住宅ローンの繰上返済の反対派の方の意見に思う事をお話します
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住宅ローンの繰り上げ返済については、様々な意見があります。「積極的に行うべき」という人もいれば、「しない方がいい」と主張する人も少なくありません。今回は、この「繰り上げ返済しない方がいい派」の意見に耳を傾け、それに対して私が思うことをお話ししたいと思います。
住宅ローンは大きな借金であり、いずれは返済しなければならないお金です。そして、借金には利息がつきます。借りている期間が長ければ長いほど、支払う利息の総額は増えていきます。本来であれば、この利息分を正しく数値で把握した上で、繰り上げ返済をするかしないかを判断すべきだと考えます。しかし、反対派の意見の中には、少し論点がずれているように感じられるものも少なくありません。
今回の記事は、繰り上げ返済を「すべき」「すべきでない」と断定するものではありません。様々な意見を知り、ご自身にとって最適な選択をするための判断材料の一つとしていただければ幸いです。
反対意見その1:手元資金が減るとリスクが高まる?
繰り上げ返済をお勧めしない理由として、最も多く聞かれるのが「繰り上げ返済で手元資金が少なくなり、予期せぬトラブル(会社の倒産、収入減、臨時出費など)に対応できず、破綻するリスクが高まる」という主張です。
確かに、手元に十分な現金がない状況でのトラブルは非常に厳しいものです。しかし、これは本当に「繰り上げ返済」が原因なのでしょうか?
私の考えでは、これは「予備資金が足りない」、あるいは「予備資金に関する考え方が間違っている」だけではないでしょうか。基本的に、繰り上げ返済は予備資金をしっかりと確保した上で、さらに余裕のある資金で行うべきものです。繰り上げ返済そのものが悪いのではなく、予備資金の確保を怠ったことが問題なのです。
では、どのくらいの予備資金が必要なのでしょうか。これは個々の生活パターンや状況によって異なりますが、私個人としては最低でも半年分の生活費は確保しておくべきだと考えます。例えば、1ヶ月の生活費が20万円なら、120万円は手元に置いておくべきです。収入が不安定な方や、今後の仕事が不透明な方は、さらに長い期間の生活費を確保する必要があるかもしれません。
人生には予期せぬ出来事がつきものです。急な収入減や臨時出費に備えるための予備資金は、住宅ローンの有無にかかわらず、健全な家計運営のために不可欠です。予備資金を確保した上での繰り上げ返済を否定する論理は、少し無理があるように感じます。
派生的な意見として、「将来の起業資金が賄えなくなる」というものもあります。もし将来的に起業を考えているのであれば、手元に現金を多く置いておくことは非常に重要です。起業資金を事業融資で賄う場合、その金利は住宅ローン金利よりもはるかに高いことが一般的です。そのため、住宅ローンの安い金利で借り続けたまま、手元資金を厚くするという考え方も理解できます。ただし、これも「予備資金」とは少し性質が異なりますし、繰り上げ返済を一律に否定する理由にはならないと考えます。
反対意見その2:投資に回した方が有利?
