盛土であるかまで気にすると首都圏で土地は選べなくなりそうです
2017年6月27日の朝日新聞では、盛土の危険性とその公表が遅れている事について問題視する記事が掲載されました(「地震で地滑りも…大規模盛り土造成地、半数超が未公表」出典:朝日新聞))。当社ではお客様が購入検討されている立地では地盤調査レポートを作り、その土地の地盤について説明していますので、どのエリアでも地盤についてはデータがあるものだと思っていましたので、この記事は少し意外感を感じました。
首都圏は概ね地盤データは揃っているようです
購入を検討している土地の状況がどのようなものなのかは、地理院地図のデータを見る事で概ね確認できます。実は朝日新聞の記事を見るまで、これら地盤のデータは全国分整っているものだと思っていました。
当社では首都圏の不動産の売買を行っていますので、土地条件図が無いとか見当たらないという事は無いのですが、全国で見ますと、土地条件図が無いエリアはたくさんあったようです。
土地条件図が無いエリアについては、古地図や地形、過去の災害履歴などをチェックしながら、その土地が安全なエリアであるかどうかを考えなければなりません。
逆に言いますと、土地条件図があるエリアはせっかく良い情報がある訳ですから、これを使わない手はありません。当社では一律に地盤調査レポートをお客様にお渡ししていますが、全ての不動産会社がそのようなサービスを行っている訳ではありませんので、心配な方は各自でこういったデータを確認し、問題が無い土地であるかどうかを確認する方が良いと思います。
首都圏で盛土を避けるのはあまり現実的ではありません
一般的に盛土は地盤があまり強くないため、こういった立地は避けるべきと主張される方もいます。一方で首都圏で盛土の立地を避けようと考えますと、なかなか条件に当てはまる土地が無いという事実に向き合う事になります。
上の画像は、千葉県西部から東京東部までの土地条件図です。土地条件図はネット上で誰でも確認することができます。検索で「地理院地図」>「情報」>「全てのタブ」>「主題図」>「土地条件図」で探してみてください。地理院地図の機能は定期的に更新され、細かな使い方が随時変わるのが難点ですが、色々と調べているうちに使い方は分かるようになります。
土地条件図の詳しい見方は、凡例をチェックして頂くとして、とりあえず盛土は何なのかを見てください。盛土は白地に赤い斜線、赤い点線となっている部分です。
見て頂いてお分かりの通り、海の近くは埋立地である事から盛土となりますし、東京東部から北の方に向かっているエリアの大半は盛土です。
一般的に地盤が良いと言われている台地はオレンジ色の部分ですが、この台地部分は盛土と混ざって点在しています。そして台地部分であれば無条件で地盤の心配が無いかと言えば、そうとは限りません。
台地部分は傾斜地である事が多く、そのため敷地周辺は擁壁であるケースが多々あります。その擁壁の高さや状況によっては、平坦な盛土以上に危険性が高い事もあるため、台地上の立地であれば良いというものでもありません。
擁壁の近くにある土地の危険性等については「隣地との境に擁壁や高低差がある場合には、資産価値に大きな影響を与えます 」の記事や「擁壁がある土地や一戸建ての購入前に「我が家の擁壁チェックシート」を見ましょう」の記事も参考になります。
実のところ、平坦な盛土と擁壁がある台地という土地の比較ではどちらが安全なのかは正しく判断できません。実際には個別の地盤調査データや、他の要素との兼ね合いで考えなければなりません。私見では、この2つの比較であれば平坦な盛土の方がリスクが小さい事が多いと思っています。
立地も含めた不動産選びはどこまでいってもバランスで考えるべきです
よく不動産選びでは、○○が良い、とか▽▽が悪いと一言で言い切る話がたくさんありますが、不動産選びのポイントは一言で言い切れるものではありません。
例えば盛土で地盤があまり良くないエリアは、往々にして住環境が良いという事があります。これは低地で地盤が良くないエリアは昔は住宅地でない事が多く、近年になって新たに開発されたというエリアが多くなるからです。
近年開発されたエリアでは、道幅が広いため車の使い勝手は良いですし、区画もしっかりとしているため、景観も優れているというケースが多くあります。
もちろん昔ながらの住宅地で地盤が良く、景観も良いというエリアもありますが、そのような土地はブランド化され、価格が高くなっている事も多いため、経済性とのバランスを考える必要が出てきます。
どこまでいっても不動産選び、土地選びは様々なバランスで考えなければなりません。そして地盤が盛土であるかどうかも、バランスを構成する要素の1つです。機械的にこの土地はダメとか良いとか判断せずに、様々な情報を集めた上で、不動産選びを皆さんに行って頂きたいと思います。
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