新築住宅で補助や優遇政策があるものをまとめてみました

建物を建てたり、不動産を購入したりする際には、様々な優遇処置があります。補助金が出るものもあれば、税金や保険料が安くなるもの等、本当に種類がたくさんあります。

これらの補助等は、新築住宅と中古住宅の両方にあるのですが、まずは新築住宅の補助関連について簡単にまとめてみました。内容は簡単な紹介程度ですので、詳しくは建設会社や不動産会社の担当者にご確認ください。

中古住宅に関連する補助等については、また別のページで説明したいと思います。

消費税がかかる建物を購入した場合には住まい給付金が受けられる可能性があります

補助金の最も代表的なものは、この「住まい給付金」だと思います。この制度は消費税が上がった時の緩和策として作られたものですので、消費税がかかる建物を購入した際には使える可能性が出てきます。具体的には新築の住宅のほとんどが該当します。中古であっても売主が不動産会社の場合には、該当するときもあります。

補助金

収入制限はあるものの、現金を受け取れる可能性があります。

これは不動産を買う方の収入によって給付金額が異なるのですが、10万円から30万円の幅で給付金を受け取る事が出来ます。

ただこの給付金は、収入が高い方が受け取る事が出来ません。あくまでも目安ですが、収入が510万円を超える方の場合には、給付金を受ける事が難しくなります。実際には色々な条件によって異なりますので、各自で確認してもらう事になります。

詳しくは「住まい給付金」のサイトをご確認ください。自分がこの給付金を受けられるかどうかについてはこのサイト内にある「住まい給付金しっかりシミュレーション」のページで確認が出来ます。

住宅性能表示制度では地震保険の割引などが使えます

直接補助金が出る訳ではありませんが、住宅性能表示制度で高い等級の認定を受ける事で、経済的なメリットをいくつか受ける事ができます。

代表的なものは耐震等級に応じて地震保険が安くなることです。耐震等級3の建物であれば、地震保険は半額という設定にしている保険会社もたくさんあります。耐震等級2であれば30%引きが一般的です。

地震

耐震等級によっては、地震保険料が安くなります。

地震保険は木造住宅で5年契約で加入しますと、15万円とか20万円位かかるケースは普通にあります。これが半額になると、当然その分初期費用を減らすことができます。

他にも住宅ローン関連で得できるケースも増えます。フラット35Sの利用が可能になるとか、融資の際の手数料を安く設定している金融機関もあります。

本来は経済的なメリットよりも、建物性能が期待できるとか紛争処理機関が利用しやすい等のメリットが中心なのですが、経済的にそれなりにメリットが出ます。

住宅性能表示は申請するのに費用がかかるのですが、地震保険に加入される予定の方は、こういったメリットと照らし合わせて申請すべきかどうかを判断されるのが良いと思います。

詳しい内容については「(一社)住宅性能評価・表示協会」のサイトをご確認ください。

長期優良住宅では税金関連が安くなります

長期優良住宅は、上記の住宅性能表示と内容が重なる部分があります。例えば耐震等級であれば2と同等であるとか、省エネルギー性であれば等級4と同等である等です。

こちらも本来は建物性能が期待できるという点がメリットですが、経済的なメリットもいくつかあります。こちらもフラット35Sの金利を適用することが出来ますし、住宅ローン減税の限度額も通常の建物より高く設定できます。

優良住宅

場合によっては申請費用以上の経済的なメリットを受けられる事もあります。

他にも登録免許税の税率が下がるとか、不動産取得税の控除額が増えるとか、固定資産税の減税措置の期間が長くなるなどのメリットが出てきます。

こちらも申請費用との兼ね合いという点はありますが、申請費用分は回収できるケースも多いので、ぜひ皆さんで計算してみてください。詳しい内容についてはこちらも「(一社)住宅性能評価・表示協会」のサイトで確認できます。また当社のサイトでも「不動産の用語解説007~長期優良住宅とは何ですか」のページでテキストや動画を使って説明しています。

認定低炭素住宅も長期優良住宅と似た特典があります

低炭素住宅は、上記の住宅性能表示の省エネ部分だけに特化した内容だと考えれば、大きな違いは出ません。もう少し違いを言えば、太陽光発電やコージェネ等、エネルギーを作り出す機能がある住宅については、その分を使用エネルギーから差し引くという計算で認定が取れるようになっています。

