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先日は「やってはいけないマンション選びの本を読みました」のページで、マンション選びの本には経済系の本と技術系の本があると書きました。前回は経済系の本の紹介をしましたので、今回は技術系の本の紹介をしたいと思います。

今回紹介する本は「一流マンションはここがスゴい(エクスナレッジ)」です。私が持っているのは2014年版ですが、現在は改訂版が出ているようです。巻頭にマンションの最新トレンドが載っている部分を除けば、それほど大きく変わっていないと思われますので、このページでは旧版の内容について、お話ししたいと思います。

マンションの建物の性能を考えるために参考になる本です

一流マンションはここがスゴい表紙

この著者はもともとがマンションの設計士ですので、マンションの建物そのものについてはとても詳しく書かれています。逆に経済系の話、つまりマンションの価格が高いか安いか、資産価値はどうかという話についてあまり触れられていません。

簡単に資産性や立地について書かれていますが、ごく一般的な話か単なる予想であることも多く、経済的な内容ではあまり参考になりません。しかし、技術的な内容については、一般の方でも分かる、チェックできる内容について結構詳しく書かれていますので、新築マンション、中古マンションを選ぶときの参考になるのではないかと思います。

技術系の方は高度な技術を取り入れたものについて否定的なことが多いようです

これは技術系の方とお話しする時に感じるのですが、技術系の方は意外と高度な技術を要するものについて否定的であることが多いように感じます。そしてこの著者にもそのような傾向を感じます。技術が分かるからこそ、新しい技術を簡単には信用しないということなのかもしれません。

軟弱地盤の補強工事について否定的な見解です

例えば軟弱地盤にマンションを建設する際には支持地盤まで杭を打ち込まなければなりませんが、この杭の強度に対して疑問を呈しており、軟弱地盤の上に建つマンションをお勧めしていないようです。

杭は梁のような横に耐えられる構造体が入っていないため、横からの衝撃に弱いというのがその理由です。私個人もこの意見には同感で、本当に大きな地震に耐えられるのかどうか不安な造りではないかと思っています。

免震や制振のマンションも積極的にはお勧めしていないようです

またダメとまでは言っていませんが、免震マンション、制振マンションについてもあまりお勧めしていないようです。著者はしっかりした地盤の上に、耐震構造で作った中層マンションが耐震性が高いと主張されています。

この本は最近の免震装置の偽装が発覚する前に書かれた本ですが、こういった新しい装置の危険性にも気が付いていたのかもしれません。

タワーマンションもお勧めしていない様子です

タワーマンションについても、あまりお勧めしていない様子が感じられます。理由として、長周期地震動に対して問題が出るのではないかという点や、外壁で使われるALC版のつなぎ目に使うコーキング材の劣化や、それに伴う雨漏りの可能性について触れ、問題が出る可能性が高いと考えているようです。

これは本を出しているすべての方がそうだという訳ではありませんが、経済系の方はタワーマンションを推奨、技術系の方はタワーマンション否定、というケースが多いように感じます。両方の意見を比較して読むと面白いですし、どちらの考え方が正しいのかについて考えさせられます。

ちなみに私は技術系の方の意見持ちで、タワーマンションはあまりお勧めしていません。もちろん最終的には購入者である皆さんご自身が判断されれば良い事だと思います。タワーマンションについては「2-05-11.タワーマンションは本当に資産価値を維持できますか?」でも意見を述べていますので、よろしければこちらも参考にしてください。

床の遮音性についての話を読むと知識が古いのではないかと思われます

技術的な内容の話はどれも素晴らしいと思うのですが、床の遮音性についての話は少し疑わしいように感じます。この著者は二重床の方が遮音性が優れていると主張されています。

2007年以前の基準では二重床の方が遮音性が高いと言われていましたが、遮音性の実験方法が変更された後は、現実レベルでは二重床よりも直床の方が遮音性が高いケースが多い、とされています。この辺りの話が全く反映されていない点が少し気になりました。

全体的に見て、とても良くできている本だと思っています

この本について色々と文句も言っていますが、全体的に見てとても良くできている本だと思っています。マンション選びの前には、経済系の本と技術系の本の両方を読むことをお勧めしますが、技術系の本ではこの本が幅広い内容についてまとめられているのでお勧めです。

ただ、この本で書かれている内容を全て満たしているマンションはめったにありません。ですので、実際にマンションを見る際には、どの部分は譲れなくてどの部分はあきらめてもよいのかを自分の価値観と照らし合わせて判断する必要があります。ですが、自分の価値観を改めて確認するきっかけにもなりますので、そのこと自体は良い事だと思っています。良かったら読んでみてください。

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