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日経ビジネスオンラインに「Why! なぜ日本人は住宅ローンに大金を払う?ドイツから見えた日本の家の異常さ」という記事が載っていました。「日経ビジネスの2016年2月22日号」でも「家の寿命は20年」という記事を特集として組んでいるようです。

戸建住宅の建物部分が築20年でほとんどゼロという評価を受けるのは確かですが、これが国の制度の問題や家を建てるハウスメーカー、工務店の問題であるようなニュアンスで語られるのには少し違和感を感じます。

この中古住宅の資産価値について、私自身の考えをお話ししたいと思います。

日本で中古住宅が普及しないのは買い手が求めていないからです

中古住宅のイメージ

築20年を超えた戸建て住宅は、価格がほぼゼロになります。

現状では確かに築20年以上の住宅に価格はほとんど付きません。ですが、その理由が
・日本の不動産取引の慣習
・20年で償却してしまうという税制度
・新築ばかりに特典を付ける国の制度
・スクラップ&ビルドで儲けているハウスメーカーや工務店の誘導
と言った切り口で語られている話を聞くと、少し違うのではないかと感じます。

もちろんこのような要素も影響を与えてはいるでしょう。しかし中古住宅に価格が付かない1番の原因は購入者が新築物件を求めているから、ではないかと思います。

戸建て住宅を買いたいというお客様は当然物件をいくつも見ますが、建物がきれいな物件とそうでない物件とではお客様の反応は大きく違います。もちろんきれいな方が好印象なのは言うまでもありません。

そして新築と中古の両方を見るお客様は、それなりの確率で新築物件の方に流れていきます。1度新築のきれいな物件を見てしまうと、少し汚れが目立つ中古物件に対しては、とても見る目が厳しくなります。そして新築のきれいさが気に入ってしまいますと、中古住宅に感覚を戻すのは簡単ではありません。その結果、多少あるいは大きく金額が上がってしまうことになっても、新築住宅を検討する、というケースはよくあります。

そして、このようなきれいな物件を求める人が主流だからこそ、中古住宅はあまり売れず、新築住宅が中心となってしまう訳です。

戸建の中古住宅に価格が付かないのはむしろメリットだと考えています

お得のイメージ

中古住宅に価値が付かないのは、買う方から見ればメリットです。

アメリカやヨーロッパの不動産取引では、新築物件よりも中古物件の方が多くなっています。そして日本の中古住宅に価格が付かないのは問題である、とも言われます。日本の経済全体で見ると問題なのかもしれませんが、私個人はこのことが大きな問題であるとは思っていません。

このような話をしますと怒られるかもしれませんが、中古の戸建て住宅に価格が付かないのは、むしろメリットではないかと私は考えています。もちろん戸建て住宅を売りたい人から見れば、資産価値が大きく下がってしまう事に憤りを感じるでしょう。ですが、これは最近の傾向ではなく、数十年前から同じ傾向だったはずです。

新築物件を購入する人は、最初から20年近くで建物価値がなくなるという事を分かった上で購入していたはずです。知らなかったという事であれば、残念ながら勉強不足だったと言うしかありません。

では、この中古住宅に価格が付かない点はどのような点がメリットなのでしょうか。これは中古住宅を購入しようとする人は、安く住まいを手に入れることができるからです。

確かに築20年の住宅にほとんど価格は付きません。ですが資産価値が無いことと利用価値が無いことはイコールではありません。実際のところ、築20年の戸建て住宅であっても、その後20年30年と住み続けるのは十分可能です。

築20年以上の戸建て住宅はたくさんあり、そしてその大半の家に問題なく人が住んでいます。構造的な問題などの大きな問題がない戸建て住宅については、古いから住めない、という事はあまりありません。

