一戸建て住宅でよく見る再建築不可物件とは何ですか?
お客様の購入希望に合わせて物件を探していますと、一戸建て住宅のリストの中に妙に安いと思われる物件がいつくか出てきます。しかし、極端に安い物件の大半は何かしらの問題があります。代表的なものは再建築不可物件です。
不動産業者にとっては再建築不可物件は、普通に目にするものですが、一般の方は、これら再建築不可物件がどのようなものなのか、あまり分からないかもしれません。そこで、このページでは、再建築不可物件について、少しお話ししたいと思います。
購入時には安く済んでもトータルで高いものになる可能性があります
再建築不可物件とは、その名の通り、その土地に新たに建物を建てる事ができない、建物を建て替える事が出来ない土地にある土地建物の事です。その時点で立派な建物が建っていたとしても、その建物は建て替える事が出来ません。そのため、建物が古くなって劣化し始めたとしても、その建物をリフォーム等を行いながら、そのまま使い続ける事になります。
建て替えが出来ない土地、再建築不可の物件は市場価格と比べますと、とても安い金額で売られています。そのためか、時々テレビ等で、お買い得物件として紹介される事もあります。たいへん安い価格で購入し、自分でリフォームして快適に暮らしているというシーンで使われたりします。
ただそれが本当にお買い得かどうかは分かりません。私見では再建築不可物件はお買い得どころか、損をする率が高い物件であると思っています。購入する際には安く済んでも、売却するときにはそれ以上に安くなっている可能性が高いからです。
再建築不可物件は、築年数が古いものが多くなります。そして購入時に築30年のものを、リフォームしてきれいにして使えるようにして、10年間快適な生活を過ごしたとしましょう。そして10年後に何らかの理由で売らなければならなくなったとき、この物件はいくらで売れるでしょうか。築40年の建物と、再建築できない土地が残るだけの物件を買う人がどの位いるでしょうか。
本当に建物が古くなった戸建住宅は、土地の更地よりも、建物の解体費分だけ安くなることがあります。ただそれは、再建築できる、建て替え出来る前提での話です。再建築できない土地の価格は資材置き場や駐車スペースとしてしか使えませんので、限りなくゼロに近い価格です。そしてその価格は建物の解体費用よりも安いという事もあります。
この場合は、タダでも買い手が付きません。タダでも売れない物件は、どんなに値段を下げても売る事が出来ず、毎年経費ばかりが出ていく不動産になってしまいます。結局は資産どころか負債にしかならない不動産になる可能性があります。
銀行融資が下りない可能性が高い物件です
そもそも再建築不可物件は、購入時にも少し問題があります。通常の銀行の住宅ローンが下りないという点です。この「通常の」という点がポイントで、実際には何らかの形で住宅ローンが付けられるケースが多いようです。ただし今の低金利の借り手に有利であるローンを使う事は難しく、変動金利でかつ金利が高いローンしか使えないというケースもあります。
これはシミュレーションして数値を確認すると分かりますが、金利が高い事で、本来の安さの意味が薄れ、少しくらい高くても通常のローンを使える物件の方が実は得、というケースも結構あります。
再建築不可物件の場合、間に入っている仲介会社から自社の紹介でローンが付けられますよ、とセールスされる事もあるのですが、このローン商品は正直なところあまり良いローンでないケースが多々あります。全てが悪いと決めつけるものではありませんが、どのようなローンが付けられるのか、現在の安いローンと比べて実際にいくらの差が出るのかを、自分でシミュレーションした上で、本当に得かどうかを決めり必要があります。
一見では再建築不可かどうか分からない物件もあります
そもそも購入時に、きちんと再建築不可物件である、という事が分かっていて、そのデメリット等を考えて購入者自身が納得するのであれば、それはその人の判断ですから、周りがとやかく言う事ではありません。しかし、この再建築不可であるかどうかが微妙に分かり難い物件で、購入者自身がそのことに気が付かないというケースもあります。
例えば旗竿地で接道が2mちょうどしかなく、かつ隣地との境界がはっきりしない場合です。その建物が建てられた時には2m接道していたはずが、将来計測してみると2mに満たず、再建築が出来ないという土地である可能性があります。その物件を購入時には公簿売買で正確な接道距離が分からないまま買ってしまい、遠い将来に建て替え出来ないという事が発覚するという事もあります。
また市街化調整区域の物件も結構微妙なものがあります。これも不動産会社から、市街化調整区域であっても許可を取れば再建築できますよ、と説明される事が多いようなのですが、この許可が必ず取れるという保証はありません。
原則として市街化調整区域は建物を建ててはいけないエリアです。これはその自治体によっても方針が大きく異なるので正確には判断ができませんが、市街化調整区域でも割と簡単に建築の許可が下りるエリアもあれば、簡単には許可しないエリアもあります。そして、今は簡単に許可が出るとしても、10年後には出ないという事も十分に考えられます。
こういった内容を把握した上で買うのであれば問題は出ないのですが、実際にどの位理解しているのか分からない方も多いように感じます。こういった内容は重要事項説明書に記載し、詳しく説明しなければならないのですが、簡単に話を流してしまう不動産会社も多いため、買い手自身が十分以上注意しなければなりません。
他にも道路予定地であるとか区画整理地であるとか、様々な条件で再建築が出来ないという土地があります。あるいは再建築は不可ではないけれども、条例などの制限で建築面積が大幅に削られるため現実的には建たないという土地もあります。これらの見分け方は簡単では無いのですが、建築についての基礎知識を得るだけでも、問題がある物件を選んでしまう率を大幅に減らすことが出来ます。不動産会社に話を聞くという事と並行して、自分でも勉強し、変な物件を避けるように注意すべきだと思います。
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