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一戸建てを注文住宅で建てる方で、木造住宅を建てる方は、在来工法で建てるかツーバイフォーで建てるかで悩まれる方が意外と多いようです。個人的にはきちんと建物を建てるのであればどちらでも良い、というスタンスです。しかしネット上の意見では間違っているのではないか、と思われる意見も多数見かけますので、これら2つの工法について、自分の意見を述べたいと思います。

2×4だから構造的に強いと言い切れるものでもありません

よく聞く意見は、2×4の方が構造的に強いというものです。柱と梁で作る在来工法よりも壁で建物を支えるツーバイフォー工法の方が構造的に強いと主張される方が多くいます。

ですが昔の在来工法の住宅はさておき、今の在来工法でも構造壁をたくさん作るような作り方になってきています。壁も2×4工法のように構造用合板を貼って強度を高めている在来工法もたくさんあり、そういった在来工法の家の強度は2×4と違いはありません。

ツーバイは地震に強い?

2×4だから地震に強いという話ではありません。

大きな地震の際には2×4住宅の方が無事だったという話もよく聞きますが、実際には新しい基準で建てられた建物については在来工法でも2×4工法でも倒壊しなかった率は変わらないようです。地震が起きた時には、築年数が古い建物が倒壊することが多く、かつ昔の建物はほとんどが在来工法で建てられていたため、在来工法の建物のみ壊れ、弱いように思われますが、新しい建物同士で比べれば、強度に大きな違いはありません

2016年に起きた熊本地震でもたくさんの建物が崩壊しましたが、新しい基準で建てられた建物で崩壊したのは7件のみで、その内3件は建物の施工に問題があった(接合部の仕様が不十分)ためで、設計上では問題は無かったとされています(残りの4件のうち1件は敷地の崩壊、残り3件は原因不明)。

実際に熊本地震の後で検討された耐震基準を強化するという法律の制定は見送られました。現状の耐震基準で十分という考えを国交省が示したことになります。

もちろんこれは建物がきちんと作られている、という前提での話ですが、今の法律基準に沿って正しく作られれば、耐震上では大きな問題は出ないと思われます。そしてこの構造が在来であるかツーバイであるかは、違いはあまり無いと私は思っています。

在来工法の方が現実的には2×4よりも建設費が安いケースが多いと思われます

建設費についても、在来と2×4工法についての誤解が多いように感じます。人によってはツーバイフォーの方が安く建てることが出来ると主張されています。ですが、ローコストビルダーと呼ばれる安い価格の建売住宅を建てている建設会社は、ほとんどが在来工法で家を建てています。2×4工法の方が安く建てられるのであれば、2×4を採用しそうなものですが、実際に2×4工法を採用するローコストビルダーはほとんどありません。

2×4工法の方が安いと主張される方は、作り方が簡単だから工期も早いため、という理由を付けますが、今の工法では在来でも工期は2×4とほとんど変わりません。昔の在来工法であれば、継手や仕口を大工さんが作ったり、組み立てにも高い技術が必要だったために工期が長かったようですが、今の在来工法はプレカットと呼ばれる木材を使います。これは木材工場で仕口などが予め作られており、現場では組み立てるだけですので、昔ほど時間がかかりません。

建築中

プレカットの木材で建てる在来工法は工期も短いものです。

また、そもそも戸建住宅の建築にかかる費用の内、木構造にかかる費用は全体の4分の1程度です。建物でお金がかかるのは仕上げや設備であって、構造でそれほど大きな差が出るものではありません(もちろん造りにもよりますので例外もたくさんあります)。

2×4工法の方が安いと主張される方にも何かしらの根拠があるのかもしれませんが、もしこのような事情を知らずに工期の速さのみで安いと考えているのであれば、それは昔の話であって、今では違うという事を知らないだけ、という可能性もあります。

増築や改築のしやすさは現実的には変わらないと思います

他にも在来工法は増改築などのリフォームがしやすく、ツーバイフォー工法は増改築がし難い、という話もよく聞きます。ですが実際には在来とツーバイのリフォームのやりやすさはそれほど変わらないと思います。

ツーバイフォー工法では壁で建物を支えているので壁が抜けない、という話が良く出ますが、抜いてはいけない壁は構造壁のみです。構造と関係がない壁であれば、取り外しても問題はありません。

逆に在来工法であっても、構造壁は抜いてはいけません。当たり前の話ですが、構造壁を無くしてしまうと、建物が構造的に弱くなるからです。

在来工法はリフォームの自由度が高い、と思われるかもしれませんが、実際には自由度が高いのではなく、本来行ってはいけないリフォームをリフォーム会社が無知のために、問題が起きる工事を行っているだけ、というケースもたくさんあります。

