不動産選びでひと目で分かるポイントやコツというものはありません

お客様と販売中の物件リストを見ている時によく聞かれる事があります。それは、どれがお勧めですか、とか、どのポイントを見ればひと目で問題が分かりますか、という質問です。

結論から言えば、物件情報を見るだけではお勧め物件なのかどうかは分かりませんし、不動産はこのポイントだけ見れば良い、というポイントも存在しません。不動産は様々な項目のポイントの総合得点で決まるからです。

チラシや写真だけでは不動産の良し悪しは分かりません

時々当社に物件のチラシを送り、この物件はお買い得ですか?と聞いてくる方がいらっしゃいます。当社では不動産に関する質問等を受け付けていますので、物件について聞かれること自体は問題ではありません。ただ、物件チラシを見て、これは良い、これは悪いと簡単に判断できるという事はありません。

不動産のチラシのイメージ

不動産のチラシを見るだけで物件の善し悪しを判断することはできません。

明らかな問題がある物件であれば、チラシの内容だけでもこの物件は問題であると分かる事もあります。チラシに書かれた情報から、再建築不可の物件である可能性が高い時などがこれに当てはまります。

ですが分かる問題は、ごく一部でしかありません。チラシに書かれている内容だけではチェックできる範囲は本当に限られるからです。

当社でご案内する物件であれば、机上の調査でもある程度は詳しくチェックを行います。具体的には、その立地の地盤調査レポートを作ったり、色別標高図を見て周辺との標高差を確認したり、路線価図等を見て、土地の相場価格などを想定したりします。

机上調査で問題が見つからなかった物件でも、実際に現地を見ますと問題が見つかる事もあります。擁壁にひびなどがあり、構造上の不安があるとか、基礎にクラックが多く見つかるなどは、現地を見なければ分かりません。隣地との兼ね合いも現地を確認しないと判断ができません。

一般の方は、不動産のプロであれば、チラシを見るだけで、あるいは写真を見るだけで「これは良い」「これは悪い」という判断ができると考えている方もいらっしゃるようなのですが、実際にはチラシデータ等から分かる内容はごく一部であって、当然分かる内容もごく一部でしかありません。

最終的な調査や検査を終えるまでの時間は皆さんの予想以上に長くかかるものです

更に購入検討の段階になりますと、レーザーレベルを入れて建物に傾きが無いかどうかをチェックしたりとか、サーモグラフィカメラを使って雨漏りの可能性が無いか等の調査を行います。ここまでやって、初めてその物件に問題がありそうなのか、お買い得物件と言えるかどうかの判断をすることができます。

ふくろう不動産の測定機器等

戸建住宅であれば様々な機器を使って問題がないかどうかを確認しなければ、大丈夫であるかどうかを判断することはできません。

不動産に問題がないかどうか、妥当なのかお買い得なのかはこの段階まで来てようやく判断できるようになります。正確に言えばこの時点でも実は100%確実とは言えません。地盤や建物は目に見えない部分も多いからです。

当社のお客様の検討物件についてはこのようなチェックを行いますが、面識がない方からのメールや電話での情報で、その物件がお買い得かどうかを聞かれても、一般論でしか返答はできません。これは当社に質問するなと言っているのではなく、短い時間で確認できるレベルは知れていますし、高度なチェックを行う事は出来ないという話をしたいだけです。

問題がひと目で分かるという方は不動産のプロではありません

こういった善し悪しの判断について、誤解されている方が多いように感じます。また時々ですが、不動産関連の方や建築関連の方で、一目見れば大体善し悪しが分かると主張されている方もいらっしゃいます。私個人の意見としては、ひと目で不動産や建物の善し悪しが分かるという方は本当のプロではないと思っています。

建物のイメージ

建物をひと目見るだけで善し悪しの判断ができるという事は、私の考えではあり得ません。

もちろんひと目で問題だと分かる場合もあります。また私も建物の検査等を行う際に、なんとなくこの建物は問題がありそうだなと感じる事も多々あり、そしてその第一印象はそこそこ高い確率で当たります。だからと言って、私はひと目で不動産の善し悪しが分かると話をすることはありません。

感覚や第一印象は重要ではありますが、絶対的に正しいとも限りません。安全サイドで見るのであれば、詳しい検証を行う前に問題がないと判断すべきものでもありません。

人によっては、プロの方を過度に信頼している方がいらっしゃるようですが、どんなプロであっても見ただけで不動産のすべてが分かるという事はあり得ません。建築については「4-02.建築士だからといって、建物のすべてが分かる訳ではありません」のページでも似たような話をしています。

物件を見てから契約するまでの日時も余裕をもって考えましょう

こういった土地や建物のチェックに時間がかかるという事を考えますと、物件を見てすぐに契約というスケジュールを考えるのはそれなりにリスクがある事が分かります。不動産会社によっては、物件を見てお客様が気に入ったと思われた場合に、すぐに契約をさせようという会社もあるようですが、土地であれ建物であれ、問題を確認するには時間がかかります。

スケジュールのイメージ

買うと決めてから契約まで2週間以上は欲しいところです。

中古の戸建住宅で問題が無いかどうかのリスクを回避するために、瑕疵担保保険に加入するという方法もあります。ですが、この瑕疵担保保険に加入するためには、事前に保険会社の検査を受けなければならず、そして保険会社から保険受けられる適合建物であるという証明が届くまでは検査日から1週間近い時間がかかります。
(中古住宅で瑕疵保険に加入できるかどうかの目安については「2-04-10.中古住宅購入時に瑕疵担保保険に入れるかどうかの目安をお教えします」の記事を参考にしてください。)

保険会社の検査の段取りを整えるだけでも日数がかかりますので、その分を考えますと2週間くらいの時間が欲しいところです。もちろん契約は相手がいる話ですから、買い手側の要望だけで話を決める事はできませんが、最初の段階でこのような時間がかかると考えた上で、その物件を買うかどうか、契約をどのタイミングで行うかを考えるべきだと思います。

この記事の内容を動画でも解説してみました

このページでお話ししました内容を動画でも説明してみました。その動画がこちらです。

よろしければ、動画もご確認ください。

この記事についてご意見などがありましたら「お問い合わせフォーム」をご利用の上、ご連絡をお願いします。

Follow me!

不動産購入のご相談はふくろう不動産まで

CTAの画像
まずはメールにてご相談ください。