マンション価格高騰の今、狭小住宅を選ぶのは賢い選択でしょうか

近年、都心部のマンション価格が驚くほど高騰しています。この状況を受け、「似たような立地なら、価格が手頃な狭小住宅もいいのでは?」と考える人が増えているようです。もちろん、どのような不動産を選ぶかは個人の価値観ですが、今回は、マンションの代わりに狭小住宅を検討する際に、必ず知っておきたいデメリットや注意点についてお話ししたいと思います。

狭小住宅の生活上のデメリットとは?

「狭小住宅」という言葉に明確な定義はありませんが、ここでは「土地面積が50平方メートル」程度の住宅をイメージしてください。3階建てや4階建ての物件も多く、延床面積はそれなりにあっても、実際に住んでみると「なんだか狭いな」と感じることが多いのが特徴です。その理由は、面積の数字だけでは見えてこない、さまざまな要素が影響しているからです。

  • ワンフロアが狭い

    土地面積が小さいということは、ワンフロアあたりの面積も必然的に狭くなります。例えば、土地が50平方メートルで建ぺい率が60%だとすると、1階の建築面積は30平方メートル程度となり、マンションの1LDKや2DKほどの広さしかありません。そのため、同じ延床面積でも、ワンフロアが広いマンションに比べると、各部屋のつながりが分断され、思ったよりも空間にゆとりがないと感じてしまうのです。

  • 非効率な動線と安全性の問題

    マンションと違い、階段や廊下などのスペースが効率的に使えないことも多いです。特に3階建ての物件では、リビングが2階、寝室が3階という間取りも多く、生活動線が垂直に長くなりがちです。日常的に階段を上り下りする回数が増えるため、買い物から帰ってきて重い荷物を運ぶ時や、年を取って足腰が弱くなった時に不便さを感じる可能性があります。また、狭小住宅の階段は幅が狭かったり、傾斜が急だったりすることが多く、リビングに直結している間取りでは、小さなお子さんや高齢者にとって転落の危険性が高まることも考慮しなければなりません。

  • 採光・通風の悪さ

    住宅が密集した地域に建つことが多い狭小住宅では、窓を開けても隣家の壁がすぐそこにある、というケースも少なくありません。そのため、視線が抜ける開放感がなく、閉塞感を感じやすいのがデメリットです。また、隣家が近いことで風の通り道が限られ、十分な採光や通風が得られにくいという問題も生じます。日中も照明が必要になったり、湿気がこもりやすくなったりと、快適な住環境を維持するのが難しい場合もあります。

資産価値の観点から考える

資産価値は個別の物件によって大きく異なりますが、一般的に狭小住宅はマンションに比べて資産価値が落ちやすい傾向にあります。これは、需要と供給のバランス、そして建物の特性に起因します。

  • 建物比率が高いため、結果として不動産の価値が下がりやすい

    戸建住宅は、土地の価格は変わりにくい一方で、建物の価格は築年数とともに下がっていきます。狭小住宅は、限られた土地に建てられるため、特殊な設計や部材、工法を用いることが多く、新築時の建物価格が高くなりがちです。つまり、物件価格に占める「価値が下がりやすい建物部分」の割合が大きくなるため、結果的に売却時の下落幅が大きくなる可能性があるのです。

  • 需要が少ない

    狭小住宅は、使い勝手や快適性という点でマンションに劣る場合が多く、それが理由で検討する人が少なくなります。需要が減るということは、いざ売ろうとした時に買い手が見つかりにくく、値段がつきにくいケースも出てきます。マンションは多くの人に共通するニーズを満たすことで、流動性が高く、比較的スムーズに売買できることが多いですが、狭小住宅は買い手が限られる傾向にあります。

  • 立地条件の不利

    「マンションと似た立地」と言っても、厳密には全く同じではありません。マンションが駅前の一等地に建つことが多いのに対し、狭小住宅は駅から少し離れたり、車道が狭く車の出し入れがしにくい場所にあることも珍しくありません。このような立地条件の不利は、日々の生活の利便性に影響するだけでなく、資産価値の維持という点でも不利な要素となります。

最終的には「納得して選ぶ」ことが大切

狭小住宅の中には、建物性能が非常に高く、快適な暮らしを送れる素晴らしい物件ももちろん存在します。例えば、耐震等級3を取得した物件や、高断熱仕様で建てられた物件も増えています。しかし、「マンションより少し安いから」という安易な理由だけで選んでしまうと、後から「こんなはずじゃなかった」と後悔することになりかねません。

狭小住宅を検討する際は、数字上の面積だけでなく、実際に内見して圧迫感がないか、生活動線に無理がないかなどをしっかり確認することが大切です。そして、資産価値や建物の性能、そしてご自身のライフスタイルに合っているかどうかをじっくりと検討してください。

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