結婚後の賃貸選びが、将来の「家探し」を左右するのでしょうか?
結婚を機に新しい賃貸物件を探す際、何を基準に選びますか?通勤の利便性、家賃、間取りなど、考えることはたくさんありますよね。
しかし、もし将来的に「いつか不動産を買いたい」と考えているなら、その賃貸選びは、単なる「今の住まい」以上の意味を持ちます。実は、最初の賃貸選びがその後の不動産購入に大きな影響を与えることがあるのです。今回は、その理由と、後悔しないための賃貸選びのポイントをお話しします。
なぜ賃貸選びが家探しに影響するのか?
一番大きな理由は、人間関係や生活基盤が、一度住んだエリアに定着するからです。
特に、お子さんがいる家庭や、これからお子さんを授かる予定の家庭では、この傾向が顕著になります。賃貸物件のエリアで子育てが始まると、以下のような理由から、別のエリアに引っ越すのが難しくなります。
- 学区や学校: 小学校などに通っている場合、お子さんを転校させたくないと考える親御さんは少なくありません。
- 習い事や友人関係: 慣れ親しんだ環境や、大切な友人関係をリセットさせたくないと考えるお子さんや親御さんの気持ちは当然です。
- 「ママ友」との協力関係: 子育ては一人ではできません。地域に根ざした親同士の協力関係を、わざわざ一から作り直すのは大きな負担になります。
このような理由から、「できれば今と同じエリアで家を買いたい」と考える方が非常に多いのです。
「同じエリア」で買おうとすると、なぜ費用が高くなるのか?
「今まで住んでいた賃貸と同じエリアなら、買えるんじゃないの?」と疑問に思う方もいるでしょう。しかし、賃貸と購入とでは、同じエリアでも費用が大きく変わる要素がいくつかあります。賃貸時代には気にならなかった小さな違いが、いざ購入となると大きな壁となることがあるのです。
- 家族構成の変化と住宅の面積:結婚当初は夫婦二人暮らしで1LDKや2DKといった手狭な賃貸でも問題なかったかもしれません。しかし、お子さんが一人、二人と増えれば、当然、それぞれのプライベート空間や収納スペースを確保するために、より広い間取りが必要になります。利便性の良い同じエリアで、部屋数を増やした広い物件を探すとなると、その分、土地や建物の価格は跳ね上がります。これは単純に面積が増えるだけでなく、同じエリア内の「広い物件」の供給数が限られているために、希少価値が生まれ、価格競争が起きやすくなるからです。
- 利便性+子育て環境のコスト:通勤や買い物の利便性だけを重視して賃貸を選んだ場合、駅に近かったり、商業施設が充実していたりするエリアに住んでいることが多いでしょう。しかし、購入時にはそれに加えて「子育てに適した環境」、例えば公園が近くにある、通学路が安全、病院や習い事の施設が充実している、といった要素も求めがちです。今まであった「利便性」という条件に、「子育て環境」という新しい条件が追加されることになります。良い条件が重なれば重なるほど、そのエリアの物件価格は高くなります。これは、複数の需要が重なることで、そのエリアの不動産価値そのものが高くなるためです。
- 建物のグレードと品質の違い:賃貸物件は、あくまで「貸す」ことを前提に建てられているため、コストを抑えた内装や設備が使われているケースが少なくありません。一方で、購入する物件は、長期的な居住を前提に、構造的に強固であったり、断熱性や防音性が高かったり、内装材に高品質なものが使われたりすることが多いです。これらの品質向上は、当然ながら物件価格に反映されます。
- 会社の住宅補助制度の差異:賃貸では会社から家賃補助が出ていたため、実際の家賃負担が軽かった、という方も多いでしょう。しかし、物件を購入し、住宅ローンを組んだ場合、そのローンの返済に対しては補助が出ない会社も少なくありません。その結果、賃貸の時に補助分で賄えていたはずのお金が、購入後にはすべて自己負担となり、月々のローン返済額が賃貸時代の家賃を大幅に上回ってしまう、というケースが現実的に発生します。
これらの要因が複雑に絡み合い、結果的に「同じような環境」を求めたとしても、購入に際しての住居費が賃貸時代の家賃を大幅に上回ってしまう、ということが現実的に起こるのです。
後悔しないための賃貸選びのヒント
もちろん、将来のことまで完璧に考えて賃貸を選ぶ必要はありません。しかし、少し意識するだけで、その後の選択肢は大きく広がります。
賃貸物件を探す際は、「もしこのエリアで家を買うとしたら、自分たちの経済力で買えるだろうか?」という視点を少し持ってみましょう。
今は賃貸で良い環境に住んでいたとしても、将来その環境で家を買うことができなければ、結局はエリアを変えたり、子育て環境を妥協したりする必要が出てくるかもしれません。
人生のトータルで考えて損をしないためにも、最初の賃貸選びの段階で、少しだけ将来を見据えた選択をしてみることをおすすめします。