ビフォーアフターの窓が勝手に開く家を見て不動産屋的な視点で考えました

2016年11月20日にテレビ朝日の人気番組「大改造!劇的ビフォーアフター」が放映されました。この日の番組内容は「窓が勝手に開く家」という内容で、家が傾いているために、窓が自動で開いてしまうという家のリフォームを紹介したものです。

リフォームの内容や設計内容に不満や文句は無いのですが、このタイプの家や状況を見ますと、不動産屋的にいつも問題だと感じる点がいくつか出てきます。ですので、このページでは、放映された物件そのものについてどうこうという話では無く、このタイプの家や状況にはこういった問題が出やすい、というお話をしたいと思います。

最初にお断りしなければならないのは、このページではテレビで放映された建物やリフォーム内容についての話をするのではありません。あくまでも、番組を見て、不動産屋的にはこういったケースが多いので気を付けなければ、と感じた内容をお話ししています。

ですので、実際に放映された建物が問題だと断言するものではありませんし、そもそも詳細も調べていません。とある仮定の話という前提で読んでもらえればと思います。

リフォームされた家が再建築不可物件である場合、資産価値的には不利な不動産です

接道に問題があると、その敷地に建物を建てることができません

まず元の建物を見て感じたのは、この建物がある敷地は再建築不可の敷地ではないかという点です。再建築不可の敷地とは、その敷地に今ある家を壊して、新しい建物を建てたいと思っても、建築の許可が下りない土地の事です。

狭い道

前面道路が建築基準法上の道路でなかったり、接道幅が足りない場合には、その敷地に建物を建てることができません。

技術的にはどんな土地でも建物を建てられるかもしれませんが、実際には法律の制限があるため、家を建てられない土地というのはたくさんあります。よくあるのは接道条件で、建築基準法上の道路に2m以上接していないと、その土地に建物を建てることが出来ないというものです。

その考えで今回放映された土地を見てみますと、敷地に接している道路は建築基準法上の道路では無いのではないかと思わされます。原則として建築基準法上では、道路幅は4m無ければなりませんが、それだけ広い道路には見せませんし、道の両側にも家がある事を考えますと、今後広くなるような印象も受けないからです。

もちろん道路が建築基準法上の道路かどうかは調べてみないと正確には分かりませんので、実際には問題がないのかもしれません。ですが、もしこのような事を知らずに、現在建物があるから、次の建て替えも簡単にできるだろうと考えて再建築不可の土地建物を購入しますと、後で苦労することになり兼ねません。

具体的に言いますと、再建築不可の土地にはなかなか値段が付かないため、資産価値がほとんど無いという事があるからです。今ある建物が古くなり、また今後使う予定が無くなり、売却しようと考えても、新たに建物を建てられない土地を買う人はまずいません。また車が入る事が出来ない土地であれば、資材置き場などとして使いにくい土地になります。

そうなりますと、売ろうにも売れない土地となり、土地が売れなければ建物の解体費用も出せず、廃屋として朽ちていくという事にもなり兼ねません。今回放映のケースは新たに購入した訳ではありませんが、こういった再建築不可物件を購入されようという方は、本当に先々どうするのかを考えたうえで、買うかどうかを決めなければならないという事を再認識して頂きたいと思っています。

かけたリフォーム代のうち、資産として残る分はとても少ないものです

実際に今回放映された家が、再建築不可物件であるのかどうかは分かりません。ですがもし再建築不可物件だったとしたら、建て替えは出来ませんからリフォームを繰り返すことになります。

空き家のイメージ

再建築不可の土地上の建物をリフォームしても、資産価値には反映され難いものです。

今回放映された番組のリフォーム金額は1,500万円でした。一般的なリフォームと比べるとかなり高額です。もう少し金額を上乗せすれば新築すら建てられる金額です。もっともそれは、お施主さんが高いか安いかを判断すればよい話ですから、金額の高さに文句を言う必要はないかもしれません。

一方で、一般的にリフォームを行いきれいにしたとしても、その分建物の資産価値が上がるかと言えば、上がらないケースの方が多いのでは、と思います。築30年の建物をリフォームしてきれいになったとしても、中古として売りに出す時には築30年の建物として評価されるケースがほとんどです。リフォーム済み物件は、築30年にしてはきれいという事で、価格は多少上がりますが、かけた金額分上がるかと言えば、それだけ価格が上がる事はめったにありません。

つまりリフォームは快適性のためにかける予算であって、資産価値に反映される予算ではありません。そして、もしこの物件が再建築不可の物件であれば、建て替えは出来ないわけですから、リフォームを続けるしかありません。そのため資産価値にプラスになり難いリフォームで費用を掛けざるを得ないという事になります。

もちろんこういった内容を把握した上で、再建築不可物件を購入するのであれば構いませんが、意外とこのような状況を知らずに検討される方も多いと思いますので、不動産購入者は気を付けて欲しいと思います。

適当な増改築をするリフォーム会社は今でもあります

リフォームの内容で、今回のリフォームではなく、昔に行われた増築工事に問題があったため、窓が自動で開くくらい家が傾いたようです。確かにこれは昔だから、という事もあるのかもしれませんが、今でも雑なリフォーム工事を行う会社はあります。

壊れた家のイメージ

適当なリフォーム工事を行う会社は今でもあります。

今回放映の家の昔の増築では、既存の基礎を壊して、玄関の位置を変えていたようですが、構造に無頓着なリフォーム会社では、基礎を壊したり土台を切ったりする会社は今でも結構あります。

リフォームとまでいかなくても、エアコンの冷媒管を設置するために壁に穴を空ける取付会社の中には、壁の筋違を平気で切って穴を空ける会社も普通にあります。

家に関わる仕事をしていても、家の構造については詳しくない人がたくさんいます。短期的にはそれで問題になる事があまり無いからです。

このようなリフォーム会社には間違ってもリフォームを頼まないようにしなければならないのですが、その判断も簡単ではありません。問題がないリフォーム会社を見つける目安の1つに、建設業の免許を持っているかどうかを見るというものもあります。

リフォームを行うのは建築工事の一部ですから、どの会社も建設業の免許を持っていそうなものですが、実際には免許が無い会社もそれなりにあります。小規模のリフォーム工事であれば、建設業の免許が無くても、リフォーム工事を行う事ができるからです。

このような確認をいちいち行うのは本当に面倒な事ではありますが、家も含めた不動産に係る金額は大きなものですし、住んでいる人の安全にも関わる事ですので、注意するに越したことはないと思います。

放映された建物の内容と関係が無い話が中心です

繰り返しになりますが、ビフォーアフターで放映された建物の内容とこのページでお話しした内容が直接かかわっているとは限りません。この番組を見て感じて連想した内容について述べたものだと思ってください。

ですが、当社にある質問の中には再建築不可物件について、実は結構な数の問い合わせをもらっています。一般の方で、再建築不可物件について、分からない人が多いという事を改めて感じます。

そのような背景もあり、今回この記事を書かせて頂きました。この記事についての質問やご意見などがあるかたは「お問い合わせフォーム」をご利用の上、ご連絡をお願いします。

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