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2015年6月に国土交通省が公開した「平成27年度土地に関する基本的施策」(土地白書)の中には、コンパクトシティの形成を促進する、と書かれています。

このコンパクトシティという言葉は美しいのですが、私自身はこのコンパクトシティという考えには、ちょっと偏見を持っています。

このページでは、このコンパクトシティについて、私個人の考えをお話ししたいと思います。

コンパクトシティの一般的な定義を調べてみました

商店街のイメージ

コンパクトシティは商店街の活性化という点でも期待されているようです。

私自身の考えをお話しする前に、一般的に言われているコンパクトシティとは何かを調べてみました。

ウィキペディアによりますとコンパクトシティとは「市街地のスケールを小さく保ち、歩いてゆける範囲を生活圏と捉え、コミュニティの再生や住みやすいまちづくりを目指そうとする」ものとして書かれています。

この流れで「職住近接型のまちづくりを目指す」とか「自動車よりも自転車にスポットを当てる」など、生活のしやすさやエコを前面に出している特徴があります。

特に地方においては自動車社会が発達し、買い物施設なども郊外の大規模なショッピングセンターが中心になってきました。

しかし高齢者の方の率が増えるにつれ、自動車が運転できなくなる人が増え、そして自動車が無いと不便な地域は孤立してしまうのではないか、という恐れから、もっと近くに集まった方が良いのではないかという考えで作られたコンセプトのようです。

私の出身県である富山県の中心である富山市も、このコンパクトシティを政策として公式に取り入れているようです。

コンパクトシティ化を進める1番の理由は自治体の予算不足だと思っています

お金が少ないイメージ

コンパクトシティ計画は自治体の予算不足が1番の動機ではないかと思っています。

自治体などのサイトで、コンパクトシティについて書かれている内容を見ると、基本的に良いことが中心です。さらに、街がコンパクトになることで、商店街が活性化する、という意見も多く、コンパクトシティに賛同する方は結構多くいるようです。

私自身、このコンパクトシティに対して、反対している訳ではありませんが、ちょっと偏見を持って見ている部分があります。

それはコンパクトシティの考え方は、自治体の予算不足を補うために進められている考えだと思っているからです。

もう少し具体的に考えてみましょう。例えば前述の富山市は当然市内で様々なサービスを提供しています。そのサービスの1つに、道路の除雪作業があります。富山は雪国ですので、毎年多くの雪が降ります。そのため、除雪作業に多額の予算と、多くの手間がかかります。

ましてや富山市は平成の大合併で面積が広くなり、富山県の約30%を占める面積があります。1つの市町村が県に占める面積の割合では全国で1番のようです。

そして、今後人口が減り、高齢化が進み、市の収入が少なくなるような状況で、今後も引き続き、市内全域の除雪作業が続けられるとは思いません。どう考えても予算が足りないからです。

ですが、その除雪作業がコンパクトシティ内だけであればどうでしょうか。あるいはコンパクトシティ内を優先的に除雪し、他の地域の除雪の頻度を落とすのはどうでしょうか。これで足りない予算でもなんとかやりくりできるかもしれません。

これは除雪作業だけに限りません。上下水道なども今後老朽化し、取り換えをしなければならない時期が来ます。その時、人口が減っていて、使用者が数人しかないようなエリアに、多額の費用をかけて、水道が引けるでしょうか。

今後自治体の予算は、特別なことが無い限り減る一方でしょう。その予算の中でサービスをやりくりしようと思えば、サービスを限定するしかありません。その限定方法の中で簡単なのは、エリアを限ることです。

除雪や上下水道などのインフラは、エリアが狭ければ効率が高くなりますし、予算も少なくて済みます。他の行政サービスでも、エリアが小さくなって、トクすることはあっても困ることはあまり無いでしょう。

もっともこの方針を私は批判している訳ではありません。現状を考えると仕方がない、と思っている部分もあります。ですが、いかにも市の発展やエコのため、という題目が付いていると、なんだかなと感じることがあります。

コンパクトシティの内側を買わないと資産価値が保てません

境界のイメージ

コンパクトシティの外側は、将来の資産価値が心配です。

さて、このコンパクトシティの考え方を、不動産屋の立場から見てみます。特に当社は不動産を購入する人の立場に立つバイヤーズエージェントです。不動産を購入されるお客様に損をさせないために、このコンパクトシティについては、どう考えれば良いでしょうか。

まず最初に、このコンパクトシティの外側の不動産を買わないようにアドバイスします。コンパクトシティの外側は、今後インフラが充実することは恐らく無いでしょう。

そして企業や買い物施設、その他の施設なども、将来性が薄そうな外側のエリアは選ばないでしょう。そうなると、コンパクトシティの外側は、不動産の資産価値がどんどんと下がることが予想されます

国や県や市が、この線の内側は手をかけますが、外側は分かりません、と言っている訳です。現在とても発展しているとしても、あるいは環境がとても良いとしても、将来性には大きな不安があります。少なくとも積極的にはお勧めできません。

これが地方都市だけの話だと考えてはいけません

地方のイメージ

コンパクトシティの考え方を地方だけのものと考えてはいけません。

コンパクトシティの考え方は、今は地方都市で進められている政策です。首都圏ではこの考え方が公に出てくることはありません。

しかし、どの首都圏であっても、どの自治体も予算は十分ではありません。サービスを限定しなければならない状況は首都圏の自治体でも同じですし、インフラの老朽化も同じような状況にあります。

ですので、首都圏であっても、今後自治体が力をかけるエリアとかけないエリアにはっきりと分かれる可能性があります。そして当然力をかけないエリアの不動産を購入すると、将来の資産価値を大きく損ねる可能性もあります。

自治体が、どのエリアに力をかけて、どのエリアにかけないかは、現時点でははっきりとわかりません。ですが、ある程度は予想することはできます。

例えば既に自治体の大きな施設などがある場所は、エリア外になる可能性は低いでしょう。県庁や市役所などはもちろん該当します。

また既に人口が多いエリアもエリア外になる可能性は低いと思われます。エリア選定の際の反対者の数がとても多くなるからです。

このようなことを考えながら、将来の資産価値についても考えながら、不動産を選ばなければなりません。

ふくろう不動産では不動産購入希望者の方にアドバイスしながら物件をご案内します

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この営業スタイルについては「第1章.米国式エージェントサービスは片手取引の仲介です」のページもご参照ください。

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