年収300万円でも不動産の購入は可能ですが、注意点はたくさんあります

先日「年収300万円でもマイホームを手に入れらる」というネットの記事を読みました。その内容自体は間違っている訳では無いのですが、一方で問題と思えるやり方も書かれていました。そこで、この記事では年収300万円の方が失敗しがちな不動産購入のパターンについて、考えてみたいと思います。

古すぎるマンションの購入は安全面と経済面の両方でリスクがあります

年収300万円の方でも手に入れられる物件の例として、1,000万円未満の中古マンションが紹介されていました。800万円の住宅ローンを組み、10年返済にすれば月々の支払は7.1万円程度で問題は無いだろう、という主張です。これは間違いではありませんが、この事例では2つほど不安があります。

旧耐震のマンションは安全面で不安があります

マンションの設計

旧耐震基準で作られたマンションは、地震に対して強くありません。

1つは安全面での不安です。紹介されていたマンションは築37年となっていました。という事は、旧耐震の基準で建てられたマンションです。旧耐震の基準とは、昭和56年6月よりも前に建築確認申請が出された建物で、これらの古い建物は昔の基準で作られているため、地震に対して弱いと言われています。

実際に大きな地震があった時に被害が大きいのは、この旧耐震基準で作られた建物が多いことを考えますと、旧耐震基準で作られた建物は、安全面ではあまりお勧めできません。もちろんきちんと耐震補強されているマンションであれば問題は少ないと思われますが、実際に古いマンションで、このような耐震補強を行われているマンションはあまり見当たらないのが現状です。

マンションでは管理費や修繕積立金も考慮した上で支払いを考えましょう

もう1つは経済面での不安です。この経済面の不安は、ランニングコストと、将来の資産価値の2つの点でリスクがあります。

修繕のイメージ

マンションの修繕にかかる費用を軽く考えてはいけません。

ランニングコストですが、具体的には修繕積立金の増加と、一時的な修繕金の出費のリスクが高いという問題があります。中古マンションを購入する際には、管理費や修繕積立金の額をチェックされると思いますが、その額は、ずっと固定している訳ではありません。

特に修繕積立金は将来大きく増加する可能性が高いマンションがたくさんあります。国交省のガイドラインによりますと、修繕積立金の平均は1平米あたり218円です。しかし、実際にはこの額よりも低い金額で修繕積立金を設定しているマンションが数多くあります。

実際に長期修繕計画があり、その計画に沿って積立金が決められているのであれば問題はありませんが、実際には昔の設定のままで、いざ修繕が必要となっても修繕金が足りないというケースが良くあります。その時には1住戸当たり数十万円、あるいは100万円単位の修繕金を請求されることもあります。

ただせさえ年収が多くない方が、いきなり100万円の修繕金を請求された場合、支払は可能でしょうか。もちろん人にもよりますが、こういった臨時の修繕金の出費はかなり痛いのではないかと思います。

臨時の出費

年収が多くない方にとっては特に、臨時の出費は痛いと思います。

また、このような修繕が必要となった後には、月々の積立金の見直しが行われます。見直し後は、平均である平米あたり218円よりも高い設定となることも多いようです。仮に平米当たりの修繕積立金が250円となった場合、60平米のマンションであれば、月々の修繕積立金は15,000円となります。仮に管理費が月に1万円とすると、前述のマンションの例であれば、住宅ローン返済の7.1万に管理費と修繕積立金を加えると、月に96,000円の出費となります。

月に96,000円の出費は年間で115万円強です。年収300万円の方からしますと、この支出は収入の38.4%にあたります。この支払いが問題ないかどうかは、その方の生活パターンにもよりますが、住居関係の支出が38%以上というのは、かなり厳しいのではないかと思います。

3割以上の支出

住居費の割合がこんなに高くて、生活が成り立つでしょうか。

マンションの修繕積立金は、上がることはあっても下がることはめったにありません。こういった費用が近い将来上がるのかどうか、また近い将来に大規模修繕が必要となりそうかどうか等、通常以上にチェックしなければならないと思います。

購入時の価格や安くても、資産価値に問題があると結果的に高い買い物になることもあります

ランニングコスト以外にも気を付けなければならないのが、資産価値についてです。購入したマンションはいつかは手放さなければなりません。これは永住するつもりで購入したとしても同じことです。購入した方自身はずっとそのマンションに住んでいたとしても、将来そのマンションを引き継いだお子さんは、結局はそのマンションをいつかは売らなければなりません。

今の価格と将来の価格

購入時の価格だけでなく、将来の価格と比べて高い安井を判断すべきです。

その際に問題となるのが「マンションは売れなくなる可能性がある」という点です。最悪の場合にはタダでも引き取り手がいないというケースも考えられます。現時点では首都圏の実需向けマンションではまだこのような状況にはなっていませんが、地方のリゾートマンションでは既にタダでも引き取り手がいない、という事態になっています。

そして同じマンションの他の住戸で、相続放棄や破産等で管理費や修繕金が支払えなくなった場合には、残りの住戸はその分も負担しなければならなくなります。

売れずに残っていたとしても、管理費や修繕積立金は月々出ていきます。実際にお金を生まず、使う事も出来ないのにお金だけが出ていく、という本当の負債になる可能性が常にあります。お子さんにいくらかでも資産を残そうと思っていたのが、このような負債となるマンションを持っていたのでは、相続放棄せざるを得ないという可能性も出てきます。

よく、最悪タダになっても元が取れる、という言い方をしますが、古いマンションはタダでは済まされず、ずっと支払いが強要される、つまりタダではなくマイナス資産となる可能性があります。こう考えていきますと、購入時のお金が安いという理由だけでマンションを購入してはいけません。

