マンションは14階建ては良くて15階建てはダメという話は本当でしょうか?

マンションについての意見を色々と聞いたり読んだりしますが、その中に15階建てはダメという主張を良く聞きます。先日ご紹介した「一流マンションはここがスゴい」という本の中でも同じような意見がありました。

この意見にはなるほどと思うところもありますが、一方違うのではないかと思う部分もあります。私個人は15階建てのマンションがダメだとは思っていません。このページでは15階建てのマンションは本当にダメなのかについて、考えてみたいと思います。

14階建てや15階建てのマンションが多いのは建築基準法の制限のせいです

15階建て前後のマンション

14階建て、15階建てのマンションは結構数多くあります。

そもそもマンションは、14階建てや15階建てまでが多く、それより高いマンションですと、20階建て以上と急激に高さが高くなります。これは建築基準法の制限が影響しています。

建築基準法では、31mまでの高さとその上の4階部分までの建物であれば、非常用エレベーターを設置しなくても良いとなっています。そしてこの31mまでの高さは、10階か11階がその階にあたり、10階に該当すれば、全部で14階建て、11階に該当すれば全部で15階建てとなります。

ただ、11階までを31mの高さまで抑えようと思うと、1階あたりの階高を少し低めにしなければなりません。15階建てのマンションが批判されるのは、この階高が低いことで、住人が住みにくくなるので、マンションのレベルが低いと主張されているからです。

15階建ては売主が住戸数を増やすためとありますが、必ずそうだとも限りません

数を増やすイメージ

15階建ては住戸数を増やすために無理やり作ったと言われていますが…

そして、この15階建てマンションは、売主が少しでも住戸数を増やして、売り上げを増やすために行っている建物なので、15階建てのマンションは売主であるディベロッパーの誠意が無い、と言われたりします。

しかしこの意見には私は賛同できません。どのマンションであっても、その土地の容積率をフルに使えるようにマンションのプランを設計しています。14階建ててあれば、15階建てと比べてその分住戸数や専有面積が少ないかと言えば、そんなことはめったにありません。階数に関係なく、どのマンションも土地に対する容積率いっぱいのマンションを作ります。

ですので、15階建てが14階建てと比べて住戸数が増えるとか、そのためにディベロッパーの売り上げが落ちるとは思えません、結局マンションの専有面積を確保するために、平面上で無理をするか、高さの面で無理をするかの違いで、どちらが誠意があるという話ではないと思います。

仮にディベロッパーが容積率が未消化のままでも14階建てを選んだとしていたら、そのマンションの購入者層は階高が高くなければ売りにくいと判断しただけでしょう。14階建てであっても、ディベロッパーに誠意がある訳ではありません

私が知っている限り、どのディベロッパーも利益が最大になるようにプランを考えます。もちろん企業ですから当然の行為です。そして、利益が最大になるにはどのプランが最適かを考えた結果、階高も決まります。繰り返しますが、14階建てマンションが誠意があるプランではありません。

15階建てが嫌がられる原因は大きく2つあります

ちなみに15階建てのマンションを誠意が無いマンションだと主張される方は、15階建てのデメリットを2つほど言っています。1つは階高や天井高の話、もう1つはドアやサッシの高さの話です。

階高が低いと天井高が下がる点が不満点のようですが好みの問題にもなります

天井のイメージ

天井は高ければ良い、というものではありません。

階高というのは、下の階の床面から上の階の床面までの高さのことです。これに対し天井高は、1つの階の床から天井までの高さのことです。似ているので、ちょっと紛らわしいかもしれません。

住む人の感覚で言えば、階高は普段気にすることはありません。私個人の意見としても、この階高がそれほど重要だと思っていません。問題なのは目に見える天井高や、ドア・サッシの高さです。

この天井高が低いと、見た目に圧迫感を受けることがあり、人によっては狭さを感じるかもしれません。またドアの高さやサッシの高さも同様です。要は見た目が良くないということです。

