不動産の売却依頼先の不動産会社を決めた理由を見て考えさせられました

前回の記事では、不動産を高く売却するためには不動産仲介会社選びが重要であるという話をしました(「空き家となった不動産を売却する人は高く売るために2つの点に注意しましょう」参照)。

しかし実際に不動産を売却しようと考える人が売却依頼をする不動産会社を選ぶ理由は、アンケート調査などによると全く違う理由で選んでいるようです。このページでは、一般的にどのような理由で売却依頼する不動産会社が選ばれているのかを考えながら、本来はどのような理由で選ぶべきなのかを考えたいと思います。

不動産の売却を依頼した不動産会社の選択理由に良い理由もあればどうだろうと感じられる理由もあります

考えるイメージ

この選択理由はどうなんだろう、と考えさせられるものもあります。

不動産ニュースを定期的に配信しているHOME’S PRESSの記事によりますと、売却を依頼する主な理由は下記の通りです。

1位 地元の不動産事情に詳しかったから 30.0%
2位 担当者の対応が良かったから 28.8%
3位 知っている会社だったから 25.4%
4位 知名度のある会社だったから 17.9%
4位 対応/返答が早かったから 17.9%
6位 査定価格が高かった/適切だったから 14.6%
7位 会社の規模が大きかったから 12.9%
8位 その他 7.5%

マンションや一戸建てを売却することになった理由ランキング(HOME’s PRESSより)

この理由は、お客様が選んだ理由ですので、正しいとか間違っているというものではありません。しかし、高く売るために、とか、問題なく売るために、という観点から見ますと、あまり関係がない項目も見受けられます。どの項目が関係ないのかということを、もう少し詳しく見ていきます。

査定金額の高さで売却依頼先を決めても不動産が高く売れるとは限りません

高いイメージ

高い査定金額を付ける会社が1番高く売ってくれる訳ではありません。

依頼理由で1番どうかと思うのは、理由の6位に入っている査定価格で決めるという考え方です。高く査定してくれる会社が高く売ってくれる、と考えて依頼するのであれば、本当にそうなのかをもう少し考えてみるべきです。

査定価格とはあくまでも売却予想価格です。高く売れると予想している会社が高く売る能力があるとは限りません。複数の不動産会社が査定見積もりをする場合、売却依頼が欲しいために、敢えて高い査定金額を付ける会社もあります。ですが、実際に売りに出すと、市場よりも高い価格が出ている訳ですから実際には売れません。

高い査定金額を付け、まずは売却依頼を受け、売り主さんと関係性を作ったうえで、営業期間中に少しずつ売り出し値を下げていくという方法を使う不動産会社はまず多くあります。この場合には、最初の査定金額の高さに意味はありません。

不動産売却依頼を行う前に査定を行うのは無意味ではありません。ただそれは査定金額を聞くだけではなく、どうしてその金額で売れると考えるのか、市場動向を聞くのに役に立ちます。

そして、他の売れている物件価格が安いのに、もし高い査定金額を付けるのであれば、その理由を確認しなければなりません。その理由が納得がいくものであれば、その会社に売却依頼を行うというやり方であれば、良い方法だと思いますが、単に高い査定価格を付けただけで、理由は分からない、ということであれば、その売却はなかなか難しくなるのではないかと思います。

不動産会社の知名度や規模と営業力とは必ずしも結びついていません

大会社のイメージ

相手が大会社だからといって、営業力があるとか安く取引できるということはありません。

依頼理由の3位と4位には不動産会社の知名度が、7位に会社の規模が入っています。大手の方が安心できるという理由だと思われます。依頼する会社が詐欺的な会社ではない、ということを重要視するのではあれば、確かにこの考え方は有効です。大手不動産会社に売却を依頼するのであれば、お金をだまし取られるということは、まず無いでしょう。

一方で高く売ってくれるかどうか、熱心に売ってくれるかどうかはまた別の問題です。大手の不動産会社であっても、支店や営業担当者によっては両手取引を狙って囲い込みをすることもあります(囲い込みについては「第1章.その不動産が高く売れるかどうかは不動産会社の方針に左右されます」の記事を参照してください)。

土地や中古住宅、中古マンションの売り物件情報は、不動産仲介業者が使うREINSというシステムに登録されていますので、情報量については大手でも中小でもほとんど差がありません

また営業力については、会社が大手であるかどうかよりも、どのくらい告知活動を行ってくれるか、そして購入希望者の案内などをどのくらいまめに行ってくれるかの方が差が出ます。告知活動をどのくらい行ってくるかについては「不動産情報の囲い込みに対する売主の対策について考えてみました」の記事が参考になります。

知名度が高い不動産会社は、広告を頻繁に出しているか、良く目立つ一等地に事務所を構えていることが多いと思います。しかし、不動産会社自体の広告量や事務所の立地と、その会社がきちんと営業してくれるかどうかは直接の関係はありません

不動産会社の営業マンはそれなりによく働いていると思いますが、その働きの半分以上は特にお客様にとってメリットになる活動では無かったりします。このあたりの話は「不動産仲介会社の仕事や経費の大半はお客様にメリットがありません」の記事を参考にしてみてください。

注意点、ではありませんが、知名度が高いからと言って大手の会社とは限らないこともあります。それは不動産会社の名前がフランチャイズ店のケースです。

フランチャイズの不動産会社では、会社の名前こそ同じですが、それはそのグループに所属しているというだけで、1店1店は小規模経営の不動産会社であることもよくあります。もちろん小規模経営だから悪いということはまったくありません。一方で有名な名前のお店だからと言って、大手とは限りませんし、さらに言えば、安心であるとも限りません。

