認知症の方の財産管理対策としては成年後見制度が使い勝手が悪いようです

当社:ふくろう不動産は不動産を買いたいという人のための仲介会社(バイヤーズエージェント)ですので、原則として不動産を所有している方、売りたい方にはあまり関係の無い会社です。ですが当社への相談として、売却に関わる相談は意外と多くあります。

そして売却に関わるトラブルの中に、所有者が認知症になってしまった、あるいは認知症の恐れがあるという話がよくあります。不動産の所有者が認知症になってしまった後であれば、あまり打てる手は無いのですが、認知症になる前であれば、家族信託という方法もありますよ、とお話しすることもあります。

この家族信託については、私も実務経験がある訳ではありませんので、それ程詳しい訳でも無いのですが、自分の備忘録も兼ねて、私が分かっている範囲について簡単にお話ししたいと思います。

成年後見制度では不動産の売却や購入が難しいようです

一般的に親御さんが認知症等になった場合には、成年後見制度を考える方が多いと思います。今でもこの方式の方が一般的だとも思います。その一方で、この成年後見制度は意外と使い勝手が良くないという話を聞きます。どういった点がデメリットになるのか、分かる範囲で簡単にお話しします。

家族がそのまま成年後見人になれるとは限りません

まずは後見人になる事自体が簡単ではありません。イメージでは家族が簡単に後見人になれそうな気もしますが、そうとも限りません。成年後見人は家庭裁判所が選ぶのですが、昔と比べて簡単に家族を成年後見人に指定しないような流れになっています。

息子

子供であれば簡単に後見人になれる、というものではないようです。

これは一部の後見人が、認知症になった方の判断が出来ない事をよい事に、勝手に資産を自分のために使う後見人が一定数出たために、出てきた状況のようです。特に認知症になった方の財産が大きい場合には、より難しくなる印象があります。

家庭裁判所が、親族の方を後見人として適任ではないと判断した場合には、司法書士や弁護士等の別の専門家を後見人として指定します。こうなりますと、認知症になった方の財産の管理や処分に関しては、その専門家が判断することになります。

外部の後見人を立てた場合にはランニングコストがかかります

ちなみにこういった外部の専門家が後見人になった場合には、月々費用が発生します。認知症になった方の財産額にもよりますが、月額2万円から3万円はかかるようです。そしてこのコストは認知症になった方がお亡くなりになるまでかかるようです。

もし認知症の方がお亡くなりになるまで10年の時間があったとしますと、その期間の後見人に支払う報酬は240万円という事になります。実際にはこれに加え、申請関連の費用や相談料なども発生する可能性が高いと思われます。

後見人は現状維持以外の資産の処分が難しいようです

しかし、一度後見人が決まれば、後は後見人が不動産の売却などの資産処分をできるでは無いかと思われるかもしれませんが、これも簡単ではありません。後見人は、認知症の方の生活の現状を維持する形であれば判断はし易いようですが、財産が大きく変わるような判断が出来ないと思われるからです。

例えば認知症の方の自宅の売却は、後見人の人だけではできず、家庭裁判所の了解が必要になるようです。他にも様々な制限があるらしいと聞いています。

家庭裁判所

不動産の売却に家庭裁判所の了解を得なければならないケースもあるようです。

例えば使っていない不動産があり、利用しないからその不動産を売却しようと親族の方が考えたとしても、どうしても売らなければならないという理由が無いと、その不動産の処分が難しいと聞きます。

成年後見人制度が認知症の方の財産を守るという方向で決められている事が多いため、うかつに財産を処分するような方向にはならないようです。

不動産屋的には、空き住戸があっても処分することが出来ず、その期間に住宅が劣化していくのを見ているだけという悲しい展開になります。

認知症前に家族信託を使えば対応は可能ですが…

こういった成年後見制度の使い勝手の悪さに対抗すべく、家族信託を利用しようという考えが増えているようです。家族信託の場合は、不動産などの資産を持っているお年寄り(委託者)と、その管理や処分を任される家族(受託者)との間で問題なく契約ができれば、受託者は不動産の売却などの処分が割と簡単にできます。

家族信託については、不動産を家族信託の対象にするという事を進めるだけでも60万円以上の費用が掛かるという点が難点になります。実際には、どういった会社と家族信託の話を進めるかにもよりますが、コンサルティング費用が30万円から、不動産の信託登記手続きで30万円位かかる事を考えますと、60万円からのスタートと考えるべきだと思います。

認知症になるかもしれない方の資産額が十分に大きければ、こういった費用をかけてでも検討すべきだとは思いますが、それほど資産額が大きくないという方はどう考えるべきかは微妙な気もします。

このページの話を動画でも解説してみました

この記事で説明しました内容を動画でもお話ししてみました。その動画がこちらです。

よろしければ動画もご覧ください。

また売主さんが認知症になった時の問題については
不動産の売主が認知症であるケースが増えているようです」のページでもお話ししています。

さらに後見人制度と家族信託については
認知症対策は任意後見制度と家族信託のどちらが有効でしょうか?」のページでお話ししています。
内容は似たようなものですが、よろしければこれらの記事も参考にしてください。

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