集成材や合板は本当に耐久性が低いのか、公的データから考えましょう

このページは動画をAIに読み込ませた内容から作りましたページです。動画を見る前や、見た後の予習復習等として、ご利用ください。

「集成材や合板を使った家は耐久性が低く、30年も持たない」という話を耳にすることがあります。建築関係の動画などでも、このような主張を見かけることがあります。しかし、これは本当に正しいのでしょうか?この疑問は、家づくりや購入を検討されている方にとって、構造材の選択に関わる非常に重要なポイントです。

私は不動産の仲介の人間ですので、建築の専門家ではありません。ただ一般的に知られているデータや見聞きした情報をもとに、この説について深掘りして考えてみたいと思います。最終的にどのような材料を選ぶかは個人の判断ですが、判断材料の一つとして、多角的な視点から情報を得ていただくことが重要です。

公的なデータは何を示しているのか?集成材の実際の耐久性

まず、集成材の耐久性に関する公的な調査データを見てみましょう。動画で紹介されていたものに、国土交通省の依頼で行われた「築後25年から51年経過した建物における集成材柱の耐久性調査」という論文があります。これは日本木材保存協会が発行しており、農林水産省の研究センター関連の資料にも掲載されているようです。「築後25年から51年経過した建物における修正剤柱の耐久性調査」といったキーワードで検索すると、その詳細な内容を確認できるかと思います。

この調査の重要な点は、単なる理論や机上の空論ではなく、実際に長期間(25年から51年)経過した建物の集成材の劣化状況を詳細に調べたという点です。これにより、実際の使用環境下での集成材の性能がどのように変化するのかを知ることができます。調査の結果、その結論として、以下のような非常に示唆に富む趣旨が述べられています。

「今回の調査を通じ、正しく製造された集成材を使用した場合、少なくとも50年といったような期間において、建物の廃棄取り壊しの主ある要因となるような集成材の接着性能の低下が発生することはないと推察された。」

これは、適切に製造・使用された集成材であれば、建物の寿命とされることが多い50年程度の期間において、構造材としての主要な問題(接着剥がれなど)が生じる可能性は低いことを示しています。もちろん、この調査でも触れられているように、雨風や日差しに直接晒されるような過酷な外部環境下では、耐久性が高いとされるレゾルシノール系の接着剤であっても劣化が進行する可能性が指摘されています。しかし、一般的な住宅の構造材として、壁の中や屋根裏など、雨風や直射日光が直接当たらない環境で使用される限りにおいては、この調査結果は集成材の耐久性に対する懸念を払拭する有力な根拠となります。

さらに言えば、このような過酷な外部環境に晒された場合、集成材だけでなく無垢材であっても同様に劣化は進行します。木材は本来、水分や紫外線によって劣化する性質を持っています。集成材だから特に劣化がひどい、ということはなく、むしろ適切な処理や設計がなされていれば、無垢材と同等かそれ以上の耐久性を持つ可能性も示唆されています。この耐久性調査のデータからは、少なくとも「集成材だから無垢材より圧倒的に耐久性が低い」という単純な結論は導き出せないことがわかります。

また、別の視点として「集成材の方が長寿命化できる可能性がある」という説もあります。これも国土交通省の資料(自然公園等技術など)で触れられているようですが、これは住宅ではなく公園など外部で使用する木材に関する内容です。しかし、より厳しい外部環境でのデータも、住宅における耐久性を考える上で参考にはなります。この説の根拠の一つとして挙げられるのが、集成材の製造工程で行われる木材保存剤の加圧注入処理です。無垢材のような太い木材に薬剤を注入する場合、その薬剤が木材の中心部まで十分に浸透しにくいという課題があります。一方、集成材は木材を薄くスライスした「ラミナ」を接着して作られるため、ラミナの段階で加圧注入処理を施せば、薬剤が木材全体に均一に浸透させやすくなります。これにより、木材の腐朽やシロアリ被害などに対する抵抗力を高め、結果として木材自体の寿命を延ばすことが可能になるという考え方です。適切に処理された集成材は、未処理の無垢材よりも特定の環境下での耐久性が高くなる可能性があるのです。

これらの公的なデータや技術的な側面を見る限り、「集成材だから耐久性が低い」という説は、少なくともデータ上は必ずしも真実ではない可能性が高いと言えます。もちろん、使用される接着剤の種類や製造品質、そして建物の設計や施工方法によって耐久性は左右されますが、適切に製造・使用された集成材が、従来の無垢材に比べて極端に耐久性が低いということは、公的なデータからは確認できません。

「歴史がないから信用できない」は本当か?構造材の歴史を振り返る

集成材や構造用合板は、古くから使われている無垢材に比べて歴史が浅いから信用できない、という意見も根強くあります。しかし、これらの材料の実際の歴史を調べてみると、意外と長いことがわかります。

