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先日「やってはいけないマンション選び(青春出版社)」を読みました。仕事柄不動産の関連本をなるべく読むようにしていますが、読んでみて何だかなと思う内容の本も多くあります。ですが、この本は良くできていると思いましたので簡単に感想を述べたいと思います。

やってはいけないマンション選び表紙

出典:青春出版社

マンション選びの本は、大きく分けると経済系の本と、技術系の本の2種類に分けられます。この本は経済系寄りの内容が中心です。経済系は、マンションのディベロッパー出身の人や、経済評論家の人が書くことが多く、技術系や建築家やゼネコンの設計経験者などが書くことが多いように感じます。
(例えば技術系の人が書いた「一流マンションはここがスゴい」という本についてはこちらのページで紹介しています)

そのため本の内容がどちらかに偏っていたり、偏っているせいで何か変な内容となっていることもあるのですが、この本ではおかしな部分をさほど感じません。経済系、つまりマンションンの価格の話が中心ですが、建物の仕様の話や修繕計画の話など、技術的な内容も必要な部分をきちんと押さえて書かれた本だと思います。

また経済系の本では、このエリアの価格が上がる、このエリアは下がるという予想しか書かれていないものや、購入時の注意点だけ書かれている本も多いのですが、この本は全般的な内容をバランスを重視して書いたという印象を受けます。

マンションの資産価値についての予想もまっとうな考えだと思います

マンションの資産価値についての考え方も良い意味でオーソドックスな考え方だと思います。また、その内容も「資産価値とは中古で売れる価格のことである」ですとか、「年間利回りが4%未満の物件は買うべきではない」など具体的で分かりやすく説明されています。利回りについては私も「2-05-04.賃料からマンションの価格を考えましょう」のページで新築マンションであれば4%以上の利回りは欲しいと説明しましたが、この著者さんも同じ意見であることをうれしく感じました。

マンションの広告の見かたも参考になりました

マンション広告の話も少し出てきます。キャッチコピーを信じてはいけないということは全く同感です。それ以上に「マンションンの肝となる情報をわかりやすく丁寧に伝えている物件は売主が商品の中身に自信を持っている」という話には感心しました。私は、物件概要の部分をしっかりと読むべき、とは思っており、その他のコピーには注意していなかったのですが、その他のコピーの出し方によって、商品の自信度が分かるという考えはありませんでした。この見方はさすがだと思います。

新築分譲マンションのチラシの見かたについては「3-01.新築分譲マンションのチラシの見かたを覚えましょう」というページをこのサイトでも作っていますので、よろしければ参考までにご覧ください。

マンション外壁の大規模修繕工事は必要ないのでは、という視点も良いと思いました

また、マンションの大規模修繕工事についての話も参考になります。通常のマンション本ですと築12年頃には外壁の大規模修繕工事などが発生し、その分の予算を見なければならない、と書かれています。ですがこの本では、そんな短期間で外壁の工事は必要ないのでは、と主張されています。この主張は個人的にも賛成です。

戸建住宅の場合でもそうなのですが、屋根や外壁の塗り直しが10年ごとに必要と主張される方が数多くいます。しかし技術的な面で見ると、そんなに頻繁に塗り直しは必要ないケースが大半です。あくまでも美観の問題で塗り直しをしているだけです。

これはマンションでも恐らく同様で、築10年とか築15年で外壁の補修が本当に必要なのかは疑問です。今では赤外線の検査で外壁のタイルの浮きもチェックできますので、そのような方法でチェックをして、問題がある場合にのみ修繕するという考えで良いのでは、と思います。ただ、その話をはっきりと主張される方は珍しいので、よく書きましたね、と感心しました。

ただタイルが落ちても人が死ぬほどではありません、と書かれていますが、高い場所のタイルが落ちた場合結構危険は高いと思うのですが、この表現はどうなのでしょうか。何しろマンションの外壁にタイルを使うことを禁止している国もあるくらいですから。

本書の内容に100%賛同ではありませんが、マンション購入者は読んでおきたい本です

ここまでお話ししました内容は、この本に書かれている内容のごく一部です。それも私個人が気に入った部分を取り上げて書いていますので、実際にはもっと違う内容もたくさん書かれています。この本の内容で、それはどうかと思う部分も一部ありますが、概ね私は賛同できる内容が書かれています。新築か中古かを問わず、マンションの購入を考えている人は、1度読んだ方が良い本だと思いますので、紹介させてもらいました。

不動産選びで失敗しない方法で1番精度が高い方法は、自分で勉強して詳しくなることです。ただ実際に勉強するのは結構大変ですし、何から始めたら良いか分からないことも多いと思います。そういった意味では、この本はマンション選びについて、よくまとまっているため、勉強のとっかかりとして読むには良い本だと思います。

このページを書いていますふくろう不動産がどのような会社であるのかは「ふくろう不動産とは」のページをご確認ください。