そして利用価値が高い建物が、建物価格はほぼゼロで手に入れることができます。これは取得時の費用が安く済むというだけではありません。築20年の建物も築40年の建物も価格はほぼゼロという点で代わりはありません。つまり築20年で購入する戸建て住宅はほとんど土地代と同じ価格、そしてその20年後、つまり築40年で売却する際に売れる価格もほぼ土地の価格のままです。20年間住んだ家が、購入時とそれほど変わらない価格で売ることも可能です。

こう考えますと、資産価値を考えた場合、築20年の戸建て住宅はとても「お得」という事になります。

新築住宅の否定ではなく、快適性のためと割り切って購入するものだと理解しましょう

快適な生活

新築住宅は経済性は良くありませんが、快適性は高いものです。

この話をしますと、新築物件を否定しているように取られるかもしれませんが、そうではありません。あくまでも経済性の話をしているだけです。経済的に考えた場合には、資産価値が高いと思われる良い立地で、かつ建物の資産価値が付かないようなボロボロの住まいに住むというのが1番経済性が高くなります。このような不動産であれば、年数が経っても売りやすく、そして建物には最初から価値がありませんでしたので、建物分でロスをすることはありません。

一方でその住んでいる期間も、その人はその場で生活をしています。そのようなボロボロの家に住んでいて楽しいかどうか、快適かどうかは別の話です。

新築住宅に住む、というのはやはり快適性がとても高いものです。特に自分の好みのデザイン、間取り、性能を満たした住まいに住むのはそれだけで大変満足度が高くなります。また、その建物がとても気に入り、最終的に数十年その場所に住み続けることができれば、経済性もある程度は高くなります。そしてその期間の快適性の高さを考えますと、新築住宅に住むという選択肢を間違いとは言えません

一方で途中で売却しなければならなくなった場合には、経済性に劣る点、そしてどんなに考えられたデザインや性能の建物を作ったとしても、築20年経過する頃には建物の価格はゼロに近い価格になるという点は、理解して欲しいと思います。

中古戸建て住宅を購入する人が増えて結果的に価格が上がるという形が望ましいと思います

たくさんのイメージ

中古住宅で良い、という人の数が増えて初めて中古の建物に値段が付き始めると思います。

これまで新築住宅を購入する方は快適性のために、あるいは経済的に損をするという事を知らずに購入する人がほとんどでした。ですが、今では色々な情報が出回り、中古住宅には値段が付かない点、しかし利用するには問題がない物件も多いという事が少しずつ知れ渡ってきました。

ですので、経済性を優先させ、快適性は家具やリフォームでカバーする、という方が増えてくれば、中古住宅の価格も自然と上がってくるのではないかと思います。

もちろん中古住宅を購入しやすいような法制度、税制度、建物の性能が確認できるような仕組みがある方が望ましいことには違いありません。ですが、このような制度が先ではなく、中古でも買いたい、中古の方が得だから中古を選ぶ、という人たちが一定以上増えて初めて有効になるのものだと思います。

私見ですが、このような方々は少しずつ増えているような気がします。今はまだ少数派ですが、これらの方々がある程度増えた時点で、中古建物の価格や価値が自然と上がってくるのではないかと思います。

ふくろう不動産では中古の建物が問題ないかどうかを確認しやすい体制を取っています

当社:ふくろう不動産は売買仲介専門の不動産会社です。ですので、中古の戸建て住宅もたくさん見ていますし、実際にご案内もしています。そして中古の戸建て住宅について、お客様が不安に思うのは、この建物は本当に大丈夫だろうか、という点です。資産価値がゼロなのは良しとしても利用価値が低いのでは意味が無いからです。

ふくろう不動産では、このような不安に応えるために、建物の検査・調査を徹底して行うように心がけています。具体的には雨漏りの有無を調べるサーモグラフィカメラによる調査、構造に問題がないかどうかを確認するための家の傾き調査、基礎に問題がないかを確認するために金属探知機や床下探査ロボットの利用など、インスペクション(建物検査)機能を充実させています。

詳しくは「第2章.技術的・経済的な土地建物チェックに優れています」とその子ページをご覧ください。

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