  • 構造用合板: 実は1969年頃から使われています。これは、日本の高度経済成長期における住宅需要の増加や、木材資源の有効活用といった背景の中で開発・普及が進みました。すでに50年以上の歴史があり、多くの建物に使用されてきました。
  • 2×4工法(木造枠組壁工法、構造用合板を壁面に使用): 1974年頃から日本に導入されました。この工法は、面で支える構造が特徴で、耐震性や断熱性に優れるとされています。構造用合板はこの工法の主要な構造材の一つであり、こちらも約50年の歴史があります。
  • 構造用集成材(JAS規格制定): 構造用集成材の品質に関する日本農林規格(JAS)が制定されたのは1976年です。これにより、構造材としての品質が保証されるようになり、住宅の構造材として本格的に普及が進みました。こちらも約50年の歴史があります。

構造用合板や集成材は、すでに50年近い歴史があり、これらの材料を使った建物が現在問題だらけかというと、決してそんなことはありません。阪神・淡路大震災や東日本大震災などの大規模な地震においても、これらの材料を使った建物が必ずしも脆弱であったというデータはありません。それなりの歴史があり、かつ大きな問題が出ていない材料に対して、「30年も持たない」と断言するのは、客観的なデータに基づかない主張と言えるかもしれません。

公的な機関が出す情報すべてを鵜呑みにするのは危険かもしれませんが、少なくともあからさまな嘘や間違った情報を平気で発表することは少ないと考えられます(特定の利害関係者の視点に偏る、触れてほしくない部分に触れない、ということはあるかもしれませんが)。どの情報をどこまで信用するかは個人の判断ですが、データに基づいた情報を参考にすることは、誤った情報に惑わされないために非常に重要です。

無垢材を選ぶことのメリット・デメリット:選択の幅とコスト

では、耐久性を重視する、あるいは単に素材の質感や風合いを好んで無垢材を選びたい、という場合はどうでしょうか。もちろん、無垢材を選ぶことは個人の自由であり、好みに合わせて建材を選ぶのは家づくりの醍醐味の一つです。ただし、無垢材を構造材の中心に据えることを選択した場合、それによってどのようなメリット・デメリットがあるのか、特に「失うもの」があるという点は理解しておく必要があります。

  • 選択肢が狭まる: 無垢材を構造材の中心に使う住宅は、現状では注文住宅がほとんどです。多くの建売住宅や中古戸建では、コストや施工性の観点から、集成材や合板が主要な構造材として使用されています。無垢材にこだわって構造材を選びたい場合、必然的に注文住宅を検討することになり、建売住宅や中古戸建といった選択肢は事実上なくなります
  • 費用や段取りの違い: 建売や中古戸建を購入する場合と、注文住宅を建てる場合では、必要となる費用、段取り、そして家づくりのノウハウが大きく異なります。一般的に、注文住宅は建売住宅よりも建築費用が高くなる傾向があります。また、土地探しから設計、建築会社選び、仕様決めなど、家が完成するまでのプロセスも複雑になります。無垢材を構造材に指定する場合、さらに専門的な知識や対応ができる建築会社を選ぶ必要が出てくる可能性もあります。
  • 「昔からの技術だから安心」という言葉に注意: 「昔からある技術だから1000年以上持つ寺社仏閣のように安心だ」といった言葉を聞くこともありますが、現在の木造軸組工法(在来工法)は、伝統的な寺社仏閣の建築技術や工法とは異なります。現在の建築基準法に則った工法であり、使用される金物や接合方法、そして構造計算の考え方も大きく進化しています。「昔の技術が優れているから」という理由だけで、現在の木造住宅の耐久性を判断するのは早計です。

無垢材を選ぶこと自体は素晴らしい選択肢の一つですが、それによってどのような制約や違いが出てくるのか、特に予算や家づくりのプロセスにおいてどのような影響があるのかを理解した上で選択することが大切です。

まとめ:情報を吟味し、自分で判断することの重要性

住宅は非常に高額な買い物であり、その選択は人生に大きな影響を与えます。だからこそ、様々な情報に触れる中で、何が正しくて何が間違っているのか、そしてその情報がどのような根拠に基づいているのかを見極めることが非常に重要になります。

インターネットや動画には、建築や不動産に関する様々な情報があふれていますが、中には感情論に基づいたもの、特定の材料を否定することで自社の優位性をアピールしようとするもの、あるいは単なるセールストークであるものも少なくありません。

「集成材や合板は耐久性が低い」という説についても、今回ご紹介した公的なデータを見る限り、一般的な住宅の使用環境であれば、必ずしもそうとは言えない可能性が高いことがわかります。むしろ、適切に製造・使用され、適切な維持管理が行われれば、長期にわたって建物を支える構造材となり得ます。

最終的にどのような材料を使った家を選ぶかは、ご自身の価値観や優先順位によって決めるべきです。天然素材の風合いを重視したい、化学物質の使用を極力避けたい、といった理由で無垢材を選ぶことは、もちろん尊重されるべき選択です。しかし、その判断をするにあたっては、感情論や根拠の薄い情報に惑わされず、できる限り信頼できるデータに基づいた情報を収集し、吟味することが大切です。そして、それぞれの材料のメリット・デメリット、そしてそれを選ぶことによって生じる可能性のある影響(コスト、選択肢など)を理解した上で、ご自身にとって最適な選択をすることが、後悔のない家づくりにつながるでしょう。

今回の情報が、皆様の家づくりの構造材選びにおける一助となれば幸いです。

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