住宅の「建物性能」は資産価値を上げるのでしょうか

最近、日本の住宅は海外に比べて建物性能が低いため、資産価値が上がらないという説を耳にすることがあります。では、本当に建物性能を高めれば、将来的に住宅の資産価値を維持できるのでしょうか?今回の記事では、この疑問について、私自身の考えをお話ししたいと思います。

「資産価値」の定義を再確認する

まず、大前提として知っておきたいのが、「資産価値」の定義です。資産価値とは、「購入時の価格」と「売却時の価格」の差額で決まります。将来の売却価格を正確に予測することは誰にもできませんが、これまでの傾向から考えることはできます。

過去のパターンから見る、建物性能と資産価値の関係

過去から現在までのパターンを見ると、建物性能が高かろうが低かろうが、それが資産価値にものすごく大きな影響を与えたケースはほとんどありません。特に「断熱性」や「気密性」が資産価値を維持すると主張する意見もありますが、購入時のコストが高い高性能住宅は、売却時にその分高値で売れたとしても、「購入価格との差額」を考えると、必ずしも得だとは言えないのが実情です。

最初に余分にかけた費用を、売却価格の増加分だけで回収できるケースはまずありません。

高熱費で元は取れるのか?

「高性能住宅は高熱費が安くなるから、結果的に得だ」という意見もあります。しかし、これも疑問が残ります。

例えば、建物の性能差によって1000万円以上のコスト差があった場合、月々の高熱費の削減分だけでこの差額を回収するには、何十年もの時間が必要です。月5,000円〜10,000円の節約になったとしても、25年〜30年でイニシャルコストを回収するのは現実的ではないでしょう。

資産価値と利用価値は別物

ここで忘れてはならないのが、「資産価値」と「利用価値」は別であるということです。

資産価値がお金の部分(換金性)を指すのに対し、利用価値はそこに住むことによる快適性や満足度を指します

高断熱の住宅は、お金の面では必ずしも得だとは言えませんが、何十年にもわたる快適性を手に入れることができます。その快適性を買うのだと考えれば、高性能な住宅を選ぶことは非常に良い選択だと思います。

まとめ

  • 建物性能が高いからといって、将来の資産価値が維持できるとは限らない 過去のパターンから見ると、初期費用を上回るリターンは期待しにくい。
  • 高熱費の削減分だけで、建築費の差額を回収するのは難しい
  • 「資産価値」と「利用価値」は異なる 経済性だけを追求するなら、安くなった中古住宅を賢く選ぶという方法もある。

最終的にどのような物件を選ぶかは、ご自身の価値観次第です。建物の性能について詳しくなることで、ご自身にとって最適な選択ができるようになるはずです。

 

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