照明をすべてLEDに代えようという政策に不安を感じます

先日の新聞で、現在ある照明をすべてLED照明にするような政策を進めているという記事を読みました(「蛍光灯、実質製造禁止へ 20年度めど、LEDに置換(出典:朝日新聞デジタル)(この記事は現在削除されています)」。この記事を読んで思うところがありましたので、備忘録的にまとめてみました。

(追加注:後日この報道は間違いである旨、一般社団法人日本照明工業会より説明がありました。その説明のサイトはこちらです http://www.jlma.or.jp/information/20151202keikouhoudou.pdf)。

現時点の発光効率は蛍光灯とLEDでは大きな差が無いはずです

蛍光灯

蛍光灯は発光効率はLEDと大差はないはずです。

朝日新聞の記事によりますと、LED照明は白熱灯よりもエネルギー効率が良いのはもちろん、蛍光灯と比べても消費電力が3割低いと書かれています。ただ私が知っている範囲では、今のところ蛍光灯とLED照明では発光効率はほとんど変わらないはずです。むしろ器具によっては蛍光灯の方が効率が良かったと思います。

発光効率のWikiを見ても、同じような内容が書かれていました(発光効率についてのウィキペディアの説明参照)。発光効率はlm/W (ルーメン毎ワット)で表しますが、
蛍光灯 40~110lm/W
LED  20~100lm/W(タイプによって数値は異なります)
という範囲に入っています。

数値を見る限り、蛍光灯の方が良いくらいです。ただLEDは年々効率が良くなってきているので、近いうちに蛍光灯よりもエネルギー効率が良くなるという考えがあるでしょうから、2020年頃にはLEDの方が大きく効率を上回るという考えなのかもしれません。

ただ、蛍光灯の生産が行われなくなると決まれば、蛍光灯の技術開発も行われなくなるでしょう。LEDの方が理論的に高いエネルギー効率を出せるのかもしれませんが、この理論的、という話は往々にして間違っていたりします。そしてこの政策がきっかけで、蛍光灯の技術開発が止まってしまうのも怖い気がします。どの技術がどう発展するかは誰にも分かりません。政策が技術の方向性を完全に決めてしまうのは、リスキーではないかと思います。

それ以上に、もしLED照明に何らかの問題が見つかり、もう1度蛍光灯や白熱灯に戻そうと思っても、もう戻せなくなってしまうかもしれません。そして、LED照明が全く人に問題がないのかどうかは、今の段階でははっきりと分からないと思っています。

化学物質過敏症の方でLED照明を気持ち悪く感じる方もいます

LED照明は今のところ、人の健康に大きな影響を与えないとされています。しかし化学物質過敏症の方で、LED照明の光を浴びていると気持ち悪くなるという方もいます。その方は蛍光灯の光も気持ち悪く感じるとのことで、今は少なくなった白熱球を探すのに苦労されているそうです。

LED電球はエコなイメージ

エコのイメージが強いLEDですが、エコであることと人の体に良いかどうかは別の話のはずです。

また、LEDから出ているブルーライトはいくらか人の体に悪影響があるのではないかと言われています。悪影響には2種類あり、眼精疲労やドライアイといった直接光を浴びる目が悪くなるというもの、もう1つはメラトニンなどに影響を与え、不眠などを引き起こす可能性があるというものです。

LED照明は世の中に出てきてからそれほど長い時間が経っている訳ではありません。しかしそれでもこのような健康被害について可能性が指摘されています。これが短期間ではなく、10年や20年というスパンでどのような影響を与えるのかは、誰にも分かりません。

特に今後新しく出てくるLEDには少し不安を感じます。先ほどエネルギー効率の話をしましたが、効率を良くするためには余計なものを省くというやり方があります。人の目はすべての周波数の光を同じように感じる訳ではありません。特定の周波数の光は明るく感じるため、その周波数のみの光を出し、他の周波数の光は出さないようにする製品も増えてくるでしょう。

