床下換気口の作り方と使われ方を見るだけでも建物の保存状況が判断できます

昔の戸建て住宅には普通にあった換気口は、最近あまり見なくなってきました。これはネコ土台と呼ばれるもの(基礎パッキンと言う方が一般的かもしれません)で、基礎と土台の間にゴムを挟むことで隙間を空け、その隙間から換気をするようになったため、今では換気口を作らない方が主流となっています。

換気のイメージ

床下の換気は大変重要なのですが、意外とそれが理解されていません。

ですが、昔の住宅、中古住宅を購入する場合には、まだまだ換気口がある戸建て住宅はたくさんあります。ですが、その換気口の作り方、使われ方に問題がある建物がたくさんあります。この換気口の作り方や使われ方がダメな建物は、まあまあの確率で建物自体が良くないようです。

ベタ基礎だから基礎パッキンとなっている訳ではありません

この換気口のダメな例の話の前に、換気口を作らない基礎パッキン工法について誤解があるようですので、まずはその誤解を解いておきたいと思います。他のサイトやNAVERまとめで、ベタ基礎は基礎パッキン工法を、布基礎は換気口を使うと書かれています。

ですが、基礎パッキンを使うか換気口を作るかは考え方によるもので、基礎がベタ基礎であるか布基礎であるかは関係ありません。基礎パッキンが普及した時期とベタ基礎が流行りだした時期がほぼ同じですので、この2つは確かに重なることは多いだけで、べた基礎であれば必ず基礎パッキンにしなければならないものではありません。

床下換気口

この建物はベタ基礎ですが、基礎パッキンではなく床下換気口を付けています。

実際に私の家はベタ基礎ですが、基礎パッキン工法を使わず床下換気口を作っています。逆のパターンもあり、布基礎であっても、基礎パッキンを使うケースもあります。

基礎についても換気方法についても、どちらにもメリットデメリットがありますが、現在はべた基礎と基礎パッキンの組み合わせが主流です。ですが必ずこの組み合わせでなければならない訳ではありません。

換気口の作り方で問題がある建物は精度が悪い建物である確率がそれなりにあります

換気口が地面の高さ

よく見かける悪い例は、換気口が地面の高さと同じか低いケースです。

悪い換気口の典型的な例は、換気部分が地面と同じ高さだったり、地面より低かったりするケースです。上の写真の例も、地面と換気口がほぼ同じ高さになっています。これですと雨の日には基礎の中に雨が流れ込むことになります。虫なども入りやすいでしょう。

さらに換気口の高さが低い建物は、ほとんどが基礎自体の高さが低い建物です。今の建築基準法では基礎の高さは30cm以上なければならないことになっていますが、上記の写真では16cm程度しかありません。本当は高さ30cmでも不安があり、フラット35の基準では40cm以上なければならないことになっています。

建築基準法の基礎の高さは、土台が雨などの水で腐朽したり、シロアリにやられないようにという事で考えられた設定です。ですが、基礎が低く、かつ換気口から雨が入りやすくなっている建物は、その分土台が悪くなっている可能性が高くなります

私は中古戸建て住宅の売買を行っていますが、このような建物ですとあまり積極的にはお客様にお勧めしにくくなります。

設計上は良くても、使用上で問題となることもあります

また、当初の設計ではきちんと床下換気口を付けていたとしても、使い方に問題があり、その機能を果たさないケースもあります。

換気口を塞ぐ

換気口を黒いゴム製のもので塞いでいます。

例えば上記の写真では、換気口をゴムでふさいでいます。なぜこのようなことをしたのか、理由は分かりませんが、床下換気という機能は全く機能しません。寒いから換気口をふさぐ人が一定数いるようですが、これが原因で建物の寿命は短くなる可能性もあります。

床下換気を行う建物は、床面で断熱を行っているはずです。家の中が寒い場合は、この断熱材が入っていないか、外れている可能性があります。ですので寒い場合には断熱状況を調べるべきで、換気口自体を閉じるべきではありません

換気口の前に室外機

換気口の前にエアコンの室外機が置かれている例も多くあります。

また、換気口をエアコンの室外機でふさいでいる例も、割と多くあります。こちらも本来できるはずの換気を室外機がさえぎってしまいますので、十分な換気機能を果たしません。エアコンなどを取り付ける方は住宅のプロではないため、換気口の意味も知らず、平気でこのような設置をします。

これは住む人が、室外機設置の際に気を付けて指示をしないといけません。

南面リビング下

植栽が換気口を塞いでいる例もあります。

また、植栽好きの方の家で多いのが、鉢植えなどが換気口をふさいでいるケースです。鉢植えなどですので、完全にふさぐ訳ではありませんが、それでも換気量は大きく落ちます。

さらに問題なのは、植栽好きの方は家の周りにとにかく鉢植えを置くケースが多く、1か所だけではなく、複数個所の換気口をふさいでいることが結構あることです。

このような場合、換気量が足りないことはもちろん、日陰部分が多くなり、換気口からシロアリなども入りやすくなります。また実際にシロアリが入っていたとしても、蟻道が見えないために気が付くのも遅くなります。建物にとっては良いことではありません。

そして、床下換気口に対し、このような使い方をされている方は、建物に対して詳しくない方です。そのせいか、きちんとしたメンテナンスも行われず、結果として年数がそれほど経過していない建物であっても、老朽化が進んでいることもあります。

言うまでもなく、家は高額のものです。その高額のものを、ちょっとしたこと、知らないという事で寿命を縮めるようなことは、極力避けてほしいものだと思います。

このページの内容の一部を動画でも解説しました

このページで説明しました内容の一部を動画でも解説しています。その動画がこちらです。

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ふくろう不動産は購入予定の建物の床下も無料でチェックしています

このページで紹介した換気口は、一般の方でもチェックできる部分です。中古の戸建て住宅を探している方は、ぜひこのようなチェック項目も増やしてもらえればと思います。

実際に基礎や土台に問題があるかどうかは、床下をもう少し詳しく見てみないと分かりません。ですが一般の方が床下に潜り、詳しくチェックするのは難しいでしょう。

そこでふくろう不動産では、床下探査ロボットを入れて、お客様が購入予定の建物の床下を無料でチェックすることにしています。

床下探査ロボット

ロボットといっても、リモコンで動くローテクの機械です。撮影はスマホで遠隔操作します。

このロボットで撮影を行い、他の要素と絡めて、建物に問題がないかどうかを確認するようにしています。外見は良くても、床下を見るとお勧めできない、という建物は割と多くあります。ふくろう不動産では、お客様が問題のある建物を購入しないように、このような設備を使い、厳しくチェックできる体制を取っています。

また基礎のひびの入り方については「住宅の基礎のひび・クラックは幅とどの方向にひびが入っているかを確認しましょう」のページで説明していますので、こちらのページもご覧ください。

また、当社を通して不動産を購入するのではなく、検査だけ受けたいという方は「6-03.戸建住宅のインスペクションの費用と内容について」の記事をご確認ください。その場合、どのような報告書が作られるかについては「6-04.戸建住宅のインスペクション内容を報告書からご確認ください」の記事を参考にしてください。

詳しくは当社:ふくろう不動産までお問い合わせください。ご連絡は「お問い合わせフォーム」のご利用が便利です。ご連絡されたからと言って、当社からしつこい営業を行うこともありませんので、ご安心ください。

ふくろう不動産がどのような会社なのかについては「ふくろう不動産とは」のページをご確認ください。

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