太陽光パネルを屋根に載せると 「地震に弱くなる」って本当ですか

「電気代も安くなるし、環境にもいい。屋根が空いているなら太陽光パネルを載せようかな」

そう考えている方に、ぜひ一度立ち止まって考えていただきたいのが「建物の耐震性」についてです。実は、太陽光パネルを屋根に載せることは、単なる設備の追加ではなく、構造上「重い屋根」にリフォームするのと等しい負荷を建物に与えます(より正確に言えば、屋根の重さのバランスも悪くなりますので、単に重たい屋根に変更する以上のリスクがあります)。

1. なぜ「屋根の重さ」が地震に重要なのか?

地震が発生した際、建物にはその重量に比例した「慣性力」が働きます。特に、建物の高い位置(屋根)が重ければ重いほど、テコの原理のように振り子の動きが増幅され、土台や柱にかかる負担は劇的に大きくなります。

軽い屋根(スレート等)

全体の重心が低いため、揺れを抑えやすく、必要な構造壁が少なくて済みます。

重い屋根(瓦・パネル付)

重心が上がり、揺れの勢いが強くなります。それを支えるためにより多くの壁が必要です。

2. 数値で見る「壁量不足」のリスク

屋根の重さが変わるだけで、建物に求められる強度には以下のような驚きの差が生じます。

  • 軽い屋根の場合: 構造壁の合計が14.5mあれば基準をクリア。
  • 重い屋根(パネル設置後): 本来は34.5m程度の壁がないと、同等の安全性を確保できない。

もともと軽い屋根の基準(耐震等級1相当)で建てられた家に後からパネルを載せると、計算上は2メートル近くも構造壁が足りなくなる可能性があります。

3. 「重量バランス」の悪化がもたらす「ねじれ」

リスクは重さの「量」だけではありません。さらに深刻なのが「バランス」の問題です。

1

重心の偏り(偏心)

南側だけが重くなることで、建物の「重さの中心」と「強さの中心」がズレてしまいます。

2

南側の構造的弱点

窓が多い南側はもともと壁が少なく、重いパネルを載せることで二重に弱くなります。

3

ねじれ現象

均等に揺れることができず、建物が複雑に「ねじれ」、局所的な破壊を招きます。

4. 失敗しないための解決策とアドバイス

① 許容応力度計算を行う

簡易計算ではなく、太陽光パネルの重量も加味した上で、部材一点一点の負荷を算出する精密な構造計算を行うのが理想的です。(残念な事にこういった計算をしてパネルを掲載する事例はほとんどありません)


② 耐震等級3+重い屋根設定

最初から「重い屋根」(の前提)かつ「耐震等級3」で設計しておけば、後付けでも少しは安心できます。(もちろん設計上は重い屋根で計算して構造壁量を設定しますが、実際には軽い屋根を使う必要があります。後からパネルを載せる事で、実質重い屋根と同等の重さになります)


③ 屋根の形状を工夫する

片流れ屋根にして全体に敷き詰めるなど、偏りを防ぐ設計も有効です。

まとめ

頑丈な住まいがあってこそ、長く安心してエネルギー自給の恩恵を受けられます。目先の収支だけでなく、必ず「耐震性への影響」を優先事項として考えましょう。

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