ソニー不動産とYahoo!不動産のおうちダイレクトはどう受け止められるでしょうか

2015年11月5日にYahoo!不動産とソニー不動産が「おうちダイレクト」という制度を始めました。面白い取り組みだと思う反面、この内容はどうなんだろうと考えさせらる部分もあります。この「おうちダイレクト」について、ふくろう不動産が思うことや感じたことを述べたいと思います。

マンション流通革命になるかどうかは今後の展開次第です

以前よりヤフー不動産とソニー不動産は提携しており、不動産流通革命プロジェクトと銘打ち、新たな試みを始めると言っていました。どうやらその内容が固まったようです。

今までにない内容なのは確かですが、一方でちょっと不満があります。内容を見る限り、お客様のためになっている部分もあれば、ならない部分もあります。サービスは始まったばかりですのでどのような展開になるかは分かりません。ただ少し内容を変更したほうが、売主や買主も含め、多くの人が使いやすいサービスになりそうなのに、ちょっと残念な部分を感じます。

この「おうちダイレクト」が主張しているメリットについて考えることで、この制度がどのような一面を持つのかを考えたいと思います。

不動産仲介会社を介さないで売りに出せるという主張は正しくありません

ヤフーとソニー不動産のプレスリリースによると、不動産仲介業者を介さずに売りに出せる、と書かれています。ですが、物件見学や契約などの実務はソニー不動産がサポートします、とも書かれています。

握手

結局のところ、お客様同士の取引ではなく、通常の仲介です。

表現上の問題もあるかもしれませんが、結局これはソニー不動産という不動産仲介会社を使う一般的な仲介業務にしか見えません。これが、物件を自由に売りに出せて、間に仲介会社が一切入らないのであれば、新しい不動産取引プラットフォームと言えるでしょう。また少し譲って、間に入る代理人や仲介会社を自分で選べるというのであれば、それでも良いと思います。

ですが、使う仲介会社はソニー不動産限定です。結局最初の物件情報を公開する部分にのみ仲介会社が入らないというだけで、実際には通常の仲介業務とさほど変わりません。マッチングサービスとうたうのであれば、もう少し他の会社が入れる仕組みにしないと、結局はソニー不動産の営業のいい手法であるようにしか取れません。

他の会社が入らないということは、結局売主や買主も損をする可能性があります

他の会社が入れない、という話をしますと、業界保護のための主張と思われるかもしれません。ですがこれは業界のための意見ではなく、売主や買主にとってもデメリットがでるやり方だと思っています。

例えば売主は、自分が売りに出した物件をなるべく多くの人に見てもらいたいと思うでしょう。見てもらう人が多くなるほど、買主候補が増えるからです。しかしこの制度では、買主はヤフー不動産かソニー不動産のサイトを見て、自分で問い合わせしない限り、その物件を見つけることはできません。

これは、買い手側の不動産仲介会社もソニー不動産が受け持つという仕組みになっているため、一般の買い手側の不動産会社が広告や宣伝、あるいは自社のお客様を紹介することがないからです。

狭い範囲での話

一般の不動産会社は紹介や広告出稿をしないため、狭い範囲のみの告知になります。

単にソニー不動産が売主側の仲介会社であるという立場を取るのであれば、この心配をする必要はありません。ソニー不動産は売り主から仲介手数料をもらい、買主側の仲介会社は買主から仲介手数料をもらえば済むからです。

この形式であれば、買い手を持っている不動産会社は喜んでソニー不動産の物件を紹介するでしょうし、場合によって自社でその物件の広告を展開しますので、より多くの人に物件情報が行き渡ることになります。

ですが、今回の仕組みを見ますと、売り主側は仲介手数料が不要となっています。となると、ソニー不動産は買主から仲介手数料を取らざるを得ません。どんなに経費を節約したとしても、収入がゼロではビジネスが成り立たないからです。

このような仕組みですと、買主側に立っている不動産会社は収入が得られません。となると、他の不動産会社は当然その物件は紹介しませんし、その物件の広告を出すこともありません。Yahoo!不動産に物件情報が載っても、suumoやHOME’Sに広告が載ることは無いでしょう。結果的に売り主側は販売の機会を大きく減らすことになります。

恐らく売り物件を集めたいが故に、売り主側の仲介手数料をゼロにしたのだと思いますが、売り主さんもこのような仕組みであることは時間が経てば気が付くでしょう。

また、当社:ふくろう不動産は買い手のためのバイヤーズエージェントとして活動しています。そして当社のような買い手側に立つ不動産会社は、買い手から得られる仲介手数料を収入源としています。ですが、この「おうちダイレクト」で紹介される物件は、ソニー不動産が買い手側の不動産仲介も行うため、当社のお客様にこの物件を案内することはできません。

