良い不動産仲介会社を選ぶために必要な知識を得ておきましょう

不動産の購入や売却において、信頼できる仲介会社を選ぶことは非常に重要です。しかし、「どうやって良い仲介会社を選べばいいのか?」という疑問を持つ方は少なくありません。残念ながら、一目で分かるような簡単なポイントはなく、一定以上の知識と多角的な視点が必要です。

「相性」や「ワンポイント」だけでは不十分な理由

「仲介会社選びは相性が大事」という意見をよく耳にしますが、これは仲介会社選びの多くの要素の一つに過ぎません。たとえ営業担当者と相性が良くても、彼らに悪意があったり、十分な能力がなかったりすれば、それは「良い仲介会社」とは言えません。

また、「これだけ見ればいい」といったワンポイントで良い仲介会社を判断できると考えるのも間違いです。不動産取引は複雑であり、多岐にわたる項目を総合的に判断する必要があります。

なぜ「一定以上の知識」が必要なのか?

仲介会社の営業担当者が正しいことを言っているか、良いアドバイスをしているかを判断するには、こちら側がある程度の「答え」を知っている必要があります。自分が知らないことを質問しても、相手の返事が正しいかどうかは判断できません。知識がないのに話を聞いても、相手が良い人かどうかを正確に判断することは不可能です。

役に立たない仲介会社選びの方法

世間一般で推奨されがちな選び方の中には、個人的にはあまり役に立たないと感じるものがあります。

1. 比較サイトやランキングからの判断

不動産仲介会社の比較サイトは数多く存在しますが、多くの場合、利害関係者(例えば、広告収入を得ているポータルサイトやアフィリエイトサイト)が作成しています。広告を出している会社を優先するのはビジネスとして当然であり、公平な情報を提供しているとは限りません。

2. 口コミサイトやSNSからの判断

比較サイトよりはマシですが、これも全てを信用できるわけではありません。不自然に件数が多く評価が高い会社は、いわゆる「サクラ」が書き込んでいる可能性も十分にあります。真偽を見抜く知識がなければ、これだけで判断するのは危険です。

3. 地域密着や歴史の長さ(免許番号)からの判断

「地域に密着しているから安心」「歴史がある(免許番号の数が多い)から信頼できる」という意見もあります。しかし、筆者の経験上、免許番号の数が多い老舗の会社でも「囲い込み」などの不適切な営業を行っているケースは少なくありません。大手、地域密着問わず、良い会社も悪い会社も存在するため、これらは判断基準としてはあまり関係がないと言えます。

4. 営業担当者との相性や話しやすさで決める

これは最もよく言われることですが、営業担当者のテクニック次第でどうとでもなります。特に「できる営業マン」(ここではお客様のためになるという意味ではなく、数字を作れるという意味)は、お客様に合わせる技術に長けています。しかし、お客様のためになる提案をしているかどうかは全く別の話であり、相性だけで判断するのは危険です。

お客様のためにならない「悪い仲介会社」の特徴

良い仲介会社を選ぶためには、まず「悪い仲介会社」がどのようなものかを知っておくことが重要です。

1. お客様の利益よりも自社の利益を優先する

  • 囲い込み: これは売主・買主の双方から手数料を得る「両手取引」を狙い、他の仲介会社からの紹介を意図的に制限する行為の事です。売主は数百万円単位で損をしたり、買主は本当に欲しい物件に出会えない可能性があります。
  • 高額物件への誘導: 仲介手数料は物件価格に比例するため、より高額な物件を勧めようとします。相場より高くても、ローン期間を伸ばすなどして購入を促すことがあります。
  • 支払いの厳しさを隠す: 顧客の収支から見て無理があるような高額物件でも、「このくらいの支払いは問題ありません」と安易に勧めたり、返済期間を不自然に長く設定して月々の負担を低く見せかけたりします。
  • 不透明な手数料や提携先の指定: 仲介手数料以外に不明瞭な手数料を徴収したり、報酬の高い司法書士や条件の良くない火災保険会社、リフォーム会社などを指定・強く誘導したりします。

2. 仲介会社の効率化のために情報を制限する

  • 問題点の軽視: 問題のある物件でも、契約を急がせるために問題点を強く主張せず、法的に定められた最低限の説明を簡単に済ませるケースがあります。
  • 相場感を正しく伝えない: 割高な物件でも「お買い得」「今買わないと損をする」などと煽り、正しい相場感を伝えない事もあります。
  • 案内物件数の制限: 効率を重視し、お客様の条件を詳しく聞いたと称して、実際は自社の効率のために案内する物件数を意図的に絞り込む事です。お客様自身が他の物件がなぜ候補から外されたのかを判断できないと、不利益を被る可能性があります。

良い仲介会社を選ぶための対応策

1. 自分が知っていることを質問し、相手の回答で判断する

自分が既に知っていることを相手に質問し、その回答が正しいかどうかで相手の誠実さや知識を判断します。営業担当者の中には、試されている質問には正確に答え、自社の利益に関わる部分では嘘をつく人もいるため、複数の項目で質問することが重要です。

2. 関連書籍を10冊読む

知識を増やす最も確実な方法は、関連書籍を10冊読むことです。

  • 書籍を選ぶ理由: 雑誌は広告収入に依存するため、広告主への配慮から情報が偏る可能性があります。書籍の方が、より中立的な情報が得られやすい傾向にあります。
  • 選び方: 人におすすめを聞くのではなく、自分自身で大きな書店に行き、興味のある本を1冊ずつ購入して読み進めます。知識が増えたら、また書店で新しい本を探す、というサイクルを10回繰り返すことで、幅広い知識が身につきます。

3. 複数の仲介会社(3社程度)と話す

知識を得た上で、実際に3社ほどの仲介会社と話すことをお勧めします。

  • 比較の重要性: 1社だけでは比較対象がなく、その会社が良いかどうかの判断ができません。複数社と話すことで、より客観的に比較検討できます。
  • 同じ質問をする: 複数の会社に同じ質問をすることで、それぞれの担当者の知識レベルや対応、考え方の違いをより正確に把握できます。

4. いきなり物件見学に行かない

最初の面談で「すぐに物件を見に行きましょう」と促されても、基本的に断ることをお勧めします。

  • 知識がないままの見学は危険: 知識がない状態で物件を見ると、印象だけで良し悪しを判断しがちです。これは誤った判断につながる可能性があります。
  • トラブルのリスク: もし最初の仲介会社が良くない会社だった場合、その会社が案内した物件を後から別の良い仲介会社から購入しようとすると、最初の会社との間でトラブルになることがあります。
  • 担当者の質を見極める: 話すことがなく、すぐに物件を見せたがる担当者は、基礎知識が不足しているか、イメージで押し切ろうとする営業スタイルである可能性が高いです。良い担当者であれば、物件見学の前に不動産のチェックポイントや見方を丁寧に説明してくれるはずです(当社では初回面談だけで3~5時間かかることも珍しくありません)。

まとめ:手間をかけるか、運に任せるか

不動産仲介会社を選ぶ前に、本を読んで勉強し、複数社と話すのは確かに手間がかかる作業です。しかし、この手間を惜しむと、残念ながら「運任せ」の取引になってしまいます。不動産業界には、お客様を「カモ」にしようとする営業担当者も少なからず存在します。

慎重に仲介会社を選ぶか、それともリスクを覚悟して飛び込みで決めるか。どちらの選択をするかは個人の自由ですが、後悔のない取引のためには、やはり時間をかけて知識を身につけ、良い仲介会社を見極める努力をすることをお勧めします。

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