この記事の所要時間: 931

先日から少しずつ低周波音問題について調べていますが、今回はその一環で読んだ本から、学んだ内容について自分の備忘録を兼ねて記事にしました。今回読んだ本はこちらです。

紛争解決ガイド表紙

出典:慧文社

この本は全部で600頁近くある厚い本ですが、低周波音に関するページはそのうち60頁強ですので、それほど多い訳ではありません。この本の良いところは、低周波音問題に対して、主流派の意見はこう、反対派の意見はこう、比べてみると違いはここで、その違いに対する自分の考えはこうだというように、複数の考え方についてまとめてあることです。著者は弁護士ですが、本は分かりやすく書かれていますので専門家ではない私にも読めるように作られています。

今まで読んだ本はなんとなく偏りを感じる本が多かったので、このような違う意見をまとめて比較する本は理解を深めるのに役立ちますので助かります。ただ一方で、これで良いのかと疑問を感じさせられることも数多くありました。

低周波音が感知されていなければ身体に影響が出ないという考えについて

感知される場合のみ被害が出るという意見が本当に正しいのかどうかが疑問です

感知できるかどうか

すぐに感知できるかどうかで判断するのは危険な気もします。

低周波音は100Hz以下の音、そのうち20Hz以下の音を超低周波音としていますが、超低周波音は耳で聞くことができません。しかし耳では聞こえないものの、体で感じることができる人がいることから、この本では聞こえることと感じられることを合わせて「感知される」という定義としています。

そして主流派も反対派も感知される場合に限り身体的被害が出る、という点でその点では意見の食い違いは無いとしています。またこの本の著者もこの考えに同意しています。

ただこの考えが本当に正しいのかどうか、今の私にははっきりとは分かりません。私は低周波音被害者ではありません。その代わりではありませんが、花粉症の症状を持っています。そこでつい花粉症と照らし合わせて考えてしまいます。

花粉症患者である私は花粉が飛んでいるかどうかを感知することはできません。外出して帰ってきたときや次の朝に目のかゆみや傷み、くしゃみや鼻水などの症状の大きさでようやくその前の花粉の多さを思い知らされるだけで、花粉そのものを感知できる訳ではありません。中には、今日は花粉がたくさん飛んでいる、と感じられる方もいるかもしれませんが、私には無理です。しかしアレルギー症状は大体似たようなものではないでしょうか。

例えば食品アレルギーを持っている人は、食べた時にそのアレルギーの元となるアレルゲンが、食べ物に入っているかどうか分かる訳ではありません。後からアレルギーの症状が出て初めて分かることも多いと思います。食べた時にアレルギーだと分からないのだから、症状はアレルギーのせいではない、という人はいません。しかし超低周波音の被害についてはなぜか同じ話が通っているような気がします。

超低周波音であっても感知できる人もいるようですが、すべての人がそうだとも思いにくいと思います。一部の人が感知できるからといって、すべての人がそうだと言い切るのは危険な気がします。もう少し医学的・統計的な研究を進めたうえで判断すべきものではないかと思いました。もっともこれは感知できるという言葉の定義による違いだけかもしれません。

感知できるようになった時は既に発症しているのではないでしょうか

花粉症のイメージ

感知できる状況はすなわち発症後ではないでしょうか。

実際に一般の方では感じられない超低周波音を感知できる人もいます。既に低周波音の被害者となられた方は、近くに低周波音を発生させる機械などがあるとすぐに分かるようです。これは最初から低周波音に敏感な方もいるかもしれませんが、症状が出るようになってから分かるようになった方も多いように感じます。

しかし、この考えでいけば、感知できるようになった時には既に手遅れという気がします。これで良いのかどうかが疑問です。アレルギーコップ説(というか例え?)では、コップの容量を超えた時に症状が出ると言われます。感知できない時はコップにどんどんとアレルゲンが溜まっていき、一定の容量を超えると症状が出るという事です。この考えが正しいのであれば、感知できない人は問題がないのではなく、まだ症状が出ていないだけ、という可能性もあります。このあたりも早く研究が進んでほしいものだと思います。

医学的な研究が進んでいるのかどうかが不安に感じました

医学研究のイメージ

この低周波音問題について、医学的・疫学的な研究がきちんと進んでいるのかどうかが不安です。

そもそも医学的な研究が進んでいるのかどうかが不安に感じました。何しろ主流派の考えでは、感知できない人には症状が出ないという主張です。結局は患者が数多く出て、低周波音との関連性を調べるようになり、その件数が一定以上集まった段階でようやく基準が決められるという事になるのでしょうか。

