不動産選びに迷った際に人に相談するのは効果がありますが、結論を相手方に求めてはいけません
不動産を新たに購入されようとしている方の中に、何をどうして良いか全く分からない、と言われる方もいらっしゃいます。また、気になる物件を見つけたのだけれども、本当にその物件を購入して良いのかどうか、大変迷うという話もよく聞きます。
私個人の考えとしては、迷ったり不安に思うのはむしろ健全で、その不安を取り除くために、様々な調査や確認を行う訳ですから、実は良い事であるという認識を持っています(「不動産購入前の不安を取り除くにはどうするのが良いでしょうか?」でも似た話をしています)。
そうはいっても、不安のまま取引を進める訳にはいきませんし、自分で調べただけでは不安が完全に解消されるとは限りません。その時に有効な対策は、他人と相談するという方法です。
この対策は大変効果が高いのですが、一方で注意点もいくつかあります。この記事では、他人に相談する際の注意点等について、少しお話したいと思います。
不動産購入の相談者は反対する人の率が高いと感じています
余談になりますが、不動産会社の人は購入者が家族や知人と相談することをあまり快く思わない方が多いようです。理由は簡単で、相談を受ける人の半数以上は、不動産の購入に対して否定的な意見を持っていると感じているからです。
正確な統計がある訳ではありませんので、相談を受ける人の実際に何割が不動産購入に対して反対意見を持っているのか正確には分かりません。ただ私も経験上、半数とは言わないまでも一定以上の方が反対意見を持っているように感じています。ですので、不動産会社の人が、お客様が他の方と相談するのを嫌がるというのは、感情としては理解できます。
では、相談をしない方が良いのかと聞かれれば、そんなことは無く、なるべく多くの人と相談する方が良いと私は思っています。様々な角度からの意見を聞くことで、不動産に関する知識が広くなり、より深いレベルで判断が出来るようになると考えているからです。
一般的に不動産に関わる関係者は、購入に対するメリットはたくさん話をしますが、デメリットについては詳しい話をしません。ですので反対者の意見も聞き、参考にすべき意見は参考にすべきですし、また当初気が付かなかったデメリットに気が付くこともありますので、それらの意見をまとめて、総合的に判断が出来るようになる方が望ましいと思います。
相談を受ける人の話の根拠を十分以上に確認しましょう
一方で、相談者の意見をそのまま聞く方が良いかと言えば、そうとも限りません。と、言いますのも相談を受ける人自身が不動産に詳しいとは限らないからです。
相談を受ける方の知識が偏っていたり、そもそも間違っているという事も普通にあります。実のところ、不動産に関する知識は専門家でも間違っていることがよくあります。その点を考えますと、専門家でもない一般の方が知っている知識に誤りがあるのは仕方が無い事だと思います。
ですので話を聞く際には、その話の根拠はどうなのか、その意見は本当に正しいのかを別のところで確認する必要があります。
当社でもお客様からのご質問で、知人からこのような話を聞いたのですが、という話から質問される事も多いのですが、その中には明らかに間違っている話もそれなりの率で混じっています。アドバイスをする人に悪意は無いのでしょうが、いったいそのような間違った話をどこで仕入れてきているのやら、とあきれる事もあります。
おそらくアドバイスの半分以上は、テレビで見たとか誰かから聞いたというレベルの話だったりします。それらの意見がすべて間違っているとは限りませんが、いい加減な話も多いので、話は聞くとしても、正しいかどうかは改めてチェックしなければなりません。
この場合でたちが悪い、という言い方は何ですが、アドバイスをする方が中途半端な専門家である場合には、実はより注意が必要です。専門家である、という事でその人の意見が間違いなく正しい、と勘違いしてしまう事もありがちだからです。
しかし、専門家でも間違った意見を持っていることが良くありますし、それが少し自分の専門ジャンルから外れている場合には、それらの知識が素人以下の事もあります。しかし、知識が無いにも関わらず、専門家であるという事と、自信をもって語られる事も多いので、つい信じてしまいそうになります。
ですが、ベテランの建築家であっても、電磁波について全く違う事を教える事もありますし、洗練されているように見えるファイナンシャルプランナーでも、住宅ローンの比較ができない人もいます(どちらも経験談です)。
話だけではなく、根拠となるサイトを同時に示してくれたり、データを見せてくれたりする人であれば、信頼性は高いと思いますが、そうでない話だけの場合には、別の場所での確認が必要です。
相談はその結果よりも過程の方が重要だと感じています
誰かに相談する、という事は大変重要だと私は考えています。ですが、その重要性は、相談者が答えを与えてくれるからではありません。返される答えではなく、相談することで問題点は何なのか、疑問点が何なのかが自分の中ではっきり見えてくるという点の方が重要です。
そもそも人に相談するためには相談ポイントがある程度絞られなければ相談のしようがありません。極論を言えば、相談先が全くの素人の方であっても、その方に話すだけでも一定の効果はあります。その人に話すために、自分で考えを整理するからです。
そして分からない事が何なのかが分かれば、調べる方法はいくらでもあります。1番問題になるのは、何が問題なのかが本人に分からない場合です。その場合は問題自体が分からない訳ですから、解決策や保全策が全くないまま、話が進んでいく事になります。そして、将来大きな問題が起きた際に、初めて問題があったと分かる事になります。
ちなみに当社には不動産に関する質問メールが良く来るのですが、何を聞きたいのかよく分からないというメールも数多くあります。私もできる範囲で、相手の意図を予想してお答えしていますが、恐らくこの返答は相手方の役に立っていないだろうなと感じます。
的確な質問でなければ的確な答えは返せません。そして的確な質問をするためには、自分の頭で様々な事を考えて、問題点を絞り出す必要があります。逆に言えば、的確な質問ができるようになった時点で、その問題の半分以上は解決しています。繰り返しになりますが、この過程が大変重要だったりします。
今回は抽象的な話が中心となったため、このような話をしてもあまりピンとこない方の方が多いかもしれません。ただ、不動産を購入するときには本当に色々な事を考えなければなりません。考える内容、項目が多すぎるが故に、混乱することもたくさん出てきます。
そのような状態になった時に、人と相談する、という方法は本当に有効ですので、ぜひ試してみてください。
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