次に、「住宅ローン金利以上の利回りで運用できる投資商品はたくさんあるのだから、繰り上げ返済せずに投資に回した方が賢い」という意見です。
理屈の上では、住宅ローン金利(例えば0.6%)よりも高い利回りで安定的に運用できれば、手元に残した資金を投資に回す方が経済的には有利になる可能性があります。しかし、個人的にはこれも少し疑問に感じています。
投資のプロや、ある程度の経験がある方であれば、様々なリスクに対応しながら運用できるかもしれません。しかし、今まで投資経験のない方が、住宅ローン金利を上回る利回りで、長期にわたって安定的に運用できるでしょうか?投資には元本割れのリスクも伴います。最悪の場合、自己資金を減らしてしまう可能性もゼロではありません。
さらに重要なのは、住宅ローンの繰り上げ返済は、長期にわたる利息相当分を減らす効果があるということです。表面的な金利だけを見て「投資の方が有利だ」と判断するのは早計です。
例えば、1000万円を金利0.6%で借り、残り期間が30年だとします。もしここで1000万円を繰り上げ返済した場合、将来支払うはずだった利息の総額は大きく減ります。具体的な金額はシミュレーションが必要ですが、例えば5000万円を0.6%で30年借りた場合の利息総額は約464万円ですが、残り30年の段階で1000万円繰り上げ返済して借入額を4000万円にした場合の利息総額は約370万円となり、約90万円の利息を減らす効果があります。
この「長期の利息軽減効果」を理解した上で、同じ期間、同じ金額を投資に回した場合に、確実にこの利息軽減効果を上回るリターンを得られるのか、そしてその投資リスクを許容できるのかを慎重に考える必要があります。投資に慣れている方にとっては当然の話かもしれませんが、この点を理解されていない方もいらっしゃるようです。ぜひ、ご自身のケースでシミュレーションを行い、数値で把握することをお勧めします。
その他の反対意見:ローン控除や手数料
「繰り上げ返済をすると住宅ローン控除の恩恵が受けられなくなる」「繰り上げ返済には手数料がかかる」といった反論もあります。
住宅ローン控除については、確かに繰り上げ返済によって控除額が減る可能性はあります。しかし、同時に支払う利息額も減ります。ご自身のローン控除額がいくらになるのかを調べ、繰り上げ返済による利息軽減額と比較して、どちらが経済的に有利になるのかを数値で判断することが重要です。金利が安い場合や返済期間が長い場合は、利息軽減効果が大きくなる傾向があります。ローン控除を受けたいという気持ちだけで判断するのは、少し危険かもしれません。
繰り上げ返済の手数料については、以前は数万円かかることもありましたが、最近ではネット銀行を中心に、無料または数千円程度で済む金融機関が増えています。以前ほど大きな負担にならないケースが多いでしょう。
とはいえ、これらの計算は正直面倒だと感じる方もいらっしゃると思います。そういった場合は、ローン控除の期間が終わる10年目(または11年目以降、人によっては14年目)まで繰り上げ返済をせず、まとめて行うという考え方もあります。ただし、その間、繰り上げ返済に充てる予定だった資金はしっかりと貯めておく必要があります。
結論:最終判断は自分自身で、ただし「何も考えない」のが最悪
結局のところ、住宅ローンをどのように返済していくか、いつ終わらせるかは、借りた方ご自身が決めることです。しかし、「何も考えずに」ただ「繰り上げ返済しない方がいいと聞いたから」という理由で漫然と返済を続けることだけは避けるべきです。
返済期間が長ければ長いほど、人生の中で予期せぬトラブルに遭遇するリスクは高まります。返済期間が30年あるのと、繰り上げ返済で20年や15年に短縮するのとでは、その期間中にトラブルが起こる可能性は単純計算で減ります。リスク管理という観点からも、返済期間は短い方が有利と言える場面が多いでしょう。
特に、昨今の社会情勢(例えば「45歳定年説」のような話)を考えると、高齢になった時の収入が昔ほど安定しないリスクが高まっています。定年後まで返済が続くような計画になっている方は、高齢で収入が減っても返済できるのか、あるいはそれまでに完済できるのかを真剣に考える必要があります。定年後まで返済が続く方にとって、予備資金の確保に加えて繰り上げ返済は、ほぼ必須だと自覚された方が良いでしょう。これは大変なことですが、そもそものローン計画に無理があった可能性も考えられます。一度組んでしまったローンを変更するのは難しいからこそ、将来の苦労を減らすために、繰り上げ返済を検討する必要が出てくるのです。
また、「目先のお金欲しさ」から「繰り上げ返済は不要だ」と主張する意見の中には、本来は不要ではないのに、現状の経済状況ではできないから不要だと考える、というように原因と結果を取り違えているケースも見受けられます。考え方を変えても、借金が残っているという現実は変わりません。
重要なのは、言葉や感情論ではなく、数値に基づいて考えることです。現時点でいくら借金が残っているのか、収入がいくら減ったら返済がどのくらい厳しくなるのか、繰り上げ返済によって利息がどれだけ減るのか、といったことを具体的な金額でシミュレーションすることが非常に重要です。数値で考えれば、感情や曖昧な情報に惑わされるリスクを減らすことができます。
節約して返済に充てるのは簡単なことではありません。しかし、もし将来の返済が厳しくなる現実が見えているのであれば、結局どこかのタイミングでその現実に対応する必要があります。
このブログ記事が、皆様が住宅ローンの返済について考え、最終的に問題なく完済するための判断材料の一つとなれば幸いです。