新しい民法では瑕疵担保という言葉は無くなるようです
昨日は全日本不動産協会主催の研修会に参加しました。今回は重要事項説明書と売買契約書の特定文例のポイントという内容の研修です。
重説や契約は何度も行っており、自分では知っているつもりなのですが、法律が変わったり、契約書や重要事項のひな形の説明表現が変わることもあるため、定期的にこのような講習を受けるようにしています。
このページでは自分の備忘録を兼ね、この日に教わった内容のポイントを説明したいと思います。
宅建業者の違反は47条違反が1番多いようです
不動産取引ではお客様に対して、契約を行う判断基準となるような情報を説明しなければなりません。その重要事項というのは、宅地建物取引業法である程度内容が決められています。
条文で言いますと、宅地建物取引業法の35条と47条が該当します。このうち35条については、説明すべき内容が決まっているため、その内容さえ間違えなければ特に問題にはなりません。
しかし47条については、内容がはっきりしない部分が多いため、注意や調査が足りないと、この規定に違反してしまいます。この規定に違反しますと、一定期間業務停止処分を受けたり、問題が大きい場合には免許取り消し処分を受けたりします。そして、こういった処分を受ける原因は、この47条違反が1番数が多いようです。
47条の規定とは、お客様に情報を知らせるか知らせないか、という内容のものなのですが、ちょっとはっきりしないような内容や、詳しく調査しないと分からないことなどがあり、宅建業者でも失敗しやすい部分です。
具体的には、土地の地中に埋設物が埋まっていたりですとか、近隣に新たに迷惑施設ができるといった、普通の調査では分からない部分で問題を起こしやすいようです。
もちろん宅建業者でも分からない項目はたくさんあるのですが、どこまで注意していれば気が付いたかの判断が難しいため、失敗することが多いようです。私も調査で抜けが無いように注意しなければと改めて思いました。
文化財保護法のチェックも抜け落ちやすそうな項目です
我々不動産業者は、特定行政庁である市役所や法務局などには頻繁に出入りしているため、そちらでのチェックは割としっかりしているつもりですが、違う窓口の内容についてはチェックから抜けることがあります。
文化財保護法の規定の、埋蔵文化財包蔵地域の物件の取引については、市役所等ではなく、教育委員会などが担当していることが多いため、チェック漏れとなる可能性が高いようです。こちらも注意したいと思います。
重要事項説明書は売主側の会社も買主側の会社も連帯責任となります
売買の際に使われる重要事項説明書ですが、この内容については、売主側の不動産会社も買主側の不動産会社も責任を負わなければなりません。
当社は買主側に付くことが多い不動産会社ですが、売主側の不動産会社が教えてくれない情報で問題があった場合には、こちら側にも責任が発生します。教えてもらっていないので知らなかった、では通用しないことが多いのです。
売主側の不動産会社の報告とは別に、どこまで調査を入れなければならないかと考えなければならないと思わされます。
民法の規定との差が大きいのが紛らわしいです
不動産取引の際に思うのは、民法の規定と宅建業の規定の差が大きいことです。そのため、民法ではこのようになっているけれども、お互いに合意した契約を結べば、そちらの方が優先、という理屈で宅建業法上のルールが色々と出来ています。ですので、民法に詳しい方がいれば、宅建業法の内容がおかしいと感じることがたくさんあるかもしれません。
ただ、その民法も何十年ぶりかの大きな改正がこの数年で行われます。恐らく法案が国会を通るのが2015年内、実際に施行されるのが2018年位ではないかと思います(確定ではありません)。
新しい民法では、そのあたりのギャップは少なくなるそうですが、実際のところはまだ分かりません。
その新しい民法では、瑕疵担保という言葉がなくなるようです。不動産業界では耳慣れた言葉ですが、一般の方には分かりにくいという意見があったのかもしれません。ただ代わりに使われる言葉が「契約不適合」という言葉だという話があり、かえって分かりにくくなるのではないかと恐れています。
とにかく法律は分かりにくいことが多いものですから、法律の改正もなるべく簡単になってほしいものだと思いますが、実際にどうなるかはまだよく分かっていません。
当社でも法律を完全に理解している訳ではありませんが、一般のお客様に対しては、なるべく分かりやすく解説できるようにしたいと思っています。
今回は簡単ですが、研修会の報告でした。