住まい・家電・家具の購入は「生活パターンの見直し」とセットで考えるべき

今回のテーマは「住まいや家電、家具を買う時は生活パターンの見直しとセットで考えるといいですよ」という話です。 これは筆者の個人的な見解や雑談レベルの話ではありますが、長年不動産取引に関わる中で多くの購入者を見てきた経験から、この視点を持つことが、単なるモノの購入を超え、選択肢を広げ、より豊かで効率的な生活を送る上で非常に重要だと強く感じています。

広さと価格のトレードオフ:住まいとミニマリズム

不動産の価格は、駅からの近さや生活利便性、建物の築年数や性能、そして広さという、主に3つの要素で決まることがほとんどです。 この中で、もし「広さ」の概念をある程度見直すことができれば、つまり「狭い家でも十分暮らせる、あるいはもっとコンパクトな空間でも大丈夫」と柔軟に受け入れることができれば、住まいの選択肢は劇的に広がります。

多くの方が「最低限このくらいの広さが必要」とおっしゃいますが、その理由を掘り下げていくと、結局のところ「荷物が多くて、その荷物を置く場所が欲しい」という結論に行き着くことが少なくありません。 例えば、季節ごとの衣類、趣味の道具、大量の本や食器、思い出の品々など、それらの全てが本当に日常的に必要不可欠なものでしょうか? そして、それらの荷物のために、より広い家を選び、結果として多額の住宅ローンを背負うことの必要性を、どこまで深く検討しているでしょうか?

ミニマリストとまではいかなくとも、自身の持ち物を厳選し、量を減らすことで、よりコンパクトな住まいでも十分に生活できるようになります。 これは、購入費用を抑えられるだけでなく、光熱費や固定資産税などのランニングコストの削減にも繋がります。 さらに、荷物が少ないことで、掃除やメンテナンスの手間が減り、空間全体がすっきりと保たれ、精神的なゆとりも生まれます。 たとえ広い家に住んだとしても、荷物が少ないことでその広さを十分に味わうことができ、空間本来の快適さや開放感を享受できるようになるのです。

経験談から見る「荷物が多い家」の傾向

余談になりますが、住宅ローンが返済できなくなり、債権者との合意のもとで売却される「任意売却物件」を数多く見てきた経験があります。 そういった物件の大半は、「荷物がものすごく多い」「ゴミ屋敷の一歩手前」といった状態であることが非常に多いです。 これは、単に物が散らかっているというだけでなく、持ち物管理ができていない、優先順位がつけられない、あるいは衝動買いが多いといった生活習慣の乱れと、結果的な家計の破綻が繋がっているケースも散見されます。 この経験から、「荷物は少ない方が良い」という価値観を強く持つようになりました。

また、任意売却物件で特徴的に見かけるアイテムとして、ウォーターサーバーとその水のストック、電子ピアノ、そして「人をダメにするクッション」のような大型クッションが挙げられます。 もちろん、これらを日常的にフル活用し、生活の質を向上させているのであれば問題ありません。 しかし、多くの場合、一度は使われたものの、すぐに利用頻度が低下し、ただ大きなスペースを占める「置物」と化していることがあります。 これらの品々は、購入時には便利なもの、生活を豊かにするものと期待されたにもかかわらず、実際には空間を圧迫し、管理の手間を増やすだけの存在になってしまっているのです。 もしそうでないなら、これらのものが無駄にスペースを占める可能性も高く、もっとミニマリスト的な生活を目指すことで、物理的なゆとりだけでなく、精神的なゆとりや金銭的なメリットにも繋がるように感じます。 ご自身の購入品について、「本当に必要だったか」「活用できているか」を一度立ち止まって考えてみることも重要です。

