不動産はその仕組みから、お買い得物件は出ないようになっています

当社:ふくろう不動産には様々なタイプの質問が寄せられるのですが、その中の1つに「御社を通せば割安な物件を買う事ができますか」という質問が時々あります。特に当社の地元付近であれば、地元ならではの情報でお買い得物件を知っているかもしれないと考えられる方もいらっしゃるようです。

お買い得の文字

不動産物件にはお買い得物件は出ない仕組みになっています。

この質問にはいつも同じ返事になるのですが、「お買い得物件や割安な物件と言われるような不動産はありません」とお答えしています。ただこれは、当社だから割安物件を取り扱えないのではなく、どの不動産会社でも割安物件と呼ばれるようなものを扱う事はありません。もう少し正確に言えば、割安な不動産物件が一般市場に出回る事はありません

これはそうなるべくしてなっているのですが、この点について、少し詳しく皆さんに説明したいと思います。

不動産が安く売られるとすれば、その原因は2つしかありません

当たり前の話ですが、販売している物件には当然売主さんがいます。そして売主さんは可能な限り、なるべく高く売りたいと考えています。売却を依頼する不動産会社が地元であろうが大手であろうが、高く売ってくれると思われる会社に売主さんは依頼します。地元の会社だからといって安い価格で売りに出すという事は理屈で考えればあり得ません

売り子のイメージ

商売人でないとしても、わざわざ安く売りたいと思う人はいません。

これがもし、安い価格で売るとしたら、原因は基本的に2つしかありません。

その2つとは、
1.すぐに現金化する必要があるため、安くても現金を持っている人に売る
2.売れる相場を間違って理解しているため、安い価格で売ってしまう
の2パターンです。

実際にはこの2つのパターンの両方が該当することもあります。

急ぎの売却の場合は現金を用意できる不動産業者が買い取ります

1.のパターンは時々あります。ですがこの物件は一般の市場には出てきません。不動産を買いたいという一般の方のほとんどは住宅ローンを使います。そしてその住宅ローンの審査や手続きは1か月以上かかる事が多いため、売却を急いでいるお客様の要求に応えにくくなります。

現金持っている

すぐに現金が欲しい売主には現金を持っている業者を紹介します。

また一般のお客様が不動産を購入する場合には、住宅ローンの特約を付けます。これは万一住宅ローンの審査が通らなかった場合には契約を解除できるという特約です。この特約によって、結局契約が流れてしまいますと、急いでいる売り主さんは更に問題になります。

このような事情から、すぐにでも現金化したい売主さんから相談を受ける仲介会社の営業マンは、すぐに現金を用意できる業者に連絡を取る事になるでしょう。不動産業者は転売目的で不動産を買いますので、相場よりも安く買います。その代わりすぐに現金を用意できますので、急いでいる売り主さんにとっては、安くても仕方がないとして、その価格で成約することがあります。

このケースでは、一般に売り情報が出る事があまりなく、仲介会社の営業マンのネットワーク内で話がまとまってしまいます。つまり、この物件が一般の市場に売りに出される事はありません。

単に相場を知らない売主さんには、仲介会社が相場を説明して相場に近い金額で売りに出します

2.の場合は、売却の話を受けた仲介会社の営業マンに誠意があるかないかで、方向が異なります。まずは誠意がある営業マンが話を聞いた場合のパターンから考えましょう。

丁寧に教える

売主の事を考える営業マンであれば、相場をきちんと教えてくれるでしょう。

きちんと売り主さんの事を考えている営業マンが、もし売主さんの考えている売れる価格が、相場から大きく低い金額である場合、もっと高く売れますから頑張りましょうという話をします。周辺相場の説明を行い、多少時間がかかっても、高く売れるよう、売り方を考えてくれるでしょう。

高く売れる方が売り主の利益になりますし、不動産会社に入る仲介手数料も高くなりますので、お互いに得をすることができます。難点は高く売ろうと考えた場合には、売り方がより難しくなるため、売却に時間と手間がかかってしまうことです。

