住宅価格相場サービス「ウチノカチ」を使ってみました
中古マンションの価格や、中古の戸建住宅、宅地の価格の相場をWeb上で無料で調べることができるサービス「ウチノカチ」を試しに使ってみました。
一般的によくある査定サービスとは違い、登録などの必要が無い点がありがたいサービスです。このページではこのサイトを使ってみた感想について簡単にお話ししたいと思います。
注)この記事は2015年に作成したもので、現在「ウチノカチ」のサービス内容は大きく変わっています。新しい内容(2019年11月時点)については
「ウチノカチを4年ぶりに再確認しましたところ、性能が大幅に上がっていました」
でお話していますので、こちらを御覧ください。
無料でかつ登録不要で、不動産の相場価格が分かるサービスはありがたいものです
最近ではWeb上で簡易査定を行うサービスも増えていますが、そのサービスを受けるには制限があることもあります。
例えば、メールアドレスの記入や会員登録を必要としているケースです。無料であるのはありがたいことですが、その後営業メールがしょっちゅう届くようになるのは良い感じがしません。
また、簡単な査定システムでは金額に幅があることも多く、査定価格が2,000万円~3,000万円までというように、価格に2~3割ほどの幅を持たせて出ることもあります。
それらのシステムと比較すると、この「ウチノカチ」は無料であること、会員登録などが不要ですぐに使うことができること、そして、相場金額も幅があるものではなく、1つの価格が出てくるという点は面倒が無く、かつ分かりやすいと思います。
マンションは築年数、専有面積、駅からの距離の3つの要素で計算されます
例えばマンションであれば、駅を1つ決め、その駅からの徒歩分数、専有面積、築年数の3つを入力するだけで相場金額が表示されます。ざっくりとしたものしか出ないだろうと思っていたのですが、算出される金額は意外と精度が高い感じを受けます。
不動産会社の社員であれば、REINSで実際の成約価格を確認することができますので、私もREINSの成約データとこのシステムの価格を照らし合わせてみました。マンションに関して言えば、駅によっては1割強のずれがあるケースがあるものの、概ね成約価格に近い金額を表示しました。
サイトの説明には、売り出し価格ではなく成約価格に基づいて金額を算定している、と書かれています。その効果なのか割と正確な数値を出していました。実際に不動産会社の社員が査定を行ったとしても10~20%の査定価格差が出ることを考えれば、十分以上と思える精度ではないかと思います。
マンションの相場価格の精度は良いのですが、中古住宅と宅地の精度は今ひとつです
マンションの相場価格についてはとても高い精度で相場価格を出しているシステムですが、これが中古住宅や宅地になると、急に精度が悪くなります。
この中古住宅は中古の戸建住宅の相場価格を表していると思われるのですが、実際の成約価格と照らし合わせてみると20~30%以上のずれがすぐに出ます。物件によっては2倍近い差が出ているケースもあります。
マンションと比べると戸建住宅や宅地の場合は建物の状況による差や、土地の形状や道路付けなどによる差を反映させるのが難しいためではないかと思います。マンションの相場計算がとても良くできていただけに、戸建のシステムがうまくいかないのはとても残念です。
運営会社も戸建や土地にはあまり力を入れていないのか、記入する欄の面積も「専有面積」という表示になっています。マンション以外に使わない表現を戸建住宅や宅地の面積記入欄に使っているところを見ますと、マンションには詳しくても戸建住宅には詳しくない方が作ったシステムなのかもしれません。
グラフは種類が多くありますが、役立ち度合いは微妙な感じです
単に査定金額(相場金額)を求めるだけでなく、色々なグラフを確認できるのもこのサイトの特徴です。ですが、これらのグラフがどのくらい役に立つかは微妙な感じを受けます。
例えば上のグラフは京成線の中古マンションの相場を示したグラフです。このグラフの「京成大久保駅」「実籾駅」「八千代台駅」の3駅を比較すると、八千代台駅が突出して安くなっています。
ですがこれは同じような条件であれば八千代台駅の方が安い、という意味ではありません。八千代台駅近辺のマンションは築年数が古いマンションと駅から距離があるマンションが多いため、取引全体の単価を下げているだけです。もちろんていねいに他のグラフを見ていけば理由は分かるのですが、このグラフ自体から意味を読み取るのは難しいでしょう。
他にもいろいろなグラフがあるのですが、駅からの距離や築年数などの条件の揃え方が難しいために、比較することが難しくなっています。
せっかく成約事例を基に作ったデータ集ですので、もっと別の設定のグラフを用意してくれると使い勝手がとても良くなると思うのですが、現状では微妙な感じです。ただうまい使い方を見つけることができれば、良いかもしれません。
文句を多く言いましたが、ポテンシャルの高いサイトで今後期待できるサイトです
ここまで色々と文句を言っていますが、成約事例を基に相場価格を提供する会社は今までありそうで無かったサービスです。
他社のシステムでは、売り出し価格を中心に検索するサービスが中心だったため、実際の成約価格とは差があり、プロと一般の方では得られる情報に差がありました。その差を少しでも埋めるべく、できたサービスだと思いますし、データもしっかりしているようですので、期待が持てます。
後は統計の切り口をもう少し実用性が高くなる方向で考えて欲しいのと、戸建住宅や土地の相場判定精度をもう少し高くしてもらえれば、不動産を探す人たちにとって、とても有用なサービスになると思っています。
このサイトは開設してそれほど経っていないサイトですので、今後使い勝手が良くなる可能性もありそうです。個人的には今後にとても期待しているサイトです。
ふくろう不動産はお客様に成約事例を確認してもらった上で、取引を行う不動産会社です
先程から何度か成約事例という言葉が出てきています。これは実際にお客様が契約した金額の事です。不動産仲介会社は共通のシステムを使っているため、他社の不動産物件の売り出し状況はもちろん、実際の成約価格もREINSというシステムで確認することができます。
そのため不動産のプロは、売り出し価格と成約価格の両方を知っているため、不動産取引では一般の方と比べて有利に取引を進めることができると言われています。
ふくろう不動産ではお客様が成約事例を知らないが故に損をすることがないように、実際の成約事例についてもできる範囲でお話しし、正しい相場観を持ってもらうようにしています。
成約事例については「不動産の価格が妥当かどうかを調べるときに土地総合情報システムが役立ちます」の記事でもチェック方法を述べていますので、こちらも参考にしてください。
このあたりについては「2-03-01.その土地は高いのか安いのかをどう判断しますか?」のページも参考にしてください。今の不動産取引は残念なことに知らないと損をするということがたくさんあります。当社ではお客様が損しないような様々なサービスを用意しています。当社のサービス内容については「ふくろう不動産とは」のページをご確認ください。
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