地元の不動産事情に詳しいということは大きなメリットになることがあります

地元のイメージ

地元に詳しい、というそのものではなく、間接的にメリットが出やすいようです。

依頼理由の1番は、地元の不動産事情に詳しいから、となっています。この地元に詳しい、という事自体が直接メリットになる訳ではありませんが、地元に詳しい会社を選ぶというのは1つの考え方として有効ではないかと思います。

地元に詳しいという事は、そのエリアへの訪問件数が多い、つまりは頻繁にそのエリアに行っている可能性が高くなります。頻繁にそのエリアに行っているのは、それだけそのエリアの不動産を案内している件数が多いと思われます。

不動産の売却を依頼されている会社の営業マンによっては、物件案内も面倒がって、自身が現地に同行しないこともよくあります。しかし、現地に詳しいという事は、それなりに足を運んでいる可能性が高く、その結果として現地周辺に詳しくなりますので、逆説的な話ですが、現地に詳しい人であれば現地によく足を運ぶフットワークの良い営業マンである可能性が高くなります

また変な話ですが、自分が詳しいエリアの方を案内したがるという傾向が営業マンにもあります。ですので、その営業マンが現地に詳しい場合には、まめに現地を案内してくれるという可能性が高くなります。

そして、購入希望のお客様が内見しに来た際には、その詳しい内容をお客様に話してくれることにより、成約の可能性は高くなります。こういったことを考えると、現地の不動産情報に詳しい人に売却を依頼するという事は考え方として理に適っていると言えます。

担当者からの連絡や対応が早いのもメリットと考えてよいと思います

返信のイメージ

返信や対応が早いというのは、ビジネスの基本ができている相手だと判断できます。

依頼理由の2位と4位は担当者の返事や対応が早かったから、となっています。これは相手が不動産会社に限らず、取引の基本と考えてよいと思います。連絡をしたのに、先方が返事を受け取ったのかどうかも分からない、というのであれば、今後の取引や連絡でトラブルを起こしかねません。

まめで素早い連絡というのは営業の基本でもあります。この基本ができている相手を選ぶという事で、まずは基本的な能力がある相手を選んだ事になります。

ただ1点注意しなければならないのは、この連絡の良さが媒介契約を取るまでだけで、実際の営業活動や営業報告は対応が遅いという事になると問題です。しかし幸い不動産の売却依頼である媒介契約は3か月ごとの更新となっています。もし、当初は対応が良く、実際の営業活動期間の対応が悪いようであれば、3か月後に契約の更新を行わず、別の会社と契約しなおせば良い話です。

ちなみにこの媒介契約は原則として3か月ごとに更新しなければならず、その際には当然手続きを行います。ですが、この手続きを全く行わず、媒介契約を継続して行うという不動産会社も時々あります。

更新手続きを行わない会社は、連絡もまめではない会社が多いので、もしこのような会社に媒介依頼をしてしまったのであれば、3か月後に契約更新しない旨を告げ、別の会社に乗り換える方が賢明だと思います。

残念なことですが、不動産会社の中には、この更新も含めた連絡・報告が悪い会社が結構あります。そのような会社を選ばないようにするためにも、この対応が早い会社を選んだ、というのは良い判断ではないかと思います。

不動産の売却依頼先についても3社くらいを見て比較して判断しましょう

比較のイメージ

3社くらい会って話してから依頼先を決めたいものです。

不動産の売却依頼をどの不動産会社に行うのか、ということは簡単そうに見えてなかなか難しいものです。不動産売却が成功するかどうかは、どの不動産会社に頼むかで大半が決まってしまいます

不動産を購入する際には、不動産について勉強される方がたくさんいらっしゃいますが、売却の時は積極的に勉強される方はあまり多くありません。ですが、この不動産売却を安易に行うと、
・本来売れる値段より安く売却することにより、金銭的に損をする
・後で購入者から訴えられるなどのトラブルに巻き込まれる
という失敗に巻き込まれることもあります。

これらの話は「失敗しない不動産売却」やこの子ページでも書いていますので、こちらも参考までに読んでみてください。

不動産は金額がとても高いものです。安易に考えずに、事前にある程度の勉強をしてから売却に挑んで頂きたいと思います。

1番簡単な勉強方法は、複数の不動産会社の営業マンと話をして、比較することです。同じ質問をしても、不動産会社の考え方によって、答えは異なります。

特に本当に売らなければならないのか、という判断については正しく返答してくれる営業マンはほとんどいません。不動産会社は売買が行われないと収入を得ることができません。そのため、本来は売る必要が無いケースであっても、なるべく売却するように働きかけます。相手が正しいことを言っているのかどうかを判断するのは簡単ではありませんが、それでもいくつかの会社と話をして比較することで、ある程度は判断できるようになります。

不動産を売却する際には、可能であれば3社くらい会社を訪問し、じっくりと話を聞いてからどの会社に依頼するかを決めるべきだと思います。

当社:ふくろう不動産は、不動産を買いたいという人のためのサービスを特化させていますので、不動産の売却はほとんど行っておりません。このような立場ですので、逆に第三者的な判断ができることもあります。

もし不動産の売却についてお悩みのことがありましたら、当社でも何らかのアドバイスができるかもしれませんので、よろしければご連絡ください。ご連絡は「お問い合わせフォーム」のご利用が便利です。ご連絡されたからと言って、当社からしつこい営業を行うこともありませんので、ご安心ください。

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