家電・家具が生活パターンを変える?具体的な事例

住まいの広さだけでなく、家電や家具の選び方も、日々の生活パターンに大きな影響を与えます。筆者の個人的な例をいくつかご紹介しましょう。

  • ドラム式洗濯機と衣類の選択
    ドラム式洗濯乾燥機を導入し、乾燥機能を日常的に使うようになると、もう縦型洗濯機には戻れないと感じるほど便利です。 洗濯物を干す手間がなくなり、夜に洗濯を回して朝には乾いているというサイクルは、日中の時間を有効活用する上で非常に大きなメリットとなります。 しかし、これは単にドラム式を選ぶだけでなく、「乾燥機能を使う前提」で、すぐに乾く素材の服を選ぶなど、衣類の選択にも影響を与えます。 例えば、化繊の作業着などは乾燥機との相性が良く、綿素材の衣類でも乾燥機対応のものを選ぶようになります。 服が趣味で素材やデザインにこだわりたい方には受け入れられないかもしれませんが、そうでない方にとっては、ドラム式を最大限に活用し、洗濯にかかる労力と時間を劇的に減らすための有効な選択肢となります。 浮いた時間は、趣味や家族との時間、自己啓発などに充てることができ、生活全体の質向上に繋がるのです。
  • ロボット掃除機と家具の配置
    ロボット掃除機は、床に物が置いてあると使いにくいというデメリットがあります。 しかし、これをフル活用するために、筆者の家庭では家具の配置や選び方を工夫しています。 例えば、リビングの椅子はテーブルに引っ掛けて床から完全に浮かせることで、ロボット掃除機がその下を滞りなく掃除できるようにしています。 また、収納家具も脚付きのものを選び、ロボット掃除機が下をくぐれるようにするなど、掃除しやすいレイアウトを意識しています。 「機械に生活をコントロールされている」という意見もあるかもしれませんが、これはむしろ、日々の掃除という手間を機械に任せることで、人間がより快適に過ごすための「最適化」と考えることができます。 帰宅した時に床がきれいになっているという感覚は、想像以上に心地よく、日々のストレスを軽減してくれます。
  • 食洗機と食器・カトラリーの選択
    食洗機は非常に便利ですが、食器の種類やタイプが大きいと食洗機に入れにくく、食洗機が使えない食器は結局手洗いすることになります。 これを考えると、「食器はそんなに数はいらないのではないか」「一人ひとり違う食器ではなく、家族全員が食洗機対応の同じ食器を使えば、片付けが格段に楽になるのではないか」という発想になります。 筆者の家庭では、最近は食器はもちろん、箸もグラスファイバー製の同じタイプのものに統一し、共有するようになりました。 これにより、食洗機にまとめて入れるだけで済み、洗う手間だけでなく、乾かす手間や収納の手間も大幅に削減されました。 食洗機を活用することで、手荒れの心配が減ったり、食後の家族団欒の時間を長く取れたりといった副次的なメリットも生まれます。 これは、単に家事の時短というだけでなく、家族間の家事分担における摩擦を減らし、よりスムーズな生活を実現することにも繋がります。

「機械中心」に見えても、時間のゆとりが生まれる

「自分中心ではなく、機械が中心で人間がそれに合わせているのではないか」というツッコミがあるかもしれませんが、確かにその通りな部分もあります。 しかし、ある程度そのようなパターンに慣れてしまえば、なんだかんだ言って時間が浮き、その浮いた時間を自分のために使えるようになります。これは決して悪いことではありません。

少し話はそれますが、仕事でも、自分の都合に合わせて機械やAIを使うというよりも、最近はパソコンやAIに合わせて自分の仕事の組み方を考えるという、ある意味「本末転倒」のような状況になっています。 しかし、それはそれで効率が良いことも事実です。 例えば、定型業務をAIに任せたり、特定のソフトウェアの機能を最大限に引き出すために作業フローを調整したりすることは、現代のビジネスシーンではごく当たり前のことです。 これは、家庭生活においても同様で、家電や家具の特性を理解し、それに合わせて生活の一部を最適化することで、日々の雑事から解放され、より価値のある活動に時間を費やすことができるのです。

このような生活スタイルは、誰もがすぐに受け入れられるものではないかもしれませんし、全ての人に合うわけでもありません。 しかし、「意外と便利で、意外とメリットが多い」ということを知っていただきたいと思います。 特に、住宅や家具、家電といった金額の高いものの購入は、一度手に入れると簡単に変更できないものです。 だからこそ、購入前に「自分の生活パターンを見直す」という視点から、じっくりと検討してみる価値は大いにあるのではないでしょうか。

Follow me!

不動産購入のご相談はふくろう不動産まで

CTAの画像
まずはメールにてご相談ください。