中古住宅の購入を検討されている方にとって、建物の「耐震性」は最も気になるポイントの一つです。耐震基準というと、1981年の「新耐震基準」が有名ですが、実はもう一つ、中古の木造住宅を選ぶ際に決定的に重要になる基準があります。それが、2000年基準です。
今回は、この2000年基準が具体的に何を変え、あなたの住まい選びにどう役立つのかを解説します。
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中古住宅の購入を検討されている方にとって、建物の「耐震性」は最も気になるポイントの一つです。耐震基準というと、1981年の「新耐震基準」が有名ですが、実はもう一つ、中古の木造住宅を選ぶ際に決定的に重要になる基準があります。それが、2000年基準です。
今回は、この2000年基準が具体的に何を変え、あなたの住まい選びにどう役立つのかを解説します。
建築基準法は頻繁に改正されますが、建物の構造的な強さに大きく関わる改正は歴史的に見て2つあります。
つまり、1981年以降の建物は全て「新耐震」ですが、その中でも2000年基準以降の木造軸組住宅は、より細かく、より確実な方法で建てられている、という違いがあります。
特に木造の軸組工法(柱と梁で構造を作る工法)に関しては、この2000年基準による影響が非常に大きいとされています。
家を建てる前の地盤調査が必須となりました。地盤の安全性を確認し、必要に応じて地盤改良を行った上で家を建てるというルールが定められ、建物を支える足元からの安全性が担保されることになります。
注意点:中古住宅の場合、この地盤調査書が残っているケースは極めて少ないのが現実です。建物状況調査(ホームインスペクション)で傾きがないかなどを確認することが現実的な次善策となります。
柱の上下(柱頭・柱脚)、柱と梁の結合部など、構造上重要な接合部について、必要な強度を確保するための指定の金物を使用することがルール化されました。
2000年以前はルールが曖昧でしたが、金物による補強を明確にすることで、新耐震基準で定めた強さを実現しやすくなりました。
構造壁の「量」だけでなく、「バランス」に関する規定が導入されました。建物を東西南北の4面に分けて壁のバランスをチェックする「四分割法」などが導入され、家全体で均等な強さを保つためのルールができました。
これにより、南面に窓が多すぎるなど、構造的にバランスの悪い建物が存在するリスクが軽減されます。
この2000年基準の有効性は、2016年の熊本地震の被害データによって裏付けられています。
国土交通省の調査報告スライドによると、建物が倒壊・大破した比率を基準別に比較した際、2000年基準以降の建物は、それ以前の建物に比べて明らかに被害の割合が低かったという結果が出ています。
特に、全壊した2000年基準以降の建物のうち、一部は「接合部分がルール通りに施工されていなかった(施工ミス)」ことが原因と判明しました。逆に言えば、正しくルール通りに施工されていれば、倒壊のリスクは大幅に抑えられるということが実証されたと言えます。
現在(2025年)から見れば、2000年以降に建てられた住宅は築25年以内です。
築20年を超えた木造住宅は、建物価格の下落が緩やかになり、極端な価格差が出にくい傾向にあります。
もし、1990年代後半の建物(2000年基準以前)と、2000年代前半の建物(2000年基準以降)との比較なのであれば、構造的に強い裏付けのある2000年基準以降の物件を選ぶ方が、安心度が高い割には価格差が少ないので、ある種ねらい目とも言えるでしょう。
今回の2000年基準の改正は、木造の軸組工法に大きな影響を与えました。