相続税対策で「不動産」を買うのはなぜ効果的なのでしょうか?

「相続税対策として不動産を購入すると良い」という話を耳にすることがあるかと思います。現金で持っているよりも税金が安くなる、その仕組みは一体どうなっているのでしょうか?

今回は、その基本的なカラクリと、誰も教えてくれない**大きな注意点(落とし穴)**について、ざっくりと解説します。

なぜ不動産は相続税対策になるのか?

不動産購入が相続税対策として効果がある理由は、一言で言えば「**評価額が時価よりも低くなる**」からです。

1. 評価額が時価より低い

  • 土地: 相続税の評価には「路線価」が用いられ、これは時価の**6〜7割程度**になることが多く、財産総額を圧縮できます。
  • 建物: 建物の評価額は「固定資産税評価額」が基準となり、一般的に建築費の**5〜7割程度**になることが多いです。

2. 借入金はマイナス資産として控除できる

不動産購入のための**ローン(借入れ)**の残債は、そのまま**マイナスの財産(債務控除)**として相続財産から差し引くことができます。これにより、課税対象額をさらに減らす効果があります。

最大の節税効果を生む「小規模宅地の特例」

小規模宅地の特例(居住用宅地)

特に大きな節税効果をもたらすのが、**居住用の不動産(自宅)**に適用される特例です。

一定の要件を満たす自宅の敷地であれば、土地の評価額を**最大80%**も減額することができます。

例:時価1億2,000万円の土地が、特例適用で評価額2,400万円になることもあります。

【ざっくり計算例】相続税の比較

仮に**相続財産2億円**(配偶者と子ども2人が相続)という前提で考えた場合、不動産購入によってどれほど税額が変わるかを見てみましょう。(※あくまで概算であり、正確な税額とは異なります。)

財産の内訳 対策なし(全額現金) 対策あり(8割を自宅不動産に)
相続財産 2億円(現金) 2億円(現金4,000万円+不動産1億6,000万円)
課税される額(子2人分) 約1億5,200万円から控除後 約2,880万円から控除後
子ども1人あたりの相続税額 約675万円 約77.5万円
合計節税額 約1,200万円以上

誰も教えてくれない「最大の落とし穴」

相続税が安くなるのは事実ですが、これには**非常に重要な落とし穴**があります。

🚨 最終的に手元に残る現金が減ったら意味がない

相続税対策で不動産を購入したとしても、**その不動産が将来値下がりしてしまうと、最終的に損をしてしまう**可能性があります。

相続税で1,200万円の節税に成功したとしても、もし購入した1億6,000万円の不動産が、売却時に1億4,000万円に値下がりしていたら、実質的な損失は2,000万円です。結果として、**対策しなかった場合よりも手元に残るお金が少なくなる**という事態は珍しくありません。

重要なのは、相続税を減らすことではなく、「最終的に家族の手に、いくら多くの資産を残せるか」という視点です。

まとめと次のステップ

不動産を活用した相続税対策は、評価額圧縮による大きな節税効果がありますが、「**不動産そのものの資産価値が維持できるか**」という視点が欠かせません。

また、今回は一時相続の話だけでしたが、配偶者の方が亡くなった後の**二次相続**も考慮に入れた、長期的な資産設計が必須となります。

もし不動産を使った相続税対策を本格的に検討される場合は、物件の値下がりリスクや、二次相続の計算も含めて、税理士などの専門家に相談し、詳細なシミュレーションを行うことを強くお勧めします。

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