シックハウス症候群の時と同じような展開になる気がします。このような分かりにくい症候群の場合は、医学的な対応がいつも後手にまってしまうのは、何とかならないものかと思いました。

参照値は当てにならないという事を再認識しました

低周波音の参照値

環境省で定める低周波音の物的苦情に関する参照値です。

低周波音の心身的苦情の参照値

心身的苦情の参照値はこちらですが、実際にはこの数値以下で低周波音被害を受けている方が数多くいます。

この本でも参照値について書かれていました。参考になってのは、この参照値を決めるために行われた実験の内容についてです。参照値の決め方で不満と感じたのは、
・実験を行った総人数が29人と少ない、かつ苦情申立者はそのうち9人のみとこちらも少ない
・実験が短時間だけ低周波音を受けた結果で判断している
・耐えられるかどうか(つまり感知できるかどうか)という基準で決めている
・耐えられる音の音源がどのような内容だったのかが不明
・10%タイル値で参照値を決めている

といったあたりでしょうか。それにしても実験をした人数が29人というのは本当に少ないと感じます。10%タイル値で決めたという事は、3人がこの音圧がダメと言った数値で決まったということになります。サンプル数があまりにも少ないのではないかという印象を受けました。

また、低周波音(あるいは超低周波音)が感知できるはず、という前提で進められている実験ですので、感知できなくても影響があるとすれば、この実験は全く意味がありません。感知できるタイプの被害者が2人以下だった場合には、一般の方でも感知できる音圧で決まってしまった可能性がありそうです。

それに我慢できる音圧を被験者に示してもらっということですが、どの周波数の音がどのくらいという設定で実験を行ったのかが書かれていませんでした。低周波音被害が特定の周波数の大きさのみで決まるとすると、この実験がそのような内容も配慮して決めているのかどうかが気になります。さらに特定の周波数の音圧の組み合わせで揉んだが出るとしたら、など色々なことが考えられますが、おそらくこの実験ではそこまで細かい設定をしていないのではないかと思われました。

実際には低周波音の音圧が参照値以下でも低周波音被害が出ているというのも、このような実験で決められた数値であれば当然という感じを受けました。

 耳鳴りとの比較や区別が難しいということを改めて知りました

耳

体の問題による耳鳴りと区別が付き難いのが難しいところです。

実際に低周波音被害と同じ症状が出ていたとしても、低周波音による被害なのか耳鳴りなど個人の病気による問題なのかの判別が難しいということが改めて分かりました。耳鳴り自体原因を特定することが難しいようで、肩こりやストレスなど低周波音以外の原因で耳鳴りを起こすことがあります。さらに紛らわしいのは低周波音自体が原因で耳鳴りという病状が出るケースもあるようなので、何が原因かを特定させることがとても難しいようです。

低周波音で被害が出ていると感じている人の何割かは別の理由による可能性もあり、その判断が簡単にできないようです。低周波音被害者が感知できるのであれば、低周波音が原因であると言えそうですが、感知できない場合にはすぐには判断でき無さそうといった印象を受けました。

調べる方法としては、一定期間低周波音発生源から離れて生活し、体調が戻るのであれば、低周波音の被害であった可能性が高いということでしょうか。あるいはマスキングなどを試してみて、効果があるのであれば低周波音被害である可能性が高いと判断することになるのでしょうか。このあたりは低周波音被害者の方の意見を聞いて考えてみたいと思います。

体感調査は重要だということでしょうか

環境省も含めた主流派の主張では、低周波音の調査では
1.測定値と参照値との比較
2.体感調査で判断
の2種類となっています。しかしこの本の著者は参照値は参考にならないので、体感調査のみで行うべきと主張しています。

参照値があてにならないという意見には私も賛成ですし、最終的には体感調査判断せざるを得ないのでしょう。ただこの体感調査は、低周波音を出す機械が動いている事をすぐに感知できるかどうかだけでなく、もっと長い期間で判断すべきだと私は思いました。もっとも、では具体的にどのような対処を行えばよいのかが分かりませんので、こちらも引き続き意見を聞いたり考えたりしたいと思います。

考えや行動指針がなかなかまとまりません

この本を読んで色々と勉強になったことは多いのですが、では実際に私はどのような事を行えばよいのかが、まだイメージできません。現在考えていますのは、超低周波音も計測できる機器を購入し、計測事例を増やすこと、そしてこの音圧であれば将来低周波音障害を引き起こす可能性が低いという基準を設定し、その基準以下で生活できるようなアドバイスを行える体制を整えることではないかと思っています。

これらの内容がまとまり次第、固定ページに情報を公開する予定です。ご質問やご要望などがありましたら、お問い合わせフォームなどでふくろう不動産までご連絡をお願いいたします。