不動産会社の営業マンの立場からすれば、売り手のお客様が安い価格で売れると考えてくれていた方が楽ですし助かります。価格が安ければ、お客様からの問い合わせも増えますし、実際に売りやすいからです。

このあたりは、営業マンがどの位の誠意をもって対応してくれるかによりますが、ある程度売り主さんの事を考えてくれる営業マンであれば、ある程度は相場に近い金額で売りに出してくれることでしょう。この価格はもちろん相場に近いので、お買い得物件にはなり得ません。

不動産の売り物件を不誠実な営業マンが受けた場合は別ルートが生まれます

さて問題は、2.のパターンで不誠実な営業マンが依頼を受けた場合です。売主さんは自分の不動産の売れる価格を、相場よりも相当安い価格であると勘違いしているとしましょう。この営業マンが自社あるいは自分個人の利益を高くするには、どうしようとするでしょうか。

個人の利益のイメージ

仲介会社の営業マンは自分の利益が最大限になるような行動を取る事があります。

正解は営業マンが懇意にしている転売業者に売却することです。これで、売り手からはもちろん、買い手である転売業者からも手数料を得ることができます。

仮に成約価格が相場よりも低い金額となったとしても、仲介会社は両方から手数料が入る方がはるかに儲かります。更に公にはなっていませんが、転売会社から仲介の営業マンに何らかのバックマージンがある事もあり、担当者が個人的な利益を受けやすい構造になっています。

具体的な金額を出して考えてみましょう。仮に不動産の相場が4,000万円なのに対し、売主さんが3,000万円だと思っていた場合で計算してみます。

売主さんに懇切丁寧に相場について説明し、4,000万円で成約した場合の仲介手数料は最大で1,360,800円です。これが3,000万円のままでも懇意の業者と成約した場合は、両方から手数料が入りますので手数料の合計は2,073,600円になります。

この時点でも十分売り上げが増えるのですが、更に転売業者が転売する時に自分の仲介会社を使ってもらえればもう1度同じ物件の取引で仲介手数料を取ることができます。

これに加え、非公式のバックマージンがあるのであれば、担当者の利益は更に大きくなります。

そしてこのやり方の最大のポイントは、これらの取引は法律違反をしていない事です。正確に言えば、非公式のバックマージンは法律や所属する会社の規約に触れる可能性がありますが、それ以外は法律違反の部分はありません。

取引のモラルには欠けるかもしれませんが、罰せられる要素は恐らく無いと思われます。転売業者の立場から見れば、2度仲介手数料を払い、更にバックマージンを払ったとしても、この物件の売却益は1,000万円ある訳ですから、その中で十分に利益が出る事になります。

このような状況を考えますと、価格が安い売り物件が一般市場に出てくるはずが無い事がお分かりになると思います。

価格が安い物件は問題があるから安いだけで、割安ではありません

このようなお話をお客様としていますと、実際に相場から見て安い物件が出ているではないか、と返される事もあるのですが、その物件は割安の物件ではありません。価格が安いのは何かしらの問題があるから安いだけであって、その問題も含んで考えますと、やはり妥当な金額である事がほとんどです。

故障のイメージ

安い物件があったとすれば、それは何かしらの問題があるからです。

例えば、妙に単価が安いと思われる物件は旗竿地であって、実際に使える土地面積は狭いという事が良くあります。あるいは再建築が出来ない土地にある戸建住宅であったり、擁壁に問題があり、その改修費用に多額のお金が必要になる物件だったりと、何かしらの理由があるから安いだけです。

実のところ、こういった見た目の価格が安い物件は、問題との対比で考えますとむしろ割高である事がほとんどで、お客様にお勧めできる物件はまずないというのが実情だったりします。

このような問題や不動産業界の実情については、皆さんがお話しされる不動産会社の営業マンがきちんとした人であれば、詳しく説明してくれるはずです。逆に、当社では割安の物件をご紹介できますよ、と言う会社や、価格が安い物件の問題を説明せずに勧める会社については、通常以上に注意をしながら物件をチェックされるか、付き合う不動産会社を代える事をお勧めします。

この記事の内容の一部を動画で説明してみました

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