省エネ

省エネに特化した内容です。

極論を言えば、断熱などの性能が対象低くても(最低限度はありますが)、発電などのエネルギーを出せる部分が強ければ認定が取れるというシステムです。つまりトータルでの1次エネルギーが小さければ認定が取れるという考えです。

1次エネルギーについては使い方は少し難しいのですが、「国立研究開発法人 建築研究所」で計算できるプログラムを無料で使う事も出来ますので、興味がある方はこのシステムを使ってみるのも良いと思います。

低炭素住宅は、ランニングコストが安く済むとか環境に良さそうという点が本来のメリットですが、こちらも経済的なメリットが少しあります。住宅ローン減税の控除額が少し増えるですとかフラット35Sが使えるといった内容です。ただ減税等の内容は、一般の住宅よりは良いのですが、長期優良住宅の減税内容から比べますと、少し劣る内訳になっています。

低炭素住宅の認定が取れますと、省エネ設備の設置に使われる部分の面積が容積率の計算から外されるというメリットがありますし、長期優良住宅のような面積制限もありませんので、都会の狭小住宅で省エネ性能が高い建物が欲しいという場合には重宝しそうな感じがあります。逆に言えば、それ以外のケースであれば、長期優良住宅の認定を取る方が、トータルで考えて良さそうな気はします。

この低炭素住宅についても「(一社)住宅性能評価・表示協会」のサイトで詳しく解説されています。

ここまでの話を動画でも説明してみました

ここまでお話ししました内容の一部を動画で解説しています。その動画がこちらです。

よろしければ動画もご覧ください。

他にも省エネ関連の住宅の建設には補助制度があります

他にも国などが、建物の省エネ化を目指して、様々な補助制度を作っています。これらの補助制度は、建物を建てた人に直接補助が出るものではなく、建設会社や申請したグループ等が支給を受けるタイプのものです。ですので一般の不動産購入者にはあまり関係が無い話かもしれません。

ただ、こういった事業に取り組んでいるかどうかや、登録をしているかどうかは、その建設会社、ビルダーさんが新しい技術に対する意識が高いかどうかの判断材料の1つにはなります。ですので一応はこのような補助等があるという事を知っておいて損は無いと思います。

サステナブル建築物等先導事業

国土交通省主導の制度で、2018年度では102億円前後の予算が付くと言われています。国土交通省が先進的な技術であると認めた部分の工事費の半額が支給されるようです。

この制度は戸建て住宅やマンションも対象となっているのですが、特殊な物件でなければまず見る事ができません。「BELS(ビルエネルギーマネージメントシステム)」や「CEMS(コミュニティエネルギーマネジメントシステム)」等よく分からないシステムの導入など、あまり一般的なものはありません。実験的な試みの事業で、実際に不動産を購入する人には、現時点ではあまり関係が無い制度であると考えても良さそうです。

詳しくは国土交通省の「サステナブル建築物等先導事業」のページをご確認ください。過去にどのような事例があったのかについては「建築研究所」のサイトで確認することができます。

地域型住宅グリーン化事業

これも国土交通省主導の制度で、2018年度では115億円の予算が付く予定になっています。これは建設会社単体で申請するものでは無く、建設会社や設計事務所と、木材や建材の流通業者等が集まってグループを作り、そのグループで申請を行い、内容が認められれば補助金が出るという仕組みのようです。

このグループが前述しました「長期優良住宅」や「認定低炭素住宅」「性能向上計画認定住宅」等を建てた場合には1住戸当たり110万円の補助金がでるようです。また「ゼロ・エネルギー住宅」の場合には補助金は1住戸当たり140万円になるようです。

これらの補助金はこのグループに支給されるようで、購入者であるお客様に直接支払われるものではありませんが、それが巡り巡って建設費の安さにつながるのであれば、悪いものでは無いと思います。