発光効率が良いと言われている疑似白色LEDも同じような考え方から作られていると思われます。しかし、色々な周波数の光が混ざっている自然の光と異なり、特定の周波数だけが強い光が、本当に人の健康に問題が無いのかは、正直不安があります。

LEDの3色

人の目が明るさを感じやすい特定の光だけ出すものを長期に浴びて良いものかどうかは少し不安です。

恐らく1年2年で悪い影響が出ることは無いのでしょうが、これも10年20年というスパンで見た時に、どのような影響があるのかは、現時点では誰も分からないでしょう。

これは私が心配し過ぎなのかもしれません。しかし一方でLEDの光がダメという化学物質過敏症の方は確かにいらっしゃいます。これが特別な事例なのか、それとも十分な量のLEDの光を浴びれば一般の人でも変な影響が出てくるのか、私には判断ができません。

分からない以上、現状あるもので分からないながらも使っていくしかないのですが、使用する製品の選択肢はなるべく多くある方が良いのではないかと思っています。

そして、白熱灯や蛍光灯は一応は数十年単位の時を経て、まあ基本的には問題が無いだろうという状況が分かってきています。しかしLEDはある程度の精度で問題の有無が分かるまでは、もう数十年必要でしょう。もし万一ダメという事が分かった場合は、すぐに元に戻せるような体制は整えておきたい気がします。

これはLEDが絶対にダメという話ではありません。私自身も自宅でLEDを使った照明も一部で使っています。しかし、すべての照明を変えようとは思いません。できる範囲で蛍光灯や白熱灯も使っていきたいと思っています。

省エネについては他の面で協力できることがたくさんあります。住宅で使用するエネルギーで照明はそれほど大きな比率を占めている訳ではありません。私は自分のできる範囲で省エネに協力したいと思いますが、その方法については、政策で決めるような話ではないと思っています。

政策には器具を買い替えさせたいというメーカーの要望を感じます

LEDに切り替えるというこの政策は「官民対話」の中で出ている話です。ただこの「民」の部分は一般消費者ではなく、財界の方がメンバーだったりします。個人的には官民対話というよりは官財対話というイメージです。

これは偏見かもしれませんが、この政策はエネルギー削減のためのというよりは、LED器具の販売拡大のための政策ではないかと思えます。白熱球を使う照明器具であれば、白熱球のランプ部分をLEDに交換するだけで済みますが、蛍光灯の場合は、単にランプの取り換えができない照明器具が多いでしょう。そのため蛍光灯のランプ自体が無くなれば、照明器具自体をLEDが使えるものに交換しなければならなくなります。

照明器具の寿命の際に買い替えれば、という趣旨なのかもしれませんが、照明器具はそれほど寿命が短い製品ではありません。私は仕事がら中古住宅を見る機会が多いのですが、蛍光灯を使う照明器具で30年以上前の器具が現役で使われている住宅を日常的に見ます。それで特に不都合があるとも思えません。

蛍光灯を使った照明器具

蛍光灯を使う照明器具の中には、現役の器具もたくさんあります。

結局は新しい照明器具を売りたいというメーカー側の思惑が大きく働いていて、その結果このような政策につながっているのではないかと邪推してしまいます。

照明に限らず、どのような商品を選ぶかは消費者が決めるべきものだと思います。その結果、売れないものが無くなっていくのは仕方がないでしょう。しかし、政策で商品の選択肢を狭め、消費者が買うものを強制的に選ばせるようにするのは、いかがなものかと思います。

ご意見や詳しい情報をご存知の方は教えてください

このページは、LEDについての政策に対して感じたことを書いています。ですので、不動産の売買を考えている人にとって、すぐ役に立つという情報は特にありません。

ですが、快適で健康な住まいを探す上では、遠回りであったとしても、このようなことも考えていくのは大事なことではないかと思っています。

ただこのあたりの話は私も専門ではないため、さほど詳しくありません。また情報の正しさにも少し不安があります。もしこのエネルギーや照明関連で詳しい方がいらっしゃいましたら、アドバイスなどを頂ければと思います。

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