マンション管理と修繕の本を読みました

ふくろう不動産では仕事柄、不動産やマンション関連の雑誌や書籍を定期的にチェックしています。今回はマンション管理と修繕についての本を読みましたので、その紹介と思ったことをお話ししたいと思います。

ビジネス誌は定期的に不動産関連のムックを出しています

今回読んだ本は「マンション管理&修繕完全ガイド(ダイヤモンド社)」です。

マンション管理&修繕完全ガイド

今回ご紹介するのはこの本です。
出典:ダイヤモンド社

この本はダイヤモンド社のムックという形式の本です。ダイヤモンド社に限らず、ビジネス系の雑誌を出している会社は3か月に1度くらいのペースでマンションなど不動産関連の特集ムックを出しています。他の会社では東洋経済とか日経ビジネスなどでしょうか。

どの本もよくまとまっている事が多く、参考になることも多いので、興味がある方は1度手に取ってチェックされるのが良いと思います。

赤字マンション問題があらためて取り上げられています

赤字のイメージ

赤字のマンション管理組合が増えているという記事が最初にあります。

不動産業界にいる立場から見れば、今さら、という問題ですが、赤字マンションが増えているという記事が最初にあります。修繕積立金が足りないことが大規模修繕の計画時に初めて発覚する、という話です。

このサイトでも「2-05-05.修繕積立金からマンションの経済性を考えましょう」のページで、大半のマンションでは修繕積立金が足りなくなるだろうと指摘しています。

これは分譲時から分かっている問題のはずなのですが、その問題が目の前に来ないと発覚しないといういつものパターンが続いているようです。

本来であれば、マンション分譲時に修繕積立基金をもっと多くして、修繕積立金も分譲当初から均等割りで設定した金額を徴収していれば、大規模修繕時に赤字になるというリスクを小さくできます。

そういった点で見れば、分譲時になるべく売りやすくするために積立基金を低く設定し、修繕積立金も後から支払金額が高くなる段階方式を設定しているディベロッパーの罪は大きいはずなのですが、この本の中では責任問題には触れず、さらっと流しています。

この本はムックと呼ばれる形式の本で、雑誌の派生版のような位置付けです。そのため広告が入っており、出版社の利益はこの広告に大きく頼っています。そのため、広告を出稿していると思われるディベロッパーの悪い点は書きにくいため、問題点は簡単に流して書かれているものと思われます。

広告が出ているおかげで、本自体は安い金額で購入できますので、文句を言う筋合いではありませんが、予め広告主にとって不利な情報は入っていない、と思って読み込むのがコツになります。

大規模修繕工事のポイントのページは参考になります

手すりのイメージ

手すりも最初から塗装が必要ない素材にしてもらえれば問題ないはずなのですが…

この本の実用性の高い部分は、長期修繕計画の話や、大規模修繕工事のポイントのページです。どのような部分が費用が掛かるのかを予め知ることで、マンションを選ぶ際にも、このタイプのマンションは将来お金がかかりやすいかどうか、良いマンションなのかどうかを多少なりとも判断できます。

例えば手すりについては、人の手が触れる部分なので、定期的に塗装してもさびやすく、アルミやステンレス製の手すりに交換することも考えたい、と書かれています。であれば、なぜマンションを作った会社は最初からアルミやステンレス製の手すりとしなかったのだろうと思いませんか。ちょっとしたことですが、こういった内容を知ることでマンションのレベル判定にも役に立ちます。

また、機械式駐車場は多くの管理組合にとってお荷物になりつつある、と書かれています。これはこのサイトでも「2-05-07.マンションの敷地内駐車場に問題が潜んでいることがあります」のページで指摘しています。

この話は業界の人は以前から知っていたとしても、あまり公にされることがありませんでした。この問題もようやく一般化しつつあると思わされました。

マンション管理の質は住人の意識が重要という結論です

やる気のイメージ

住人の意識が重要という結論はどの本も変わりません。

マンション管理の本は、ほとんどの本がこの結論に落ち着きます。私もマンション管理の質を高めるには、住人の意識向上しかない、と思っています。

赤字マンション問題も早い段階から将来修繕金が不足すると分かっていれば、積立金を増やすか、管理内容を見直して管理費を減らし、その分積立金に充てるなどの対処ができます。それが問題が目の前に来るまで放置していると、大きな問題となり収集が付かなくなります。

また、分譲からそれほど時期が経っていなければ、住人もまだ若い方が多く、収入も十分あることが多いため、対処がしやすいという利点があります。これが築数十年後であると、住んでいる方が高齢化し、年金生活の方も増えます。そのような方々に多額の追加修繕費を要求しても、反対されるケースが多いのは当然です。

問題が起きないようにするには、築年数が短いうちに、意識の高い住人の手で、早めに対処していくという方法に尽きると思います。

全頁のうち37%は広告となっている本です

宣伝のイメージ

全体の3分の1以上は企業の宣伝ページです。

ちなみにこの本は表紙と裏表紙を入れて116pの本ですが、そのうち43pは広告または広告関連ページです。全体の37%が広告関連です。

そのことでこの本の価値が落ちるものではありませんが、最初からそういう本だと理解しておかないと購入してから後悔するかもしれません。

広告は記事広告と呼ばれる形式で、一見記事のようになっているのですが、どのページも読みにくいのが難点です。段組みも不思議な組み方ですし、写真の入れ方も分かりにくい入れ方だと感じます。

また、もう少し管理会社の特徴が分かるような内容印なっていると、読者も広告主もトクをすると思うのですが、どうなのでしょうか。この点のみ、少し残念な作りになっています。

総合的に見れば、参考になる良い本だと思います

お勧め本のイメージ

値段を考えれば、悪い本ではありません。

悪い話も書きましたが、この価格でマンション管理や修繕についてまとまっている良い本だと思います。新築や中古を問わず、マンションを購入される方は、必ずマンション管理や修繕の問題に対面します。購入希望者はおおまかにでも管理内容などについて把握しておくべきです。

そういった点で、この本は管理や修繕とはどういったもので、どんな問題があるのかがざっくりと分かる良い本だと思います。良かったら読んでみてください。

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