詳しくは「地域型住宅グリーン化事業(評価)」のサイトをご確認ください。

ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)支援事業

この支援事業は国土交通省だけでなく、経済産業省、環境省も連携して補助金を出しているようです。戸建住宅であれば1住戸当たり115万円の補助金が出るようです。

ただZEH(日常的にはゼッチと呼んでいるようです)関連は他の制度でも似たようなものがあり、私には正直よく分かりません。前述の「地域型住宅グリーン化事業」の中にもゼロ・エネルギー住宅関連の補助金がありますし、後述の低炭素化促進事業の中にもZEHに関する項目があります。

省庁も3つ絡んでおり、どのサイトの何を見れば良いのか、よく分からなくなっています。申請自体はBELS(省エネ性能を5段階で表示する認定制度)の手続きで3つの省庁の全てに対応しているとの事ですが、こんなに複雑な制度を利用する方は本当に大変だと思います。

当社は仲介会社ですから、こういった申請をする事はありませんし、これ以上詳しい内容を調べるつもりも無いのですが、もう少し簡素化した制度を作れないものかと心配になります。

このZEHについては、認定を受けたビルダーが建物を建てる事になるようなので、詳しくはそのビルダーさんに聞くのが早いでしょう。皆さんが家を建てようとしている建設会社が、この認定を受けているビルダーかどうかについては「(一社)環境共創イニシアチブ」のサイトで確認できるようです。

ZEH化による住宅における低炭素化促進事業

これは環境省が主導で進めている制度のようです。ただ経済産業省と国土交通省も一応は絡んでいるようです。2018年度の予算では85億円とか62億円とか言われています(資料によって数字が異なります)。

補助金は新築の場合は1住戸あたり70万円とか90万円とか蓄電池1kWh当たり3万円とか、タイプによって様々な補助金があるようです。ここまで細かな話になりますと、一般の購入者の方まで話がある事は恐らく無く、建設事業者と補助金を出す法人とのやり取りが中心になるでしょう。

詳しく知りたい方は環境省の資料を見て頂くことになりますが、一般の方がこれを確認することは無いでしょうし、その必要も無いとは思います。

燃料電池の利用拡大に向けたエネファーム等導入支援事業費補助金

こちらは経済産業省が主導で進めている制度のようです。一般の方のためと言うよりは、エネファーム普及のために設けられた制度のように感じます。2018年度の内容についてはまだ決まっていないようですが、恐らく継続されるのではないでしょうか。補助金は1住戸当たり11万円とか16万円と、燃料電池のタイプによって金額が異なるようです。

詳しく知りたい方は「(一社)燃料電池普及促進協会」のサイトをご確認ください。

ただ私個人の意見としては、エネファームの導入はあまり積極的には賛成できません。まだ低周波音被害の問題が解決していないからです。エネファームの低周波音被害については様々な意見があるのですが、消費者安全調査委員会では2017年の12月に、エネファームの運転音と健康被害との関連性については否定できないとの見解を出しています(出典:事故等原因調査報告書)。

低周波音過敏症になる可能性はそれ程高いものでは無いのかもしれませんが、この問題が解決する前に、敢えて選ぶ必要は無いと私は考えています。低周波音被害については「NPO法人STOP!低周波音被害」のサイトに詳しい情報が載っていますので、こちらのサイトを参考にするのも良いと思います。

補助制度は多すぎてよく分からないのが難点です

新築住宅に関する補助制度には、ここまで挙げたようなものがあります。実際にはこれに加えて地方自治体等の補助金もありますので、すべての補助金等について把握するのは簡単ではありません。

また制度が多い事や、その制度の仕組みが複雑であるために、建設会社や不動産会社がこういった特典を良く知らないという事もあります。恐らく私が把握していない制度もまだまだたくさんあるでしょう。

一般の方がすべての補助制度を把握するのは難しいとは思いますが、補助内容の存在を知っておけば、その後詳しく調べるのは難しい事ではありません。まずはどのような制度があるのかをざっくりと知っておくことが重要だと思います。

このページでお話ししました内容は、正直なところ私も詳しい訳ではありません。細かな部分では間違いがある可能性もありますので、実際にこういった補助制度を使う際には、何度も確認した上で、使うかどうかを決めてもらえますよう、お願いいたします。

この記事についてのご意見やご質問等がありましたら「お問い合わせフォーム」をご利用の上、ご連絡ください。

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