プロパンガス会社の囲い込みに注意しましょう
中古住宅を購入する際に、そのエリアが都市ガス対応エリアの場合には、ガスについて考える事はあまりありません。強いて言えば、自分が使っているガス器具を持ってこようと考えた場合、自分の機器が都市ガス対応かプロパンガス対応かを確認する程度です。
ですが、プロパンガス利用のエリアの場合、単にガスの種類が違うというだけで済まない事があります。最近そのような事例の物件を見ましたので、備忘録代わりに記事でまとめたいと思います。
プロパンガス会社は他の会社に変更できるケースも多々あります
プロパンガス利用のエリアの中古住宅の場合、プロパンガスに適したガス配管等が既に設置されています。ですので原則としては、ガスボンベのみ新しいものを入れてもらえればそれで問題ありません。
そして利用できるプロパンガス会社が複数ある場合には、その中から自分でガス会社を選ぶことが出来ます。どのプロパンガス会社が安いのか等の判断は、最終的には見積書を取って見ないと分かりませんが、ある程度であれば、ネット上で確認ができます。
私は実際に使った事がありませんので、どの位の効果があるのかは分かりませんが、
・一般社団法人 プロパンガス料金消費者協会
・エネピ
といったサイトで、ガス料金の相場や比較ができるようになっています。
これが山間部等で、プロパンガスを提供できる会社が1社しかないという場合には無理かもしれませんが、今では大半のエリアではガス会社を選べますので、自分で比較して条件の良い会社を選ぶことをお勧めします。
プロパンガス利用の中古物件の場合、ガス会社所有の設備があるケースがあります
ただ、比較や値引き交渉が進み過ぎますと、プロパンガス会社もどんどんと利幅が小さくなっていきます。そのためにお客様が他のプロパンガス会社に乗り換えし難いような手法を採っている会社もあります。
具体的にはガス関連の設備をガス会社が保有して、一戸建てを購入したお客様がその設備を借りているという状態にしているケースです。この設備とは具体的に言えば、ガスの配管やガス給湯器の事です。これらは実はプロパンガス会社の所有で、元々の戸建の所有者はレンタルで借りていただけ、というケースがあります。
この話は「3-01-18.都市ガスかプロパンガスかで何が違いますか?」の記事でも少し触れています。そしてこのケースの場合はプロパンガス会社の変更は少し難しくなります。そのガス会社を継続利用しないとなった場合、設備をどうるすかという問題が残るからです。
現実的には、ガス給湯器やガス配管を撤去するという訳にもいきませんので、結局や不動産の所有者が買い取るという事にもなり兼ねません。そしてその金額が正しく設定されるかの判断も簡単では無さそうです。
通常はこのような設備は償却期間が設けられており、そこから計算すれば金額設定で大きく揉める事は無いと思いますが、一方でその償却費用が正しいかどうかの判断も簡単ではありません。
プロパンガス会社の営業も簡単ではないでしょうし、企業努力の一環なのかもしれませんが、少し分かり難いシステムはどうなのかと感じます。
せめて、所有者には正しく情報を伝え、その物件の売却時には後から買う人に正しく情報が伝わるようにして欲しいものだと思います。
基礎知識についての動画も公開しています
プロパンガスについては誤解も多いと思われますので、基礎知識についての動画も公開しています。その動画がこちらです。
よろしければ、動画もご覧ください。
ガス関連以外の設備をプロパンガス会社が保有している例がありました
このような形でガス関連設備をガス会社が保有しているという例はそこそこあるのですが、先日は別の設備をガス会社が持っているというケースに遭遇しました。
そのケースはガス配管等ではなく、エアコンと玄関に取り付けられたインターホンをガス会社が保有するというものでした。これらの電気設備に加え、ガス給湯器もガス会社所有という組み合わせです。
ガス給湯器はガス関連設備ですから分かるのですが、なぜエアコンやインターホンをガス会社が事前に準備して取り付けているのかと不思議に感じます。もちろん様々な手でお客様に自社のプロパンガスを使ってほしいのだと思いますが、ガス以外の設備はさすがにやり過ぎなのではないかと思います。
特に今回のケースでは、お客様は玄関インターホンは室内側のディスプレイが持ち歩き出来るタイプでないと使い勝手が悪いと考えていたのに対し、事前取付されていた機器は、リビングに固定されたモニターが付いているタイプでした。
実際には、そのガス会社を使えば、仮に取り外して別のものを付けたとしても問題にはならないでしょうが、そのガス料金が高かった場合、どうなるのか少し不安があります。
更に言いますと、この話を聞いたのが売買契約当日で、今さらそれを聞いたからといって契約しないという形もにし難く、不満の残る契約となってしまいました。
幸いどの設備も交換が難しくないタイプであったため、最悪の場合はガス会社を変え、これらの設備は全部持って行ってもらう覚悟でお客様は購入を決めたため、大きな問題にはなりませんでしたが、後々問題が出そうなスタイルの営業は止めて欲しいものだと感じます。
ちなみに、もしこれらの設備の撤去で揉めたとしても、法的な争いになれば、土地建物所有者が勝つ可能性が高いようです。実際の判例等を見ますと、そのように感じます(「建売住宅に設置されたLPガス設備の貸与契約の解約に伴う補償費全額が消費者契約法により無効とされた事例」参照)。
ただ、本来であれば私がもう少し厳しく調査を行い、契約前にこれらの内容を把握しておくべき事でした。今後はプロパンガス利用物件については、もう少し突っ込んだ確認を行わなければならないと思い知らされました。
プロパンガス利用の物件の購入を検討されている皆様も、このような変なトラブルに巻き込まれないために、事前の確認を徹底するようにして下さい。
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