危険な擁壁を見極めるために基礎知識を得ておきましょう
マイホーム探しをしていると、首都圏では高低差のある土地に出会うことが少なくありません。「眺望が良い」「日当たりが良い」といったメリットがある反面、そうした土地には必ずと言っていいほど「擁壁(ようへき)」が存在します。
しかし、この擁壁には「将来的に大きなリスクを抱えるもの」があることをご存知でしょうか?今回は、後悔しない住宅購入のために、AIも指摘する「危険な擁壁」のポイントと、そのリスクについて解説します。
なぜ「擁壁」の知識が必要なのか?
不動産業者の中には、リスクがある擁壁でも「何十年もこれで大丈夫だったから、これからも大丈夫ですよ」と根拠のない言葉で押し切ろうとするケースがあります。
しかし、「今まで大丈夫だった」ことは「これからも大丈夫」という保証にはなりません。
1. 国土交通省も警告する「危険な擁壁」の代表例
まずは、見た目で判断しやすい典型的なNGパターンを4つご紹介します。
① 空積み(からづみ)擁壁
石やブロックを積んだだけで、コンクリートやモルタルで固めていないものです。地震や大雨で崩れるリスクが非常に高く、基本的には避けるべき物件です。
② 増し積み(ましづみ)擁壁
既存の擁壁の上に、さらにブロックなどを積んで高さを継ぎ足したものです。下の擁壁は、上の重さを想定して設計されていないため、強度が不足し、極めて危険な状態であることが多いです。
③ 二段擁壁(にだんようへき)
擁壁が階段状に2段になっているもの。適切な開発許可や建築確認を得ていない「違法」なケースが多く、強度が担保されていないことが珍しくありません。
④ 張り出し床版付き擁壁(オーバーハング)
敷地を広くするために、擁壁の上部がせり出しているタイプです。支えが不十分であったり、鉄骨の経年劣化が進んでいたりする場合、崩落のリスクが非常に高くなります。
2. 「検査済証」があっても油断できない?劣化サイン
法的に認められた擁壁であっても、時間の経過とともに劣化します。以下のサインがある場合は要注意です。
- 0.5mm以上のクラック(ひび割れ): 構造に影響が出ている可能性があります。
- 膨らみ・はらみ: 擁壁が土圧に耐えきれず、外側に押し出されている状態です。
- 傾き: 垂直であるべき壁が道路側に倒れかかっている場合、倒壊の前兆かもしれません。
- 水抜き穴の異常: 穴がない、あるいは詰まっている場合、裏側に水が溜まり過度な圧力がかかっています。
3. 「資産価値」としての擁壁リスク
擁壁の問題は、命の危険だけではありません。経済的リスクも非常に大きいです。
建て替え時の高額費用
不適格と判断されると、新築時に擁壁のやり直しを命じられることがあります。費用は数百万円〜一千万円単位にのぼることもあります。
隣地の擁壁が問題になるケース
隣の擁壁に崩落の危険があると、自分の土地に建築許可が下りないことがあります。他人の所有物なので勝手に直すこともできず、八方塞がりになる恐れがあります。
まとめ:自分の目で確かめ、専門家に相談を
- 現地で目視確認: クラックや膨らみ、変な継ぎ足しがないか見る。
- 書類の確認: 「検査済証」があるか、役所で履歴を調べる。
- 境界の確認: その擁壁は自分のものか、隣人のものか。
- 専門家の意見: 少しでも不安があれば、インスペクションを依頼する。
長く安心して住める家選びのために、ぜひ足元の「擁壁」にも注目してみてください。

