グランドピアノと電子ピアノの音の周波数を計測してみました
ふくろう不動産ではお客様が購入する予定の土地や住宅、マンションに不具合が出ないかどうかを、様々な計測機器を使って事前に調べています。低周波音被害についても問題が出ないかどうかを確認するために、低周波音を計測できる精密騒音計を所有しており、事前に周辺の音を確認しています。
その所有している騒音計で、ピアノの音はグランドピアノと電子ピアノでは音の種類が違うのかどうか、気になったものですので、計測してみました。このページではその結果についてお話しします。
音を計測したピアノなどの楽器は3種類です
今回周波数ごとの音を計測した楽器は3種類です。
まずはグランドピアノです。斜め前50cmの距離で計測しました。
電子ピアノもグランドピアノと同様に50cm離れた距離で計測してみました。
音を計測したのは、グランドピアノ、電子ピアノ、キーボードの3種類です。置かれている場所が違いますし、距離は50cm離れた場所で計測したという条件は同じですが、測った場所が前だったり、横だったりしますので、完全に同じ条件ではありません。
また音は、和音を同じような強さで弾いてもらいました。和音は真ん中のドを中心とした和音、記号で言えば、C3、C4、E4、G4、C5の和音です。
同じ音を出しているはずですが、周波数で見ると結構異なります
このような条件で測定した結果をグラフにまとめてみました。
同じ音階の和音ですので、周波数ごとに音を見てもそれほど大きな違いはないであろうと思っていましたが、実際に計測した結果、意外と大きな差が出ました。
1番左側の棒グラフはA特性と呼ばれている音の大きさで、一般的な騒音の基準はこの数値で表されます。鍵盤は同じような強さで弾いてもらっていますが、機器の音量設定などの影響なのか、音の大きさもそこそこ違っています。
しかし驚きなのは、同じ和音であっても、周波数のパターンが違うという事です。電子ピアノとグランドピアノでは、A特性の音もそれほど大きな違いはありませんが、周波数ごとの大きさを見ると結構違います。
大きな違いが出ているのは高周波音です。他の周波数ではそれほど音圧の差がないのですが、4キロHz以上の音はグランドピアノの方が大きな音になっています。
以前日経ビジネスオンラインの記事では、ピアノは10キロHz位までしか高周波音を出さないと書かれていましたが(「ピアノが高周波音を出さず、チェンバロが出すのはなぜなのか」出典:日経ビジネスオンライン)、実際に計測した結果では、10~20キロHzという高音域でも結構音が出ているようです。
キーボードや電子ピアノではこの周波数の音があまり出ていないため、グランドピアノとは明らかに違うということが分かります。キーボードはもっと低い周波数、1キロHzあたりから差が出始めています。
私の耳では電子ピアノとグランドピアノの音の違いを正確に聞き分けることはできません。ただ、グランドピアノの方が何となく良いなあと感じるのは、こういった出ている周波数の違いによるものなのかもしれません。
また電子ピアノでは100Hzや125Hzといった低音域の音が突出して大きくなっていました。理由は分かりませんが、機器の何らかの設定でこうなっているのでしょうか。グランドピアノとの音の違いは、こういったあたりも影響しているのかもしれません。
またこの計測は正式な調査ではありませんので、計測誤差や他の要素が入っている可能性もあります。このサイトをご覧の皆さまは、このグラフの結果を絶対的なものだと考えないようにしてください。
この話自体は住まい選びの参考にはなりませんが…
このピアノの違いによる周波数の違いは、特に不動産選びの参考になる話ではありません。ただ、同じ音ですよ、と言われていたとしても実際には違うことがあるという事が分かります。また、ピアノは高周波音を出しませんよ、と聞いていましたが実際に計測すると違う部分もあります。
そして人の感覚はそれなりに正確だったりします。今回のピアノの音についても、私は電子ピアノもグランドピアノもその音の違いは正確には分かりませんが、ピアノ教師であるウチの奥さんが聞くと、すぐに分かるようです(もっとも最近の電子ピアノは良くできていて、高価格帯の電子ピアノでは、ほとんど音の区別が付かないとも聞きます)。
これは音の問題に限らず、カタログ上この数値です、となっていても実際には異なる、ということが色々なケースで起こり得ます。電磁波についても、この機器から電磁波は出ません、と言われている機器であっても、実際に計測してみると、大きな電磁波を発生していることもあります。低周波音は出ていません、と言われる機器であっても、条件によっては出ているかもしれません。
実際に住まいで生活していて、何かおかしいと感じたり、気分が悪くなるようなことがあるのであれば、怪しい機器などは使用を一時停止するなど、何か対処を考えた方が良いかもしれません。カタログ上大丈夫であっても、実際には問題があるという可能性もゼロではないからです。
変に神経質になったり、疑いすぎたりする必要はありませんし、このサイトも皆さんの危機感をあおるようなサイトではありません。
ですが、何か体調が悪くなるようなことがあるのであれば、自分の体に聞きながら、住まいや家電製品などにも問題がないかどうかを、たまには考えてみた方が良いのではないかと思います。
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