私に売れない家はない、価格さえ決めさせてもらえればですが

日本テレビで「家売るオンナ」というドラマが放映されています。この主人公の名ゼリフが「私に売れない家はありません」というものです。当社:ふくろう不動産は不動産を買いたい人の代理人として活動するバイヤーズエージェントですから、売る方の立場になる事は無いのですが、もし私が売る立場になったとしても「私に売れない家はありません」と言えます。ただし、このセリフの後に「価格さえ決めさせてもらえば」という補足が付くのですが。

つまりどのような物件であっても価格とのバランスで売り易いとか売り難いという差がでます。当たり前の事なのですが、この感覚が一般の方と不動産屋では結構違う事があります。このあたりは分かり難いと思いますので、もう少し詳しくお話しさせてください。

1日で成約した物件は良い物件だからでしょうか?

新しい売り物件は毎日のように出てきます。そしてその中には、これは早く売れるだろうなと思う物件や、逆になかなか売れないだろうなと思わされる物件は確かにあります。

売り切れ

1日で成約した不動産は物件が良かったためでしょうか?

一方すぐに売れる物件は良い物件だから売れたのでしょうか。物件公開後、1日で決まってしまった物件は良い物件だから1日で決まってしまったのでしょうか。この疑問に答える前に、少し昔の話をさせてください。

私は以前マンションディベロッパーに勤めており、新築マンションの販売を行っていました。新築マンションは、その規模によって、1度に販売する戸数が変わりますが、通常は40戸とか50戸位のマンションが多いと思います。この位の規模であれば、当時は期を分けず、1度で販売することが多かったのですが、物件によっては販売日当日にすべての住戸が売れてしまうという事もありました。

いわゆる即日完売です。50戸のマンションを1日ですべて売り切った、これは素晴らしいと誰もが褒めてくれると思われるかもしれませんが、即日完売の場合、販売担当責任者が上司から怒られる事がよくあります。なぜかと言えば、「値付けが安すぎたのではないか」という点で怒られる訳です(当時は販売チームの責任者が価格を設定し、会社に上申して決めるシステムでした)。

つまり1日ですべて売れるくらい人気だったのであれば、もう少し高い金額に設定しても売れたのではないか、と考える訳です。マンションの販売会社は、売り切れる範囲でもっとも高い価格で売りたいと考えます。手間は同じですから、価格を上げた分がそのまま利益になるからです。

ですので、即日完売するよりも、初日は7割位売れ、1か月から2か月かけてすべての住戸を売り切る位が理想的な価格帯だったのではないか、と考えます。もっともこの兼ね合いはとても難しく、変に販売価格を高く設定し過ぎますと、長い間売れ残り、かえって販売コストがかさむ危険もあります。ですのでどの分譲会社も、売れる範囲内(ココ重要)で最も高い価格設定をするべく、細心の調査やヒアリングから価格を決めるようにしています。

このような分譲と異なり、仲介の場合は少し事情が異なります。分譲の場合は価格を上げた分がそのまま利益になりますが、仲介では上げた分の3%しか利益は上がりません。分譲の場合、100万円の価格アップはそのまま100万円の利益増ですから真剣に検討します。ですが仲介であれば、100万円の価格アップは3万円の利益増でしかありません。

この3万円を狙ったがために、なかなか売る事ができず、経費が増える事を考えますと、100万円安くても早く決めた方が結局は利益が出るというケースがよくあります。ですので、ある程度売れる事が見込める物件であれば、価格にそれほど無理をしないで、早く売り切った方が、仲介会社の利益が高くなるという事がよくあります。

たたき売りのイメージ

少し安くしても早く売った方が、仲介会社の利益が大きいというケースは良くあります。

ここで最初の質問に戻ります。1日で成約した物件は良い物件だったからでしょうか。実はもっと高い価格でも売れたのではないでしょうか。もしもっと高い価格でも決まっていたのであれば、売主さんはその価格差の分だけ損をしたことになります。逆に買主は得をしたのかもしれません。

売主は売却を依頼する仲介会社が、高く売ってくれるのかどうかを正しく判断しなければなりません。高く売ってくれるかどうかは、査定金額の額面を見るだけでは分かりません(「1-02.査定価格にどんな意味があるのか」参照)。

早く売ってくれるのはうれしいことですが、本当にそれで良かったとは限りません。不動産の売却については「失敗しない不動産売却」のページやその子ページでも解説していますが、単純に売却が早かったから良い会社だ、と判断しないようにする法が良いと思います。

タダであれば欲しいという不動産は価格次第で売る事ができます

逆にこれはなかなか売れないだろうという物件もたくさんあります。実際に1年以上前から販売していてまだ残っているな、という物件も多数ありますし、この立地でこの価格ではまず売れないな、と感じる物件もたくさんあります。

