不動産売買の新・媒介業務チェックリスト実践編を読んでみました
ふくろう不動産は、売買仲介を中心に活動している不動産会社です。それなりに知識や経験があるのですが、それでも新しいことについて知らないこともありますので、定期的に知識のチェックを行うべく、研修を受けたり本を読んだりして、自分の知識を再確認するようにしています。
今回は不動産流通推進センターでフォローアップ研修があり、書籍とWeb動画などによる講習を受けました。既に知っている話も多かったのですが、改めて知っていることを確認できたことは良かったと思っています。
このページでは講習を受けた内容で、改めて感じたことを備忘録的にまとめてみました。
媒介取引の実践編だけあって、チェックリストが充実しています
こちらは講習の元になるテキストですが、実践編だけあってチェックリストが充実しているのがありがたいです。当社でもオリジナルでチェックリストを作っているのですが、少ない枚数で収めようと作ったせいか、文字が詰まり過ぎて少し分かりにくくなっていました。
その点、この本で示されたチェックリストはスペースも十分とって、分かりやすくまとめられていますので、当社でもチェックリストをこちらに切り替えようと思います。
この講習ではテキスト類の他に、旬なネタの学習動画が3本あり、各々参考になりました。特に新たに知った内容としては家族信託があります。家族信託という名前自体は知っていましたが、詳しい内容をよく把握していませんでしたので、その内容についての講義があったのはありがたかったです。この家族信託については、内容が多くなりますので別のページで詳しく説明したいと思います。
重要事項説明の講習動画ではマンションの定番トラブルと道路付けトラブルについての解説がありました
解説動画の中に、重要事項説明について動画がありましたが、その中でマンションの定番トラブルと戸建住宅の定番トラブルについての説明がありました。これらのトラブル内容について簡単に説明したいと思います。
マンションの定番トラブルは4つあるとの説明でした
この動画では、マンションで良くあるトラブルは4つあり、その内容について重要事項説明時にきちんと説明しておかないと後でトラブルになりやすいとの話がありました。良くある4つのトラブルとは
・ペットの飼育
・事務所としての使用
・楽器の演奏
・フローリングへの変更
の4つの事です。
ペットの飼育については、トラブルの定番中の定番という感じがします。ペットのトラブルと言えば、ペット禁止のマンションでペットを飼っていた場合、とお考えかもしれませんが、実際にはペット飼育可のマンションで、その飼育方法や利用方法でトラブルになるケースの方が多いようです。
ペットの飼育上のトラブルを防ぐには、管理規約はもちろん使用細則を良く読み込んで、内容を確認しなければなりません。ペットの飼育トラブルの代表的な例は「4-03-02.ペットに対する管理規約や使用細則を確認しておきましょう」のページでも触れていますので、こちらのぺージを参考にしてみてください。
事務所としての使用は、私自身はそれほど多いトラブルとは思っていませんでした。ただ、いかにも住宅街という場所ではなく、繁華街で本来は住居系のマンションなのに、事務所として使われると、不特定多数の人が出入りし、環境や雰囲気が悪くなると考える人も多いようです。
こちらも管理規約などを読み込んだ上で、事務所利用が可能かどうかを事前に重要事項説明時に確認しなければなりません。
楽器の演奏と、フローリングへの変更はどちらの音の問題です。音の問題もマンショントラブルの定番です。楽器の演奏については、管理規約などで演奏時間などが決められていることも多いため、これも事前に確認しておく必要があります。
楽器の演奏は、演奏時間を確認する程度で済みますが、フローリングへの変更については、管理規約や使用細則を読むだけでなく、もう少し詳しく聞かなければなりません。
一般的な管理規約や使用細則では、マンションの床をカーペットからフローリングに変更する場合や、フローリング自体を既存のものから変更する場合には、管理組合への届け出が必要と書かれています。