中古の戸建住宅の購入も安全性確保の予算を忘れてはいけません

戸建住宅の設計

戸建住宅も旧耐震基準の建物は地震に対して強くありません。

「年収300万円でもマイホームを手に入れられる」の記事では、戸建住宅でも1,000万円未満の住宅はたくさんある、と紹介されていました。ただ、そこに出てきた事例も築39年と旧耐震準の建物でした。マンションと同様に、旧耐震基準で作られた建物については、構造上の不安があり、大きな地震の際には生命や財産を失うリスクがあります

また、記事内ではボロ家であってもリフォームすればよい、と書かれていました。水回りや内装をリフォームしても200万円から300万円で済むので、さほど高くない、という主張です。

こちらも内容自体間違っている訳ではありませんが、内装リフォームを行っても構造は強くなりません。安全性をある程度確保しようと考えた場合には、耐震補強工事等が必要になります。この耐震補強工事は内容にもよりますが、150万円とか200万円近く費用がかかります。

戸建のリフォーム

内装や外装のリフォームで構造が強くなる訳ではありません。

そして耐震補強工事も実際には完璧に行えるものではありません。例えば基礎自体に問題がある場合には簡単な工事では補強できる範囲に限りがあります。もちろん際限なく費用をかければ新築とさほど変わらない構造を手に入れることも可能かもしれませんが、それだけ費用をかけなければならないのであれば、当初の安く買えるという前提自体が間違っていたことになります。

中古の戸建て住宅の購入を考える場合には、構造の基本的な部分が問題なく、かつ少ない予算の手入れで安全性や快適性を上げられる物件を選ばなければなりません。どの戸建住宅でも大丈夫という話ではありません。

不動産を買わないという選択肢と常に比較して決めましょう

このような条件をいくつか確認していきますと、結局予算内で条件を満たす物件が無かったという事はよくあります。その場合には無理をして不動産を買う必要はないと思っています。

不動産の購入は、より質の高い生活を送るための一要素でしかありません。もし不動産を購入することで、様々なリスクが発生し、そのリスクを許容しきれないというのであれば、不動産を買わないという選択肢もあります。

考える人

不動産を買わないという選択肢を常に残しながら検討しましょう。

これはその人の収入に関わらず、不動産を買う買わないの判断は、買った時のリスク、買わないときのリスクとの兼ね合いになります。そして残念な事ですが、収入が少ない方の方が、買った時のリスクが大きいことも確かです。購入するときの条件が、収入が高い人よりも限られるからです。

本当に残念な事に、お金があるほうがお金がかからない、あるいは損をしにくいという要素が不動産取引ではあります。ですので、お金が少ない方は、通常以上に色々な事に注意して、不動産を選ばなければなりません。最低でも、収入が少ない方が不動産を買う事は簡単ではない、という事は理解した方が良いと思います。

質の高い中古戸建て住宅の購入が有力と考えます

一方でこの話は、年収300万円の方は家を買うべきではない、という話ではありません。状況によっては、家を買った方が得をするというケースもありますし、生活の質を上げることも可能だからです。

戸建住宅

私見では、中古戸建て住宅の方がリスクが小さいと思っています。

ただ、年収300万円の方が不動産選びで失敗しないためには、いろいろな条件を満たさなければなりません。実際にはこの収入の方がマンションの購入で失敗する率は結構高いと私は考えています。マンションの方が立地の割には価格が安く、安易に購入される方も多いからです。

今後の世の中がどのように動くかによっても、不動産の購入で成功するか失敗するかは変わってきますが、私見では中古の一戸建てを選ぶ方が、失敗する率は低いのではないかと考えています。

ある程度安全性を確保できる住宅で、長い期間保有後には建物を解体して更地で手放せる物件であれば、戸建住宅は首都圏の住宅地であれば、最悪ゼロになることはあっても、それ以下になる可能性が低いと私は考えています。マイナスになる部分は、恐らく最悪でも建物解体費分くらいでしょう。マイナス資産にならないのであれば、一定期間で使い切る計算で、中古の戸建て住宅を購入するという選択肢はあると考えています。

ですので、年収300万円の方で不動産の購入を考えている方は、中古の戸建て住宅を中心に考えるのが良いのではないかと思います。逆に注文住宅を新築で建てるという方法は、年収300万円の方にはあまりお勧めできません。その話は「年収300万円台で注文住宅を頼むのは結構無理があります」の記事で説明していますので、よろしければこちらをご覧ください。

このページの内容の一部を動画でも解説してみました

このページの話を動画でも説明してみました。その動画がこちらです。

よろしければ動画もご覧ください。

質の高い戸建てを選ぶ方法を教え、検査も充実させています

ここから先は、当社:ふくろう不動産の宣伝です。

ここまでお話ししたように、年収が少ない方は中古の戸建て住宅を選ぶ方が良いと私は考えています。もちろん私個人の考えですので、間違っている可能性もあります。最終的には、皆さんご自身の考えで決めてもらえればと思います。

ふくろうのイメージ

問題がない中古住宅を選ぶための体制を整えています。

そして、当社では、問題がない中古の戸建て住宅を選ぶための検査や調査の体制を整えています。具体的には建物のインスペクションを充実させ、安全性や実用性で問題が無い戸建て住宅を選べるようにしています。戸建ての建物について、状態が100%分からないまでも、家の傾きの調査や、サーモグラフィカメラによる雨漏り調査で、大きな問題がありそうな建物を最初の段階で選ばずに済むことができます。

当社:ふくろう不動産がどのような会社であるかについては「ふくろう不動産とは」のページをご確認ください。また、ご質問やご相談などは「お問い合わせフォーム」をご利用の上、ご連絡ください。ご連絡を頂いたからといって、当社からしつこい営業を行う事は一切ありませんので、安心してご連絡頂ければと思います。

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