不要のイメージ

タダでも要らない、という物件以外は価格設定次第で売る事ができます。

しかし「タダなら欲しい」と言われる物件であれば、基本的に売れない不動産はありません。この話は不動産業界では割と有名な話で、私も昔先輩から同じことを言われた事があります。タダであれば欲しいという人がいるのであれば、問題なのは価格設定だけで、売れないということはあり得ない、という話です。

それではすべての不動産は最終的には価格次第で売れるのか、と聞かれますと、実際にはタダでもいらないという物件がありますので、それは私には売る事はできません。具体的にはランニングコストが多額で出費が多いリゾートマンションとか、傾斜地で多額の土木工事をしなければ家が建てられないような土地は、タダでも引き取り手がいないという事が良くあります。

このような物件は売れと言われても難しいですし、タダ同然ですと仲介手数料もタダ同然になってしまいますので、無理です、と言わざるを得ません。

逆に言えば、タダであれば欲しい物件は、本当に価格次第で売る事はできます。実際にタダは無理にしても、物件に1万円とか10万円という価格を付けて売りに出せば良い話です。もっとも首都圏の住宅地でここまで価格を下げなければならない物件はめったになく、通常はもう少し価格を下げれば売れるのに、と思われる物件がほとんどだったりします。

営業力だけで割高の物件が売れる事はありません

実際にどの位の価格であれば売る事が可能なのかは、売主さんと仲介会社の営業マンとで何度も打ち合わせをしなければなりません。価格次第で売れるという話は不動産の仲介を行う人であれば、どの営業マンも知っている話です。

ではなぜ、ずっと売れ残っている物件があるのかと言えば、この下げた価格に売り主さんが納得しないからでしょう。

納得のイメージ

価格が高いまま売られているのは、売主さんが低い価格に納得しないからでしょう。

売主さんの中には、本来あるべきその不動産の価格に納得しない人がたくさんいます。昔の購入時との差が大きすぎる点に納得できない方や、単純にローンの残高が多いために、ローン残高以下の売り出し値設定ができないという方もいます。

土地の売却物件でよくある例は、高さがあり補修が必要と思われる擁壁がある物件なのに、平らな立地と同じ価格設定をしている例です。この場合は、擁壁補修工事の見積もりを売り主が取り、その工事にかかる費用分以上を平坦な立地の土地の価格よりも安く設定してくれれば、私も買い手のお客様にその土地の購入をどうしましょうか、と勧める事ができます。

ですが、擁壁の検査は受けていない、擁壁補修にかかる費用は誰も把握していない、価格も平坦地と比べそれほど変わらない、という物件であれば、お勧めのしようがありません。価格設定はもちろん売り方も間違っています。

もし売り物件に問題があるのであれば、例えば擁壁に問題があるのであれば、売主さんと仲介会社で、擁壁の補修費用について調べ、販売時にその費用を公開し、平坦地との価格差を考えればこの物件を買っても損をしませんよ、という内容をアピールしなければなりません。

このような提案や打ち合わせを行うのが本当の営業力ではないかと思います。物件価格を下げず、デメリットは公開せず、営業マンの話術などで売って欲しいと考えるのは間違っています

今の買い手は不動産について、しっかりと勉強している方が増えています。そして勉強している買い手は、営業トークがどんなに素晴らしかったとしても、割高の物件を買うという事はまずありません

バリバリの営業マン

営業トークが素晴らしければ売れる、というものでもありません。

不動産を売ろうとしている方や、売りに出しているのになかなか売れないと悩んでいる方は、このような内容を真剣に考えたうえで、どのような方針で売っていくのかを決めて欲しいと思います。

この記事の話を動画でも説明してみました

この記事でお話ししました内容の一部を動画でも解説してみました。その動画がこちらです。

よろしければ、動画もご確認ください。

ふくろう不動産は買い手側の仲介会社ですが相談は受け付けます

当社:ふくろう不動産は不動産を買いたいという方のための代理人として活動するバイヤーズエージェントですので、基本的に家を売るための営業を行う事は行いません。ですが逆にお客様の代わりに買う家を見つけるに際し、もっといい売り方があるのに、とか、こうすればもっと高くても売れそうなのに、と思う事がしょっちゅうあります。

もの知りふくろう

売却は基本的には行っていませんが、ご相談は自由ですし、費用も取りません。

家を売る事についての仲介は受けられないかもしれませんが、ご相談やご質問は普通に受け付けています。家を売りたい方や売却中なのにうまくいかない方などは、当社までご相談ください。ご連絡は「お問い合わせフォーム」のご利用が便利です。

また、家を買いたいという方については、当社ならではのサービスを多数用意していますので、ぜひ当社にご連絡をお願いします。当社:ふくろう不動産がどのような会社なのかについては「ふくろう不動産とは」のページをご確認ください。

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