ですが、天井高は人の好みにもよりますし、他の要素との兼ね合いで見え方も変わります。天井高が低ければとにかくダメ、という話ではないのではないでしょうか。

戸建住宅を設計する建築家でも、天井高を高く取らない方が美しいとする建築家のグループもあります。著名な建築家である吉村順三さんに師事した建築家の方々は、割と低い天井高の建物を多く設計している印象があります。もちろん他のデザイン要素との兼ね合いがありますから、何でも低ければ良いという話でもありませんが。

階高が低いと二重床になりにくいという点もデメリットして指摘されがちですが、これも不満があります

床のイメージ

マンションの床は二重床が絶対的に良い、と考えるのは間違いです。

階高が低いことによるデメリットとして、二重床や二重天井にしにくい、という話もあります。二重天井にならないのはデメリットが大きいと思いますが、二重床については、私はさほどメリットだと思っていません

二重床が良いと主張される方は、二重床の方が防音性が高い、ということと、二重床の方がリフォームやメンテナンス性が高い、と言われます。

しかし防音性については、実際には二重床よりも直床の方が防音性が高いケースが多く、二重床の方が防音性が高いという意見は間違っていると思います。二重床については「3-03-05.マンションの壁と床の防音性能を確認しましょう」のページも参考にしてください。

2007年ころまではフローリングの防音性の実験方法に問題があったため、二重床の方が防音性が高いと言われていましたが、その時までの結果は現在の実験では防音性に劣ることがほぼ分かってきました。また、今の二重床も正しく施工されれば防音性が確保されますが、実際に計算通りに施工することが難しく、現実には直床の方が防音性が高い例も多いと思います。

このような状況から、二重床の方が防音性が高いと言い切るのは間違いだと思います。

またメンテナンス性についても、昔の直床と今の直床を同じように考えている誤解が多いのではないかと思います。昔の直床は、配管などをコンクリートに直接打ち込んで、交換不可という床がよくありました。しかし今の直床は交換・更新も考えられた造りになっていますし、メンテ部分を下の階の二重天井部分に受け持たせているだけで、メンテナンス性が大幅に落ちる訳ではありません。

こう考えると「階高が低いイコール二重床にできないからダメ」と決めつける論理には、それほど説得力が無いと感じます。

天井高が低い点や防音性が劣るとしたら、その点を考えれば良いだけです

うるさいイメージ

階高からではなく、実際の天井高の高さや防音性を考えましょう。

もし15階建てにすることで、天井高が低くなったり、床や天井の造りによって防音性が低くなっているとすれば、天井高や防音性について、そのマンションを評価すれば良いだけであって、15階建てだから、という点について考える必要はないのではないかと思います。

14階建てや15階建てが良い悪いを考えるよりも、個別の条件などを見て、マンションの良しあしを判断する目を養う方が、恐らく実用性が高いでしょう。

この14階建てか15階建てかという議論については、現役の設計者である高橋健介氏がご自身のサイト「マンションを考えるヒント」の中で各々のメリットやデメリットについて詳しく書いています。
15階建てマンション=悪!?(その1)
15階建てマンション=悪!?(その2)
15階建てマンション=悪!?(その3)」(出典:マンションを考えるヒント

こちらのサイトは現役の設計者が書いているだけあって、技術的な内容が大変充実しています。マンションについて、より詳しく知りたいという方は、こちらのサイトの一読をお勧めします。

ポイント1つだけを見てマンションの良し悪しを考えてはいけません

これはマンション選びだけでなく不動産選び全般的に言えるのですが、1つの項目だけを見て、このマンションは良いとか悪いとか簡単に言い切れるものではありません。どのマンションであっても、良い点と悪い点があり、それらのバランスを見て、購入して良いかどうかを決めなければなりません。この観点から考えますと、こういうマンションはダメ、と言い切る形の話のほとんどは内容が正しくないと私は思っています。

このあたりの話は「住まい選びのポイントは一口では説明できません」でも説明しています。マスコミ等によっては話を単純化するために、この点だけチェックすれば良い、と主張される話はたくさんありますが、単純化された選び方のポイントという話は、私が見る限りほとんど間違っています。

先々の資産価値を考えてマンションを買おうと考えている方は、このような話に惑わされず、勉強した上で、自分に合ったマンションを選んでほしいと思います。

このページの内容の一部を動画でも説明してみました

その動画がこちらです。

よろしければ、動画もご覧ください。

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