不動産取引プラットフォームを目指すのであれば、もう少し多くの人が利用できるシステムを作ってほしいものだと思います。

売り出し値を自分で決められるのは通常の仲介も同じです

この「おうちダイレクト」のメリットとして、売り出し価格を自分で決められる、というものがありました。ただこれは普通の仲介会社を通しても同じです。

金額のイメージ

いくらで売りに出すかは、一般の仲介であっても売り主さんが決めます。

不動産仲介会社は査定を行いますが、この査定金額で売りに出さなければならないというものではありません。ほとんどの不動産仲介会社では、売り出し値は売り主さんの意向で決めます。ですので、一般の仲介に出した場合でも、自分で売値は決められます。

何か今回の「おうちダイレクト」が特別なことを行っているように見せているのは、何だかなという感じがします。

物件広告を無料で掲載できるのも通常の仲介と変わりません

物件を無料で広告できるというのも、通常の仲介と同じです。一般的に不動産会社と媒介契約を結びますと、その会社は自社で物件の広告を出します。そしてその広告費は仲介会社の負担ですので、売り主さんが費用を出すことはありません

無料のイメージ

通常の仲介でも広告掲載費は無料です。

また、売り主の媒介契約を受けた不動産会社が広く公開する意思を持っていれば、他の会社が広告を出すことも認めますので、自社だけでなく、複数の会社が物件の広告を出してくれることになります。

「おうちダイレクト」ではYahoo!とソニー不動産にしか物件掲載がありませんが、通常の仲介の方がより多くのサイトなどに、物件情報が載ることになります。この点も「おうちダイレクト」にはあまりメリットがありません。

唯一良いと思うのは、売る前であってもオーナー登録ができる点です

一方このシステムで良いと思う点もあります。それはオーナー登録です。現時点で売る気がなくても、オーナー登録をしておくことで、自分のマンションの価格をある程度の精度で把握することができます。

価格

売りに出さなくても価格が分かるのはメリットです。

通常は、売る意思がないと不動産会社は査定を行いませんが、このシステムでは割と気楽にオーナー登録が出来そうですので、いざという時のために、自分のマンションの価格を知っておきたいと思っている方には便利な機能です。

このオーナー登録と並んで、自分のマンションの人気度が分かる「買いたいリクエスト」もメリットの1つとして挙げられています。これが本当にメリットになるのかどうかは、私には判断が付きません。マンション購入希望者すべての要望が届くのであれば参考になると思いますが、この買いたいリクエストを出せるのは、Yahoo!不動産を見ている人のみです。購入者の何割くらいがYahoo!不動産のサイトを見てチェックしているかが微妙なことを考えると、このリクエストもどのくらいの効果があるのかは、よく分かりません。

これがREINSのように、ほぼすべての不動産会社が使うシステムであれば、効果は高いと思いますが、いちサイトのみの掲載ですとどのくらいの件数が集まり、どのくらいの精度が人気が分かるのかは、まだ未知数だと思います。

ただ、買いたいという人がいるという事が直接売り主に届くのは良いシステムだと思います。仲介会社によっては売り主を囲い込み、買いたいという人がいること自体を隠す仲介会社もそれなりにあるからです。

厳しい意見をたくさん書いたのは、ソニー不動産に大きく期待をしているからです

今回「おうちダイレクト」について厳しい意見を書きましたが、それは私がソニー不動産に大きな期待をしている反動かもしれません。ソニーがこの業界に参入する際に、業界の悪い風習を無くし、業界自体を良い方向に大きく変えてくれるのではないかと期待していました。

七福神

業界を変える力になると期待しているのですが…

ですが今回の「おうちダイレクト」は、単に売り主の仲介手数料をゼロにした両手取引狙いの宣伝としか感じません。仲介手数料をゼロにしている会社は他にも結構あります。ですがそれは、取引の反対側(売り主の手数料がゼロであれば買主、買主の手数料がゼロであれば売り主)から手数料をもらうだけです。「おうちダイレクト」も仕組み自体は大きなものですが、この手数料ゼロの取り組みの変形にしか過ぎません。

このプラットフォームも使う代わりに売り主さんからは手数料を取るという事ではいけないのでしょうか。そして買主さんは自分で業者を選ぶなり、ソニー不動産を選ぶなりの選択がある方が良いのではないでしょうか。あるいは仲介業ではなく、売買自体はお客様同士に行ってもらい、司法書士や検査技師などの専門家を紹介するサービスでも良かったのではないでしょうか。

せっかく「不動産取引プラットフォーム」とうたいあげ、業界をリードしようとするのであれば、もう少し違ったやり方もあったのではないかと思います。

この取り組みがうまくいくのかどうかは分かりませんが、もしうまくいかないのであれば、それはここまで書いてきた理由の影響もあるでしょう。私はいち業者として、もう少しうまいやり方を今後ソニー不動産が取ってくれることを期待しています。

これは、不動産を買いたい人向けのサービスを行っている会社である当社から見た意見です。当社がこの取り組みに参加できないという不満も混じっているのかもしれません。ですが、自社の立場を置いて見たとしても、ちょっとこの取り組みには無理があるように感じました。今後の経緯を見ていきたいと思います。

また、当社では皆様からのご意見を随時受け付けています。ご連絡は「お問い合わせフォーム」のご利用が便利です。ご連絡されたからと言って、当社からしつこい営業を行うこともありませんので、ご安心ください。

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