これだけ見ますと、単に届け出を行えば済むと思ってしまいがちですが、実際には届け出の際に、隣の住戸や上下階の住戸の承諾書を取らないと、この届け出が受け付けられない、というケースがよくあります。
ですので、規約などを読む際には、届け出と書かれていた場合には、具体的にはどのような作業が必要なのか、承諾書が必要なのか、あるいはフローリングの性能証明書が必要なのかなど、より詳しい条件を確認する必要があります。
これらの内容は重要事項説明書に書かれている内容だけでは分からない時もありますので、売買契約前に調べなければなりません。
戸建住宅の場合のトラブルの定番は私道の取り扱いのようです
戸建住宅や戸建て住宅用の土地のトラブルの説明として、私道についての問題が紹介されていました。紹介された事例では、元々の地主に対してはその道路の使用許可を与えていたのですが、その土地が細かく4分割され、分譲住宅として販売されることを知り、その内容に反発して、道路の使用許可を取り消したという事例です。
すべての私道でトラブルが起きる訳ではありませんが、公道と比べるとトラブルが起きやすいのも確かです。私道にまつわるトラブルについては「3-01-06.敷地に接している道路が私道でないと言い切れますか?」のページでも紹介しています。
中古住宅の販売で、売主さんや売主さん側の仲介会社からは、私道ですが全く問題ありません、と聞くケースも多いと思います。これがウソとは言いませんが、今までトラブルが無かったからといって、将来に渡ってトラブルが出ないと確定している訳ではありません。
考えられるトラブルとして、どのようなケースがあるのか、そのリスクも考えて、いくらなら購入しても良いのかを考えながら戸建住宅や土地の売買をしてほしいものだと思います。
瑕疵の大きな問題は戸建住宅では4つあるようです
戸建住宅の売買契約について問題になりやすいのは瑕疵の存在です。この瑕疵には色々なパターンがありますが、法的な内容については、契約書や重要事項説明書で大半がカバーされます。しかし、これらの書類ではカバーされない部分で4点ほど問題に、瑕疵になりやすい問題が4つあるようです。その4つとは、
・雨漏りがあった場合
・シロアリが出てきた場合
・構造上主要な部位の木材が腐食していた場合
・給排水管が故障していた場合
の4つです。
これらの瑕疵トラブルを防ぐためには、売主さん本人に告知書を書いてもらう、という説明が動画でありました。ただ、これらのトラブルは売主さん自身も気が付いていないケースが多いのではないでしょうか。
私は、このようなトラブルを防ぐためには、事前に建物検査を受けることと、瑕疵担保保険に加入することをお勧めしています。事前検査で、売主さん自身が気が付かない瑕疵を発見することもできますし、万一瑕疵があったとしても、その改修費用は保険で賄うことができるからです。
中古住宅の瑕疵保険は、まだ制度が始まってからそれほどの期間が経っていないため、保険が使えるという事自体を知らない人も多いようです。ですが、実際にこの瑕疵があった場合、売主や買主、仲介会社を巻き込んだ裁判沙汰になることも多いため、安全を見て、検査や保険の加入をもっと積極的に勧めるべきではないかと思います。
瑕疵保険に加入できるかどうかの目安については「2-04-10.中古住宅購入時に瑕疵担保保険に入れるかどうかの目安をお教えします」のページでも説明しています。
ふくろう不動産ではこのようなトラブルに巻き込まれないための調査を徹底しています
今回の講習動画で、改めて現在よく起きているトラブルを確認できました。昔の不動産仲介であれば、不動産は現状有姿で引き渡すのだから、ある程度の瑕疵は仕方がない、という感覚があったと思いますが、今の世の中ではその甘えは許されません。
ふくろう不動産では不動産を購入されたいという方のために、様々なチェックを行っています。このページで紹介しましたトラブルに巻き込まれないように、法的なチェックはもちろん、自社でもかなりのレベルで建物チェックを行える体制を整えています(「第2章.技術的・経済的な土地建物チェックに優れています」参照)。
詳しくは「お問い合わせフォーム」などをご利用の上、当社までご連絡ください。