税を惜しんだが故に却ってダメージが大きくなるという事があります。

もちろん税理士さん自身に悪意は無いでしょうし、ただ相続税削減のための手法を教えているだけだとは思いますが、資産に関わる事ですから、最終的に本当に得かどうかは皆さんご自身で判断しなければなりません。

相続税の誤解を利用してビジネスを拡大している業界は不動産業界だそうです」の記事でもお話ししましたが、相続がらみで商売をしようとする人はたくさんいますし、本人の将来の資産価値とは関係なく、自社の利益の為に相続税対策の提案を行う会社もありますので、より注意が必要です。

相続税支払い猶予の10ヶ月は、不動産売却の期間を考えますと、時間は多くありません

相続税を支払うという事になった場合、その支払い時期には制限があります。国税庁のサイトによりますと、相続開始から10か月以内に申告、納付を行わなければなりません。

10ヶ月のイメージ

10ヶ月は長いように感じますが、実務を考えると決して長くありません。

10ヶ月と言いますと十分に時間があるように感じますが、意外と時間は多くありません。遺産分割協議等で時間がかかる事もありますし、収める税金分の現金が無ければ、不動産を売却しなければならないという事も出てきますが、この売却営業から引き渡しまでに数か月かかるという事も普通にあるからです。

理想とすれば、相続税がかかりそうと思われる場合には、相続発生前に相続税相当分は現金で払えるような準備だけは進めておき、万一相続で揉めた際には、とりあえず税金だけは払ってしまい、問題解決に時間がかかってもダメージは無いようにしておきたいところです。

一方で現金はほとんどなく、しかし不動産が大量にあるという場合などは話が簡単ではありません。相続発生前に不動産をいくつか売却して現金化しておくという手もありますが、一般的には資産は現金で持っているよりも不動産で持っている方が評価額が安い事が多いために、現金化する事で相続税そのものが高くなってしまうという事もあります。

このような場合は、事前の売却は難しいと思います。ですので、事前に関係者全員で話だけはしておき、相続が起きた際には、この不動産は売りに出して税金支払いの原資にしよう、というような内容は最低限決めておくべきではないかと思います。

最悪遺産分割で揉めても、相続後に売れてしまえば、その分は現金になる訳ですから、現金の分けかたさえ決まればそれで解決できます。協議に時間がかかり、税金の納付が遅くなりますと、延滞金などのダメージが大きくなり、相続者の誰も得をしないという事もあり得ます。やはり事前の準備と言うものは欠かせないものなのだと思います。

相続税が掛からない大半の方も、不動産の処分について考えておくべきです

相続税の内容は2015年に大きく変わりましたが、それでも大半の方は相続税がかかるという事は無いでしょう。基礎控除額はそれなりに大きな金額ですし、不動産の相続税も居住用財産分については、特例を使う事で課税金額を大きく下げる事も出来ます。

実際には相続が発生する方の9割以上は相続税を支払わずに済むのではないでしょうか。しかし、相続税が掛からない方であっても、不動産を相続されるのであれば、ある程度は事前にどうするかを考えておくべきだと思います。

亡くなられた方が持っていた不動産については、相続を受けた方が住むのでなければほとんどが売却という形になります。相続税の納付が無ければ売却はいつでも良いと考えられるかもしれませんが、長い期間空き家状態が続くのも、あまり望ましい事ではありません。

時間との勝負

不動産の売却金額は時間との勝負という面もあります。

私は仕事柄、空き家になっている物件を見に行くことも多いのですが、古い中古住宅で空き家となっている期間が長過ぎますと、見た目にも劣化が酷くなっていきます。雨戸などは長い間動かさないと動きが悪くなり、開けられないという事もよくあります。

お客様を物件紹介で案内する際に、雨戸を開け、窓を開けて換気をするのですが、雨戸が開かない、あるいはガタガタ鳴りながら開け難いというシーンを買い手のお客様が見ていますと、それだけでお客様が受け取るイメージが悪くなります。

人が住まない事で出る問題は、1つ1つは細かな内容なのですが、その積み重ねでより古いイメージが強くなり、結果として売り難くなったり価格を下げられる要因になったりします。

更に問題なのは、亡くなられた方の荷物などをそのままにして販売されている場合です。荷物の整理や処分にもお金が掛かりますので、売却が決まれば、その手付金等で残置物の処理費用を賄おうとされる方も時々いらっしゃいますが、損得で言えばあまり得にはなりません。

不動産を買いに見に来られるお客様は、その家の雰囲気を重視されるのですが、荷物が置きっぱなし、それも亡くなられた方の荷物が置きっぱなしになりますと、色々な意味で悪い雰囲気が出易くなります。荷物をすべて処分し、きれいにされた空き家と比べますと、荷物が置きっぱなしの家と比べ100万円以上の価格差が付くことも珍しくありません。

この辺りのお話は「空き家となった不動産を売却する人は高く売るために見せ方を2点注意しましょう」でも説明しており、逆に買い手側から見ますとお買い得となる事も多いのですが、売主さんの得にはなりませんので、注意したいところです。

相続が起き、遺品の整理など大変な事とは思いますが、100万円単位の金額差が出る事を考え、損をしないようなやり方を考える方が良いと思います。

相続の発生前に、複数の専門家に相談する方が望ましいと思います

このような事を考えていきますと、相続発生前に、様々なケースを想定し、出来る対策を立てておく方が望ましいと思います。特に相続物件で不動産が多数、あるいは多額である場合には不動産関連のプロにも相談しておくべきだと思います。

不動産会社に行くのは敷居が高いと感じられる方も多いでしょうし、実際にも変な不動産会社の人も多く、すぐに売りましょうとか対策用の物件を買いましょうとか、売買に誘導しようとする不動産会社も多いでしょう。

不動産の売る売らない

売る売らないという話に流されずに、必要な情報だけ得る事を考えましょう。

一方で不動産についての知識や資産価値についての知識を得ておく方が後々得をする事がありますので、不動産会社の営業に負けないという意思をもった上で、相談されるのが良いと思います。

ちなみに当社でも相談サービスというものを有料で行っているのですが、当社はどちらかと言えば買う為のノウハウに特化しているため、相続関係についてそれほど詳しい訳ではありません。ただ、事実はそのまま公開するというスタンスで仕事をしていますので、他の不動産会社との比較や、一般的に売買とはどういったものかを知るために、あるいは物件の相場の確認の為に使うという割り切りがあれば、当社の相談サービスも有効だと思います。

この記事の内容の一部を動画でも説明しています

このページでお話ししました内容の一部を動画で解説してみました。その動画がこちらです。

よろしければ、動画もご確認ください。当社:ふくろう不動産の相談サービスについては「有料のご相談メニューを正式に用意しました」のページをご確認ください。

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