首都圏の不動産は「バブル」に突入したのか? 2025年12月時点での考察
今回のテーマは、現在(2025年12月時点)の首都圏の不動産価格、特にマンション価格が「バブル的状況」にあるのかどうか、という点について考察します。
年初(2025年1月〜2月頃)に同様のテーマで議論した際は、「過去のバブルのパターンとは違い、全体的にはバブルとは言えないのではないか」という見解でした。しかし、約1年が経過した今、状況は少し変わってきているように感じます。
特に、東京23区内のマンションに限って言えば、「部分的にもうバブル的な状況に入ったかもしれない」という見方もできる状況になってきています。
📊 全体感:首都圏全体と23区内の違い
首都圏全体で見ると、不動産価格は上昇しているものの、バブルと断言できるほどの異常な上がり方ではない、というのが当社の見解です。
しかし、東京23区内の特に中心部のマンション価格の上がり方は、非常に特異です。
- 神奈川、埼玉、千葉、東京(23区外)のマンション: 建築資材の高騰、人件費の上昇、円安などの要因を考慮すると、「理解できる範囲の上昇」と言えます。
- 東京23区(特に中心部)のマンション: その上がり方は「普通ではない」「異常」と感じており、筆者の理解が追いつかないレベルの上昇が起きています。
📈 データで見る23区マンション価格の異変
新築マンション価格の中央値の推移を見ると、この異常さが明確になります。
| エリア | 2021年上半期(中央値) | 2025年上半期(中央値) |
|---|---|---|
| 東京23区 | 約6,700万円 | 約1億1,000万円近い |
| 他エリア | 緩やかな上昇傾向 | |
特に2022年の上半期から2023年頃にかけて、23区の価格は急激に伸びており、この急騰のタイミングが、急激な円安の進行(1ドル150円近くまで上昇)のタイミングとかなりリンクしていることが指摘できます。
💰 23区価格高騰の背景にある「投資マネー」
この23区の異常な価格高騰の最大の要因は、コスト上昇だけではなく、投資家、特に海外の投資家の流入である可能性が高いと考えられます。
円安によって日本の不動産が海外から見て「割安」になったと判断され、投機的な資金が23区のマンションに集中した結果、価格が急騰したと推測されます。
この「実需ではなく、投資・投機的な考え方による価格の上昇」という側面に限定すれば、バブル期と非常に似た傾向を示していると言えます。
🛑 「資産性があるから大丈夫」という主張への疑問
「23区のマンションは資産性が高いから、この価格はバブルではなく妥当だ」という意見もありますが、これには疑問が残ります。
- 為替リスク: もし価格上昇の主因が「円安による割安感」であれば、今後、円高(例:1ドル120円)に振れた場合、海外投資家にとっては割安感がなくなり、手放す動きが出る可能性があります。
- 国際情勢リスク: 政治や外国の状況変化など、予期せぬきっかけで不動産を手放す動きが出る可能性も否定できません。
- 「世界的に見て安い」は本当か?: 1ドル160円のレートで見れば安いかもしれませんが、120円や140円といったレートで見た場合、本当に割安と言えるのかは簡単には結論付けられません。
🔑 結局、買うべきなのか?:最後の判断は「自己責任」
資産性、あるいは資産価値の維持とは、「買った時と売る時の価格差」で決まります。
確かに5年、10年前に購入した方は、今売れば「得」になります。しかし、今、この高値圏で買って、10年後に「得」ができるかどうかは誰にも断言できません。ひょっとしたら、今はバブルの頂点近くで、この後に下落するかもしれません。
高額な買い物である不動産購入は、自分の財産に関する重要な判断です。評論家やマスコミの様々な意見に惑わされず、最終的には様々な情報を聞いた上で、「今、23区内のマンションを買うのが良いのかどうか」を自己責任で判断することが求められます。