あまり知られていませんが、リフォーム会社の中には建設業の免許を持っていない会社がたくさんあります。工事請負金額が一定以下の場合には免許が必要ないとか、リフォーム工事を他社に外注している場合などには免許が不要とか、様々な理由で建設業の免許がない、つまりは建物に詳しくなくてもリフォーム工事ができるような仕組みになっています。

免許

リフォーム会社の中には建設業の免許が無い会社もたくさんあります。

在来工法の改築の自由度が高いのは、建物が分かっている人が構造も考えながらできるのであれば、確かに自由度が高いかもしれませんが、実際には木構造に詳しい人というのはめったにいません

先に述べたようにリフォーム会社では建設業の免許を持っていない会社が多いというのもそうですし、仮に建設業の免許があったとしても、構造に詳しくない人の方が圧倒的に多いのが実情です。通常の木造の2階建て住宅を作るのには構造計算は必要ないために、構造の専門家は皆さんが予想している以上に少ないのが実情です。

木造の2階建ての住宅は構造計算を行いません。必要な壁量と決められた仕様を守れば、法的に問題が無い建物を建てられますので、構造に強くなくても問題なく家を建てる事ができます。家を建てる人ですら、それほど構造に強くないのに、リフォームを行う人は更に構造を知らない方の率が増えます。

こういった人たちに、構造に係るリフォームをさせるのはあまりお勧めできません。古い戸建住宅ではリフォームが必要となるケースも多いのですが、構造補強以外の構造に関わるリフォームは、あまり行わない方が良いと個人的には思っています。

風土に合っているという説明には意味がありません

また、在来工法の方が日本の風土に合っているから良い、と主張される方も数多くいます。ですが日本の風土に合っているというのはどういう事なのかをきちんと説明できる人はほとんどいません。実際に何が風土に合っているかは、説明している人も分からないからです。

在来工法は古くから日本で建てられたやり方だと考える人もいるかもしれませんが、昔から作られている工法、寺社仏閣で建てられた工法と、今の在来工法は全くの別物です。今の在来工法は数十年の歴史しかなく、特に最近の金物を多用する工法はせいぜい20数年の歴史しかありません。ですので、昔から使われているやり方、という主張は間違っていると思います。

神社

神社やお寺の作りと在来工法は同じものではありません。

工法ではなく構造材の材料について語る人もいます。日本で育った杉やヒノキを使った建物は長く持つ、という主張です。しかし材料と工法とは直接関係がある訳ではありません。実際に在来工法の中で、ローコストで家を建てている会社はホワイトウッド集成材など外材を使って在来工法で建てています。

また外材を使っているから耐久性が無いという主張には確固とした根拠はありません。実際にそのようなデータは無く、お寺や神社などが長く持っているから在来工法も持つだろうという単なる予想でしかないケースがほとんどです。

構造の詳しい話が分からない場合は耐震等級で判断しましょう

こう考えていきますと、結局何が正しいのか分からなくなる方も多いでしょう。実際には工法による違いよりも、どれだけしっかり作るか、どのような設計と施工で作るかの方が、構造的な強度や価格に与える影響が大きいと思います。

ですので、構造についてはよく分からないという方は、工法よりも性能表示を見た方が簡単で良いと思います。住宅の構造に関する性能表示は3段階に分けられます。等級1が建築基準法を満たしているレベル、等級2は等級1の1.25倍、等級3は等級1の1.5倍の強さだと考えれば良いでしょう。

等級のイメージ

構造に詳しくなければ、どの等級で建てられるのかを聞いた方が早いと思います。

そして、2×4住宅でも在来でも、建設会社には、標準仕様でどの等級の建物に値するのか、等級3とする場合にはいくらになるのかを聞いてみてください。2×4工法で構造が強いと主張されている会社の建物であっても、標準仕様で等級1しか取れないという事であれば、標準仕様でも等級2が取れる在来工法の方が構造的には強いでしょう。

私見では、在来か2×4かを考えるよりも、どういった建設会社に頼むかの方が重要だと思っています。人によっては、先に構造を決めないと建設会社が比較できないと主張されますが、私はそうは思いません。家づくりでは多くの事を決めなければなりませんが、構造もその中の1つでしかなく、工法は最優先で決めなければならないものではないと思っています。

どこに頼むかのイメージ

どの工法かよりも、どの会社に頼むかの方が、影響は大きいと考えています。

家づくりのこだわりの中から建設会社を選ぶという事は良いと思いますが、先に在来かツーバイかを決める必要は特にないのではないかと思います。

当社:ふくろう不動産は不動産会社であって建設会社ではありません。ですので、細かな点や厳密に言えば違う点もあるかもしれませんが、大まかな内容はこの通りだと思っています。このページについて、ご意見やご質問などがありましたら、「お問い合わせフォーム」をご利用の上、ご連絡ください。